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第2話 あの時の親子。レマノー村にて。

「――よし。これで全員完成したし、今日はここまでにするとしよう。作ったガジェットは魔力さえ供給されればずっと使えるから、上手く使えよ!」

 というラディウスの言葉に、子供たちが一斉に「はーい!」と元気よく返事をする。

 

 そして、セシリアの締めの言葉が終わると教室――正確に言うと青空教室という奴である――となっていた広場から、一斉に去っていく子供たちを見送った所で、

「……まさか、ガジェットをひとつ作らせるとかいう、斜め上にも程がある授業内容だとは夢にも思わなかったよ……」

 なんて事を、ため息混じりに呟くように言うセシリア。

 

「魔法とガジェットについて学ばせるには、実際にガジェットを作ってもらうのが一番早いと思ってな」

 そうラディウスが言うと、サポート役として一緒にやって来たルーナが、

「そうね。一応安全を考えて、失敗しても爆発とかする可能性の皆無な、単なる照明魔法のガジェットにしたしね」

 と、付け加えるように言う。


「あー、いや、そうじゃなくて……。なんていうか……ガジェットを『作る』っていう事自体が、既にかなり高度なんだけど……」

 ふたりに対してセシリアは呆れた口調でそんな風に言うと、腰に手を当て、再びため息をつきながら首を横に振ってみせる。


 言われたラディウスとルーナは顔を見合わせ、

「……そう言われてみるとそうだな……」

「……たしかにそうかもしれないわね……」

 なんて事を言った。

 

「最近は、俺だけじゃなくて、俺の周り――ルーナやセシリア、そしてここにはいないが、クレリテも普通にガジェットを作れるから、なんだか作れて当たり前、みたいな感覚になっていたな……」

「そうね。私もいつの間にかガジェットは簡単に作れる物、という感覚になっていたわ……」

「……まあ、教えて困るものでもないから別にいいんだけどね」

 セシリアはふたりにそう言いながら後片付けを始める。

 そして、ふと思い出したように、

「って、そういえば……カチュアちゃんって子に用があったんじゃ? なんでさっき呼び止めなかったの?」

 と、ラディウスに問いかけた。

 

「いや、集まった子供たちの中にいなくてな。もしかしたら、オードさんと一緒にどこかに――行商に出掛けているのかもしれん」

「あ、そうなんだ。うーん……それじゃあとりあえず、村長さんに聞いてみる? 日曜学校が終わった事も伝えないといけないし」

「ああそうだな。そうするか」


                    ◆


「オードさんとカチュアちゃんは、村で作ったソルムの薬液を売りに行ったまま、まだ戻ってきていないんですよ……。カレンフォート市で開かれている朝市への出店許可期限は一昨日で切れているはずなので、遅くても昨日には戻ってくると思っていたのですが……」

 ラディウスがオードとカチュアについて尋ねると、村長が心配そうな表情でふたりの状況を告げてくる。


「カレンフォートから馬車で数時間の距離なのに、まだ戻ってきていない……? ……向こうで何かが起きた可能性も十分に考えられる状況だね……これ」

「そうね……。ちょっと様子を見に行ってみた方が良いかもしれないわ。この間は色々とゴタゴタした事もあって、結局会わずじまいになってしまったけど、マークスおじさんに合って話をすれば、何か分かると思うわ」

「なるほど……たしかにそうだね。何もなければそれでいいけど、何かあったら大変だし、行ってみる?」

 セシリアとルーナはそんな話をすると、ラディウスの方を見た。


 ラディウスはそれに対して頷くと、

「――そうだな。このまま放っておくわけにもいかないし、とりあえずカレンフォートに行ってみるとするか」

 と告げた。

そんなこんなで、こちら側の世界もメルティーナ法国へ行く前に一騒動ありそうな感じに……


さて、次回の更新ですが、明後日水曜日を予定しています!


追記

最後のラディウスのセリフに、不自然な言い回しがあったので修正しました。

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