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第4話 第2の渡り手。魔軍後の村にて。

「ふむ、神剣が13000年前の王の剣……すなわち王族の物であった、か。それは教会としてはなかなかに興味深い話ではあるな」

 アルディアスがセシリアの発言に興味を抱き、そう口にする。

 しかし、すぐに首を横に振り、

「とはいえ、それについて詳しく聞くのは後にするとしよう。――魔物どもは既に潰走状態にあり、今回の件は一段落したと考えて良いだろうが、まだ安心は出来ん。魔物どもの残党狩りや、村の防衛について話をする方が優先度は高い」

 と、そんな風に言葉を続け、周囲の聖騎士たちを見回した。

 

 既にフィルディオが聖騎士の大半を率いて、残党狩りに出発しているため、この場にいる聖騎士はそこまで多くはない。

 

「たしかにその通りですね。村の防衛には、魔物の侵入のみを阻害出来る結界――魔法障壁を常時展開出来るガジェットを作成するので、それを設置しましょう。完全に防げるわけではないですが、ある程度は持ちこたえられるので、その間に通……狼煙などで危機を伝える事が出来るはずです」

 ラディウスは、思案の仕草をしながらそう提案する。

 一瞬、通信と言いそうになったが、そんなものはまだなかった事を思い出し、狼煙などと言い直した。

 

「なんと! そのようなものまで作成出来るとは……。まったく、英雄殿には驚かされるな」

「といっても……先程の軍勢クラスがまた来たら、残念ながら数日しか保たないとは思いますが、まあ……ないよりはいいかな、と」

「数日保てば十分ではないかと思うがね。しかし……狼煙台としての機能を含むとなると、結構大きな物になりそうな気がするのだが……」

「あ、はい、そうですね」


 ラディウスは狼煙台としての機能までは考えていなかったが、自分で狼煙などと発言していたので、たしかに必要だと考え直す。

 そして、狼煙台にするなら小型というわけにはいかないと判断し、

「どうしてもかなりの大掛かりな代物となってしまうと思います。なので、申し訳ないのですが、ここに残られた聖騎士の方々にも手伝っていただけると……」

 と、告げた。


「うむ、それは無論だとも。我々も全てを英雄殿に任せるつもりはない。手を貸す事が出来るものがあるのであれば、喜んでいくらでも手を貸そう」

 アルディアスが頷いてそう返した直後、その話を聞いていた聖騎士たちから歓声めいた承諾の声が上げる。


 その様子を見ていたルーナが、ラディウスの方へと顔を向け、

「ねぇラディ、どうせなら、感知魔法を常駐化したガジェットも作っておいた方がいいんじゃないかしら? 一般的に普及している物を少し改良した程度の物でよければ、私でも作れるわよ」

 と、そんな風に提案した。

 

 ちなみに、少し改良した程度などと言っているが、既にルーナの改良技術は相当な物であり、これからルーナの作ろうとしている物は、一般的に普及している物――と言っても、王国では重要な施設や国境付近に存在している程度の物だが――の10倍以上の性能だったりする。

 ラディウスのレベル――技術力があまりにも高すぎるせいで、ルーナ自身が大した事ないと思いこんでしまっているだけであった。

 

「あ、そうだな。たしかにそれもあった方が良いな。頼めるか?」

「ええ、任せといて」

 そうラディウスに答え、胸を叩くルーナ。

 

「では、我々は魔物を少しでも減らしておくとしましょうか」

「たしかに、私たちはそっちの方が適任なのだわ! 早速、フィルディオ卿を追うのだわ! ほら、セシリアも行くのだわ!」

 マクベインとクレリテがそんな風に言い、セシリアの腕を掴むクレリテ。

 そして、村に突入する時と同じように、セシリアが引き摺られていった。

 

「ちょ、ま、だ、だから、まだ強化魔法使ってないんだってばぁぁぁぁぁぁぁ!」

  

「……この光景、少し前に見たばかりな気がするぞ」

「そうね……見たばっかりね」

 呆れ気味に言うラディウス、ルーナ。


 マクベインは「まったくですね」と苦笑してから、ふたりの後を追うのだった。

直前にミスっている箇所を見つけた為、予定よりも少し遅れて手動で投稿いたしました……


次回は明後日、日曜日の更新予定です。

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