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第5話 聖木の館と初老の男性。ゼグナムの地。

「す、凄くお強いのですね……。あの者たちが、あそこまで手も足も出ないとは思いませんでした……」

 驚愕と感嘆が合わさったような表情で、初老の男性が言う。 

 それに対し、戻ってきたセシリアが、

「まあ、魔物の群れと比べたら大した事はありませんからね」

 と、そんな風に答えた。

 

「魔物の群れ……ですか?」

「あー、俺やセシリアの生まれ故郷で以前、魔物が大群で襲ってくるという事件があったんですよ」

 当然のように疑問を持つ初老の男性に対し、ラディウスは髪を掻きながらそんな風に答える。


「なるほど……。それがあの強さに繋がっている……というわけですね」

 ラディウスの説明を聞いた初老の男性が、顎に手を当て、納得した様子で言う。

 

「まあ、そんな所です。――ところで、貴方は何故あのような連中に追われていたのですか? 感知魔法を使った所、聖木の館のエリミネーターとかいう存在のようでしたが……」

「なんと! そこまで分かる感知魔法があるとは驚きです……」

 初老の男性はラディウスの問いに驚きつつそう返し、一呼吸置いてから、

「……しかし、事情を詳しく話すと皆様を巻き込む事に……」

 と、追われている理由については話す事を躊躇った。

 

「いえ、そこはご心配いりません。おそらく……巻き込まれた方が都合が良いでしょうから」

 セシリアが相も変わらずの聖女モードで告げる。

 

「……巻き込まれた方が都合が良い……ですか? そういえば先程、聖木の館へ少女を迎えに行くと仰っていましたが……」

「はいなのです。ただ……『迎えに行く少女』がちょっと特殊なのです。実は――」

 初老の男性の疑問に対し、セシリアに代わる形でメルメメルアが頷き、そう切り出してこれまでの経緯について説明し始めた――

 

 ……

 …………

 ………………


「なるほど、ディーゲル殿の……。――つまり、あの御方が言った通りになったという事ですか」

 説明を聞き終えた初老の男性が呟くようにそんな事を言う。

 

「あの御方?」

「ゼグナム解放戦線のリーダーであるアルフォンス様です。私が今こうしてここにいるのも、その方の指示に従ったからでして……」

 ラディウスの問いかけにそう答える初老の男性。

 

「ゼグナム解放戦線……というのは?」

 セシリアがもっともな疑問を口にする。

 ラディウスもまた口にはしないものの、その表情で同意である事を語っていた。

 

「ゼグナム州の帝国からの独立を掲げて活動する反政府組織なのです。ただ、一般市民を巻き込むような行為は一切していないので、冒険者ギルドでは危険視されていないのです。……というより、地方の冒険者ギルドの中には、秘密裏に協力している冒険者がいるくらいなのです」

 というメルメメルアの説明に「なるほど……」と、納得するセシリア。

 そしてそれに代わる形で、

「それで、そのゼグナム州っていうのはどんな所なんだ?」

 と、問いかけるラディウス。

 

「ほんの18年前まで、ゼグナム王国という小さな王国――と言っても、実質的には属国――だった場所なのです。王族の血筋が途絶えたとかで、帝国に併合される形で、帝国の州の1つとなったのです」

 そう説明すると、メルメメルアは自身のストレージから帝国全土が描かれた地図を取り出し、

「地図で言うと……この辺りなのです」

 と言いながら、ある一点を指し示す。

 

「……あれ? ここって……」

 セシリアが呟くようにそう言ってラディウスを見る。

 

「ああ……あそこだな」

 ラディウスは頷いてそう答えると思案を巡らせる。

 

 ――俺たちの世界側でそこにあるのは、エレンジール王国だ。

 そこは、アルディアス枢機卿が国境視察に訪れた際に立ち寄った、シェスター城塞の向こう側にある国。

 そして……あのビブリオ・マギアスが潜んでいると目されている国の1つだ。

 ……果たしてこれは単なる偶然……なのか? どうにも奇妙な因縁めいた物を感じるが……


 ふたつの世界の妙な繋がりに、ラディウスはそんな風に感じるのだった――

ビブリオ・マギアスの名前が初めて出てきたのって、何気に結構前なんですよね……(まさかの半年前でした……)


そして、そのビブリオ・マギアスが登場する話のタイトルで、マギアスの「ス」が抜けている事に今更気づいたので、「ス」を追加しました……(汗)


さて、そんな所で次回の更新ですが……明後日、月曜日を予定しています!

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