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第2話 村への道を壊す。しかし、すぐに修復する。

 ラディウスからガジェットを手渡されたルーナは、困惑しつつもそれをまじまじと見つめ、ふと思った事を問う。

「これは……ループタイ? 戦闘用のガジェット……なのよね? 単なるアクセサリーじゃ……ないわよね?」

 

「ああ、それもれっきとしたタクティック・ガジェットだ。……というか、古代の人間はガジェットをアクセサリーとしても使っていたのか、遺跡で発見されるガジェットって、実はそういったアクセサリータイプの物が一番多かったりするんだよ」

「あ、そうなの? 私の見た事がある戦闘用の物って言ったら、家の倉庫にしまい込んである私がすっぽり隠れられるくらいの大盾だけだったりするのよね。しかも、使った事がないって言った通り、その大盾は、重すぎて私には持つ事すら出来ないような代物だし」

 と、肩をすくめて言うルーナを見ながらラディウスは、おそらくそれはディックさんの使っていた物なんじゃなかろうか……と思う。


「なるほどな……。それはどちらかというとレアなガジェットだな。ちなみに、アクセサリータイプの物はそんなに性能が高くないんだ。だから、古代の人間にとってアクセサリータイプは、護身用の物……といった程度の扱いだったんじゃないかと俺は思っている」

「なるほどねぇ、そういう感じの代物なのね。でも、扱いやすさでいったら、家にある大盾よりも断然こっちの方がいいわよね」

 ルーナはそう言いながら、ループタイ型のガジェットを身に着ける。

 

「――うひゃっ!? ほ、本当につけた瞬間、頭の中に使い方が流れ込んできたわっ! な、なんとも言い難い感覚ね、これは……っ」

 ルーナは驚きの声を上げると、口に手を当てたまま硬直した。


 しばらく待っても硬直が解けないので、ラディウスが呼びかける。 

「おーい、戻ってこーい」


「はっ! 流れ込んできた知識を順番に理解していたら、ついつい思考が空の彼方にまで飛んでいってたわ!」

「どうしてそうなるんだ……。ってか、思考が空の彼方に飛ぶってどんなだよ……」

 ラディウスが脱力しながらそう言うと、

「えーっと……ポーンと来てギュワンとしてドーン?」

 と、ルーナに良くわからない事を両手で表現しながら言われ、更に脱力するラディウス。


「……さ、さっぱりわからん」

「あ、うん、ごめんなさい。私にもどう表現していいのかわからないわ。なんか、凄い新鮮な感覚だったから……」

「そ、そうか……。まあ……いいや。それで? 肝心の魔法の方は使えそうか? 音声認識型だから、初めてでも大丈夫だと思うが……」

「ええ、問題なく使えそうな気がするわ。早速やってみるわね」

 ラディウスの問いかけにそう答えると、ルーナは森の方に手を突き出して言い放つ。

「――ストーンフォール・改ッ!」

 

 直後、中空に先端の尖った岩が生み出され、一直線に地面へと落下。

 ズドン! という音と共に地面――石畳に穴を開けて砕け散った。

 

「これが……魔法。す、凄いわね……。というか石畳、どうしようかしら……」

「まあ、そこまで強い魔法ではないけどな……。俺、あんまり強力な攻撃系の魔法は作りた――持っていないからな。……よっと!」

 そんな風に言いながら、レストア・改を使い、石畳を修復する。

 

「えっ!? なんなの今の! 一瞬にして石畳がきれいに元通りになったわよ!?」

「レストアっていう修復の魔法だな。基本的には物の修復がメインだが、一応軽微な傷とかなら治せるぞ」

「それ、なかなか便利そうな魔法ね! お皿とかコップを割った時に使えそうだわ!」

「なるほど、さすがは酒場兼宿屋の看板娘って感じの発想だな。たしかにそういう時にも使えるし、地味だけど便利な魔法だと俺も思うぞ」


 なんて事を言うラディウスだが、普通の『レストア』では石畳の修復などという事は出来ない。

 かなりの『改造』が施されているからこそ出来る芸当である。


 ついでに言えば、ストーンフォールも、普通は石畳に穴を開けるほどの先端が尖った岩を生み出せたりはしない。何しろ、魔法の名前が『ロック』ではなく『ストーン』なのだから、そもそも岩が生み出される方がおかしいのだ。 

 しかし、魔法を始めて使ったルーナにそんな事が気付けるはずもなく、これでも弱い魔法なのかと信じてしまった。


「そういえば……今のレストアっていう魔法、魔法の名前を声に出していなかったような気がするけど、魔法によって声に出したり出さなかったりするものなの?」

 ラディウスの使ったレストア・改は、自身の使ったストーンフォール・改と違い、魔法の名前を口にせずに使っていた事に気づいたルーナは、その事が気になり問いかける。

 と、問われたラディウスの目が光った!


「んー、ちょっと違うな。ガジェットは、中に組み込まれている魔法構築連鎖術式――通称魔術式と、大気中の魔力素を魔法用にコンバートする魔晶によって構成されているんだが、リーベン・ガジェットみたいな1つの魔術式しか組み込まれていない物は、スイッチやレバーなどのトリガーとなる物を介す事で起動させる構造になっているから、魔法の名前を口にする必要はないんだ。対して、タクティック・ガジェットは複数の魔術式を切り替えて使う必要があるから、音声認識によって使う魔術式を切り替える仕組みが組み込まれている場合がほとんどだ」


 そう一息に説明するラディウスだったが、ガジェットに対する知識の乏しいルーナにはさっぱり理解出来ず、頭を捻る。

 というより……同業者でもなければ、仕組みを一息に説明されても、理解するのは難しいのではないだろうか。


「……何を言っているのかさっぱりわからないけど……えーっと、とりあえず何か特殊な方法が使われているって事でいいのかしら?」

 ルーナは理解するのを諦めて、そんな大雑把な解釈を口にする。

 

「ま、簡単に言えばそうだな。ルーナでも方法さえ覚えれば――」

 ラディウスは、ルーナへの返答を途中で止め、森の方へと顔を向けた。


「どうかしたの?」

 そう問いかけながら、ルーナも森の方へと顔を向ける。

 直後、ラディウスが答える。

「――どうやら、さっきルーナが言っていた『滅多にない』を引き当ててしまったみたいだ」

思ったよりも早めに投稿出来ました!


説明が分かりづらかったので色々調整していたら、文字数が1.5倍になりました……

それでもなにやら分かりづらいような気が…… うーん……


追記:微調整しました!

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