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第9話 聖木の館へ行く前に。戻ってきたふたり。

「――なるほど、ガジェットを使わずに魔法が使える人間を生み出す事自体が目的ではなく、魔法が使える人間が必要な『何か』が目的……という事ですか」

「たしかにそれなら、これだけの事をする意味もわかる気がするのです」

 ラディウスが気づいた事を皆に話し終えた所で、納得したようにそう口にするテオドールとメルメメルア。

 

「もっとも情報が足りてないから、あくまでも推測の域を出ない話ではあるんだけど……な」

「ま、詳しくはこれから調べればいいんじゃない? どの道、聖木の館へ行くわけだし」

 セシリアは肩をすくめるラディウスにそう返すと、車中の人形――ディーゲルの娘の魂が封じられたそれへと視線を向ける。

 

「――でも、この術式をどうにかしないと駄目なんだよね……」

「そこがまあ……厄介な所ではあるんだが……」

 ラディウスはそこまで言った所で、セシリアの方を見た。

 

 その視線に気づいたセシリアが、ラディウスの顔を見て納得した表情をする。

 と、次の瞬間、ラディウスとセシリアはレスティア村にいた。

 

「えっと……このタイミングでこっちへ戻ってきたって事は、あれをどうにかする為の物をこっちで用意するって事?」

 さすがに戻ってくるであろうと予想したセシリアは、特に驚く事もなく、そうラディウスに問いかける。


「正確に言うと、そのための解析からだな。――術式は概ね把握したが、あれを安全に無力化するのは少々厄介だ。あの場じゃどうにもならん。……が、こちら側へ来てしまえば、あちら側の時間は経過しないからな。ゆっくりと術式の解析が出来る」

「なるほどね。しかも、こっちならラディウスだけじゃなくてルーナがいるから、解析も早そうだね。あ、もちろん私も手伝うよ。……まあ、どれだけ理解出来るかわからないけど……」

「ああいや、あの術式は俺がなんとかするから大丈夫だ。というのも、セシリアには別に解析して欲しい物があってな。そっちをルーナやクレリテと共に頼む」

「え? 別に解析して欲しい物?」

 そう言って首をかしげるセシリアに、ラディウスはストレージからひとつのガジェットを取り出す。

 それは、湖畔で発見したドールガジェットを操っていたガジェットだった。

 

「このガジェットとセシリアの持つ神剣を解析して、『特定の術式に対して強制的に制御する』という術式、かつガジェット側と神剣側で、完全に一致する物――共通した構造を有する物を探して欲しいんだ」

 と、そう言いながらセシリアにガジェットを手渡すラディウス。

 

 それは、簡単に言えばふたつの機械を分解して、共通して使われている極小パーツ群と、その極小パーツ群の配置が完全一致する部分を探せといっているようなもので、解析難易度そのものは低い物の、それぞれを見比べ、そして見つけ出す必要がある為、かなり厄介である。

 それ故に、複数人が異なる視点で調べた方が発見しやすい……はずだとラディウスは考え、セシリアたちに頼んだのだった。無論、神剣を扱えるのがセシリアしかいないという理由もある。


「なんだかイマイチ良く分からないけど……まあ、ルーナなら分かると思うし……うん、了解したよ! 明日から早速取り掛かってみるね!」

「ああ、頼んだ」

 ラディウスはセシリアに対してそう答えつつ、思案を巡らせる。


 ――これで術式の解析の方は、おそらくどうにかなるだろうが……

 問題は、これをどうにかする為に必要となるガジェットを作れるのか、というのと、作る為の素材が得られるのか、だな……

 もし、向こうの世界でしか手に入らないような物が必要だったりすると、ちょっと面倒な事になるからなぁ……

 といってもまあ……こればかりは実際に解析してみて、そうなってない事を願うしかないんだが……

というわけで、次からしばらくこちら側の世界の話になります。

こっちもこっちで、結構大きく舞台が移る予定です。


さて、そんな所で次回の更新ですが……明後日、火曜日の予定です!

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