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第14話 魔軍事変。燃やして砕いて防御して。

「あれだけの大打撃を喰らってもなお、攻め寄せてくるか……」

 中央にいたアルディアスはそう呟いたその直後、布陣の左翼側から放たれた雷撃魔法によって、正面から迫る魔物が打ち払われる。

 

「あれは……フィルディオの放った魔法か。さすがは英雄の作りしガジェットだな」

 そう呟くと、アルディアスは配下の聖騎士たちの方を向き、

「半数は左翼のフィルディオたちと共に魔物の迎撃! 残り半数は右翼に続き、英雄殿たちの援護だ!」

 と、指示を飛ばす。

 

 発せられたその指示と共に、聖騎士たちが速やかに左右に分かれて移動を開始。

 アルディアスは左翼部隊を援護するようにルミナスレインの魔法を発動した後、自らは右翼方面へと駆けた。

 

                    ◆


「グギャア!」

「ゲギィ!?」

「ギギギィィ……」


 ラフレシアに触手めいた手と足を足して、更に鋭い牙を持つ口を付けた感じの魔物――ベノムプラントイド3体が、ドラゴンのファイアブレスを思わせる強烈な火炎放射をまともに食らい、一瞬にして消し炭と化す。


「やれやれ、実に気色の悪い魔物だな。くさい息でも吐いてきそうだ」

 なんて事を顔をしかめて言うラディウス。

 

「……くさい息かどうかは良くわからないのだわ。でも、気色悪いというのは同意なのだわ。――それとその武器、炎まで噴き出すなんて、面白いのだわ。ああいう汚物めいた魔物は焼き払うのが一番なのだわ」

 クレリテがそう言いつつ横から迫ってきた、赤い皮膚とふたつの角を有する鬼のような上半身に馬のような下半身を持つケンタウロスもどき――メルドライダーを、魔法の矢の連射でハリネズミにして撃退する。

 

「まあ、折角この形状にしたし、消毒するにはもってこいだからな」

 と、ラディウス。

 何が折角なのか、何を消毒するのか、どちらもさっぱり分からないクレリテだったが、そこには触れずに頭上から急降下してきた小型の飛竜――グライドワイアームを、伸縮する剣で下から突き刺した。

 

「ちょっ!?」

 セシリアがそんな声を上げた。

 

 当然ではあるが、真上にいる敵を突き刺しているのだから、血飛沫は上から降り注ぐ形になる。

 セシリアはそれを悟ったが故に、止めようとした。

 

 しかし――

「血塗れになると思ったのだわ? 残念、対策済みなのだわ!」

 などと宣いながら剣を振るい、そこに突き刺さっているグライドワイアームを放り捨てるクレリテ。

 

「なるほど。私の作った液体を弾く防御魔法を使ったってわけね」

 ルーナがそう言いながら、背中に剣山を背負ったトカゲ――ニードルリザードめがけてパイルバンカーを叩きつける。

 

「ふっふーん、そういう事なのだわ。これで安全なのだわぶぇぇっ!?」

 胸を張ってドヤ顔で発言している最中に、どこからともなく飛んできた岩によって吹っ飛ばされるクレリテ。

 

 否、飛んできたのではなく、それは地面を這う岩で出来た手と顔――そんな見た目の魔物、ロックシーカーの放ったパンチだった。

 

「――グラビティスフィア!」


 ラディウスは即座に超重力魔法を発動。

 発生した凄まじい重力によって一瞬にして圧潰され、粉々に打ち砕かれるロックシーカー。

 そして、クレリテの様子を確認すべく、吹っ飛ばされた方へと視線を向ける。

 

 するとそこには、

「やれやれ……油断大敵というものですよ。ラディウス様のお作りになった、自動防御魔法が込められたガジェットがなかったら、今頃、全身の約半分の骨が砕けていたところです」

 などとサラッと怖い事を言いつつ、吹っ飛ばされたクレリテに対して回復魔法を使うマクベインの姿があった。


 ラディウスはそれを聞きながら、あのガジェットを渡しておいて正解だったな……と、そんな風に思うのだった。

戦闘中にドヤ顔で喋りだすのは危険です(何)


とまあ、それはそれとして次回の更新ですが……明後日、日曜日の予定です!

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