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第1話 大封印と呪法。アルディアスの話。

「ラディウス殿、少々話があるのだが……今から大丈夫かね?」

 翌朝、ラディウスが展開している結界の動作が安定しているかを確認していると、アルディアスがそんな風に問いかけてきた。


 ラディウスがそちらへ顔を向けると、マクベインとフィルディオの姿もあった。

 

「はい、大丈夫ですが……話、というのは?」

「うむ。本来であれば昨日、カレンフォートでするはずだった話をしようと思ってね」

「あ、なるほど……。それでマクベインさんもいるのですね」

 アルディアスの言葉に納得してそう言いながら、マクベインの方を見るラディウス。


「そういう事でございます。――ここではなんですので、宿の方へ移動いたしましょう。主人のご厚意で一室借りておりますので」

「……この村って、宿屋あったんですね……」

 マクベインの言葉に対し、ラディウスが驚き気味に言う。

 というのも、昨夜は村長宅を借りて休んだ為だ。


「はい、1軒だけですがございます。ただ……村の入口に近い所にあった事もあり、魔物の攻撃に晒されて半壊してしまいました。そこで昨日は村長殿が、英雄の皆様にそのような場所でお休みいただくわけにはいかないと仰られまして、自らの家を皆様にお貸しになられたのです」

「なるほど、そうだったのですか」

「これから訪れる人の事も考え、総出で修復作業を最優先して行いまして、先程ほぼ以前の状態にまで復旧いたしました。会話をするには十分な状態です」

 フィルディオの説明を聞き、半壊した状態から約1日で復旧するとは凄いな、と純粋に驚くラディウス。


「まあ……張り切りすぎて宿屋の主がぎっくり腰になってしまいましたが……」

「そ、そうなんですか……」

 ラディウスは、後でその人に『レストア・改』を使っておこうと考え、そこで気づく。


 ――って、よく考えたらその宿も『レストア・改』で修復すれば良かったんじゃ……

 

 という事に……

 

                    ◆


「それでは、私は部屋の外で見張りをしております」

 そう告げてフィルディオが宿の部屋から出ていく。

 

 そして、フィルディオが部屋の外に出た事を確認すると、アルディアスは懐から正方形の白く小さい箱のようなものを取り出した。

 

「なるほど……障壁タイプの静寂魔法ですか。それで防音空間を作り出すというわけですね」

 ラディウスはそれがガジェットだと見抜き、組み込まれている魔法を調べながらそんな風に言う。

 

「うむ、あまり人に聞かれたくはない話ゆえ、念の為に……ね。――しかし、これを見てそこまで理解するとは、さすがはラディウス殿」

「いえ、それほどでも……。というか、あまり人に聞かれたくない話……ですか?」

 アルディアスの言葉に、ラディウスはそう返しつつ、面倒な話ではない事を願う。


「ああ。――といっても……実の所、昨日カレンフォートでこちらから尋ねようと考えていた事の大半は、既に昨日のラディウス殿の言動で解決していたりするのだが、ね」

 椅子に座りながらそんな風に言ってくるアルディアスに、

「え? そうなのですか?」

 と、返すラディウス。というより、それしか返す言葉がなかった。


「はい、枢機卿猊下がラディウス様とお話したいと仰られたのは、ラディウス様の人となり……どういう人物なのか知りたいからでしたので」

「あ、なるほど。そういう事だったんですか……」

 説明してきたマクベインに対してそう返事をした所で、

「非常に重要な事を頼むがゆえに、どうしても自らの目と耳で信用出来る者であるかどうか知りたかったのだ。試すような真似をしてすまないね」

 と言って頭を下げるアルディアス。


「あ、いえ、お気になさらないでください。結果的にこの村を救う事にも繋がりましたし。――それよりも……それほどの事をしなければならないような頼み事、というのはなんなのでしょう?」

 もっともな疑問を口にするラディウスに対し、アルディアスは念の為といった様子で周囲に人が居ない事を確認すると、

「ラディウス殿であれば、解析出来るのではないかと考えて話すのだが……。どうか、我々神剣教会の総本山である『レミステリア大聖堂』――その地下にある『大封印』の解除をお願いしたい」

 なんて事を告げるのだった。

この節ですが、大きめの展開の間を繋ぐような節なので、あまり長くはないです。

という所で、次回の更新ですが……明後日、木曜日を予定しています!

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