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第4話 メルメメルアの状況。アルベリヒとレストア。

「……やはり、か」

 あえて、その言葉を口にするラディウス。

 それを聞いたメルメメルアが、ラディウスの方を見て問う。

「やはり……です? それはどういう意味なのです?」


「ああ。実は妖姫と会話している時に、その辺りの不自然さ――おかしな部分に気づいてな。それがどうしてなのかと考えた俺は、妖姫が言っていた『封魂術の記憶維持のような術式を担っていた研究者だったものの、その術式の実験だとかこつけて、記憶改竄のような事をした』が、その答えなんじゃないか……と、そんな風に思ったんだ」

「えっと……つまり、私はその『記憶改竄』のようなものをされていた……です?」

「いや、それだけだとちょっと弱いな」

 ラディウスは、いくらなんでも記憶を改竄しただけで、そんな風にはならないだろうと考えていたので、メルメメルアの問いかけにそう答える。


「う、うーん……そう言われると、たしかにそうかもしれないのです。だとしたら……アルベリヒは一体私に何をしたというです?」

 不安げな表情を見せるメルメメルアに対し、ラディウスは腕を組みながら

「そうだな……もう一歩踏み込んだ形なんだと思う」

 と、答える。


「もう一歩……です?」

 その問いかけにラディウスは、

「ああ。そしてそれにしっくりくる言葉は……」

 と言いながら思考を巡らせ、適切な言葉を見つけた。


「――そう、マインドコントロールだ。記憶を操作する事で、マインドコントロールされているような状態になっていたんじゃないか?」

「マ、マインドコントロールですっ!?」

 メルメメルアはラディウスの言葉を聞き、驚きの声を上げた後、今までの事を頭に浮かべながらあれこれと考え始める。

 そして、ラディウスが紅茶を飲み干し終えるくらいの時間が経過した所で、口を開いた。

「でも……たしかに言われてみると、そう考えるのが、自分でも色々としっくり来た感じなのです」


「そうか……。……ただなぁ、どうやってその状態が解除されたのかが良くわからないんだよなぁ。……レゾナンスタワーから帰ってきて、再度アルベリヒと話した時には、既にアルベリヒに対する信頼はなかったようだったし」

「うーん……もしかしたらなのですが、ラディウスさんから貰った、例の改造されたレストアが組み込まれたガジェットを、帰りにあれこれ試していた――自分に対して使ってみたりしていたから……かもしれないのです」

 ラディウスの疑問に、そんな推測を口にするメルメメルア。

 

「ああ……そういえば、帰りの列車内で俺の渡したガジェットを取り出して、何かやっていたな」

 まったく気にも止めていなかったが、そんな事していたのか……と思いつつ言うラディウス。

 

「しかし、そうなると……だ。俺が改造したレストアが、『マインドコントロール状態』から正常な状態に戻した、という可能性が浮上するってわけか」

 ラディウスは呟くようにそう口にすると、自らが改良したレストアの術式を思い出しつつ、思考を巡らせ始める。

 

 ――うーん……。たしかにあのレストアは、改造する時に『対象がそうなる前の状態に戻す』という部分の術式を強化してあるからなぁ……

 だから、メルが自分に対して使ったレストアによって、メルが『マインドコントロール状態』になる前の状態に戻った……というのは、術式の構成――理論上ありえる話ではある……か。


 と。

レストアって地味に強力なんですよね……。まあ、術式の構成を改造(改良)しなければ大した魔法ではないのですが……


さて、そんな所で次回の更新ですが……明後日、日曜日の予定です!

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