第7話 あの時の親子を探して。仮面の者たち。
明日は微妙に時間がなくて更新が翌日になりかねないので、今日中に更新しておきます。
※内容の最終調整が不完全なので、後日微調整が入る可能性があります。
「商人親子の失踪……か。そいつは冒険者云々を抜きにしたとしても、この街を拠点としている人間としちゃ見過ごせねぇ話だな」
受付嬢の説明を聞いたレインズがそんな風に言う。
「レインズさん、先日、怪しい集団を見たと言っていたよね?」
「ああ。朝市に寄ってここ――ギルドへ来る途中で見かけた……つーか、路地に潜んでいた仮面をつけた奴らの事だな。気にはなったが、深入りするにはちーとばかし危険そうな感じだったからな。その場は一旦離れたんだ」
受付嬢の言葉に頷き、そう説明するレインズ。
「そうだね、それは正しい判断だと思うよ」
受付嬢がそんな風に言う。カルティナも同意見のようで無言で頷く。
というか、俺も同意見だ。何事も足を突っ込めばいいってもんじゃないからな。
「で、ギルドに報告しに来たら、丁度いい具合にスカウト能力に長けた知り合いがいたから、そいつともう一度様子を見に行ってみたんだわ。だけど……その時には既にいなくなっていたんだよなぁ……。だが、思い出してみるとあいつら、朝市を――正確に言うなら出店のひとつを監視しているような感じだったぜ」
「監視……」
というラディウスの呟きに続く形で、歩み寄ってきたカルティナが問いの言葉を投げかける。
「――その場所だが、エルマ・フラワーショップと、ガレックパン工房の間あたりではなかったか?」
「――ああ、たしかにそうだな。その場所だ」
レインズはあの時の事を思い出しながらそう答える。
「ラディ。商人親子は、先程ラディたちと出会った場所に出店していたのなら……その連中は、件の商人親子を監視していたと考えて間違いないようだ」
「となると、その連中を探すのが手っ取り早そうだな」
ラディウスはカルティナの言葉にそう答える。
「ちなみにそいつらだが、知り合いが見つけた『移動の痕跡』を追ってみたんだが……市の外壁の、地下水路への階段がある場所あたりでそれが消えちまってよ、そこから先はさっぱりだったんだよな。で、知り合いが言うには、それ自体が偽装であった可能性もあるらしい」
「なるほど……。ある程度の技量を持つ者なら分かる程度の痕跡を意図的に残して、本来の移動先とは別の場所に誘導した……という可能性があるってわけか」
「ああ、そんな事を言っていたな」
うーん……どちらにしても、その連中を探すのが一番手っ取り早そうではあるな。セシリアにも伝えておくか。
と考え、即座に向こう側を思い浮かべた。
一瞬にして聖木の館へと続く道に景色が切り替わり、
「ラディウスさん、どうするです?」
と、メルメメルアが車の中の少女とラディウスを交互に見て問いかけてきた。
ちなみにセシリアは左右をきょろきょろと見回していたりする。
一見すると、周囲を警戒しているようにも見えるが、単にいきなり景色が変わって慌てているだけで……
――いきなり転移すると、さすがに驚くなぁ……
なんて事を思っていたりする。
「んー、ガジェットを作る必要があるな。どこかに作業が出来るようなスペースがあるといいんだが……」
「それでしたら、近くにモーテルがありますので、そこが良いのではないでしょうか。聖木の館の連中もすぐには追ってこないでしょうし」
ラディウスの言葉にそう返してくるテオドール。
ラディウスはそれに対し、たしかにちょうど良さそうだと考え、そのモーテルへと向かう事に決めた所で、首を傾げるセシリア。
「モーテルって何?」
まあ……あっちにはそんなものないし、当然の反応だよなぁ……と思いながら、
「んー、一言で言えば簡易的な宿場の事だ」
と、地球での記憶をもとに簡潔に説明するラディウス。
――もっとも……日本ではあまり見かけるようなものじゃなかったし、俺もあくまでも知っているだけで、実際に泊まった事はないんだけどな。
向こう側に行った理由は、情報共有のためというのが大半を占めるので、割とすぐにこっち側に戻ってきます。
という所で次回の更新ですが……土曜日を予定しています!
追記
タイトルにミスがあったので修正しました。




