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第3話 時を遡る者。もうひとり。

「ただ……私自身、その魔法に関しては詳しく知らない為、あくまでも推測――仮説であり、絶対にそうであるというわけではありませんので、ご了承ください」

「了解だ。とはいえ……その仮説のお陰で、なんとなくキッカケは掴めた気がするな。……あとはまあ、色々試してみるしかないか。――あのアルベリヒという人間に注意しつつ……だが」

 ラディウスがそう言うと、妖姫がなにやら再び思案顔になる。

 

「ん? なにか気になる事でも?」

「……いえ、そのアルベリヒという人物ですが、私の知るその名を持つ者は、封魂術の記憶維持のような術式を担っていた研究者だったものの……その術式の実験であるとかこつけて、記憶改竄のような事に手を出した為、追放処分にされていたような気がしまして……。まあ、同名の別人である可能性も考えられるというか、状況的にはそう考える方が良いとは思いますが……」

「うーん……その話は少し気になるが、たしかに追放されていたら封魂術でこの時代に渡って来ているはずがないよなぁ……。そもそもメルにとっては、古の時代からの信頼ある知り合いって雰囲気だったし……」


 しかし、そこまで口にした所でラディウスは思った。

 

 ――まてよ……? その信頼があったのなら、何故アルベリヒを疑ったんだ?

 それに……よくよく考えてみると、何だか色々とおかしな所がある気がするぞ……?

 そう、まさに今話していた記憶の改竄とでもいうような……

 でも、それだけでは説明が付かない部分もあるんだよなぁ……

 ……いや、これはあれこれ考えるよりも動いた方がいいな。よし――

 

「ちょっと気になる事があるから、今から街の方へ行ってこようと思う」

 そう言いながら、以前と同じ方法を使うべく牢の隅へと移動するラディウス。

 

「え? あ、この下の地下水路から行くんでしたっけ?」

「ああ。何か分かったらまた戻ってくる」

 

                    ◆

 

「――てなわけで、ギルドまでやってきたが……メルはいるだろうか?」

 以前と全く同じルートで冒険者ギルドへとやってきたラディウスは、入口を見つめながらそんな事を呟く。

 そして数瞬の後、ここに立っていても仕方がないと考え、その扉を開けた。

 

「おや、見た事のない方ですねー? 冒険者登録でしょうかー? それとも、ご依頼でしょうかー?」

 いつぞやと全く同じ言葉を投げかけてくる受付嬢。


「あー、実は――」

 ラディウスが受付嬢に対し、メルはいるかと問おうとした直後、

「その声は……ラディウスさんなのです!?」

 という言葉と共に、慌てた様子でメルメメルアが奥から姿を見せる。


「……メル? 俺の事知っている……いや、覚えているのか?」

「当然なのです! 覚えているです! まあ……正直、何がなんだかさっぱりと、いった感じではあるですが……」

 ラディウスの問いかけに、そんな風に返してくるメルメメルア。

 

「あらー? メルメルちゃんの知り合いー?」

「メルメメルアなのです!」

 受付嬢に突っ込みを入れたメルメメルアは、即座に我に返ったような表情をして、

「って! そんな些事はどうでも良かったのです! つい突っ込んでしまったのです!」

 なんて事を口走りながら、ラディウスの方へと向き直る。

 

「あ、あの……少し――いえ、色々と話をしたいのですが、よろしいです?」

「ああ、それはもちろんだ。……というか、俺も色々と話をしたい事があるから、どこかで落ち着いて話すとしよう」

 メルメメルアの問いに頷き、そう返すラディウス。

 

「あ、たしかにそれもそうなのです。でしたら、落ち着いて話せる良い場所があるので、そこへ行こうと思うですが、よろしいです?」

 そのメルメメルアの問いかけに、ラディウスは腕を組みながら答える。

「よろしいというか……俺はこの街については詳しくないし、良い場所があるなら任せる」

 

「はい、任されたのです」

 メルメメルアはラディウスにそう短く返すと、一度言葉を区切る。

 そして、受付嬢の方を見て、続きの言葉を告げる。


「――というわけで、今日はもう上がるのです。後は任せたのです」

なんだかタイトルが凄く率直な感じになってしまっていますが、他に思いつかなかったんです…… orz


それはそれとして、次回の更新ですが、明後日の水曜日を予定しています。

今週は多分、1日置きの更新になると思いますので、よろしくお願いいたします!

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