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第8話 次の一歩。館へ。

「ああ、そういうわけだ」

 ラディウスはそう言って頷いた後、一呼吸置いてから、

「って事で、そのディーゲルとやらの館に行ってみたい所だが、郊外か……」

 と、言葉を続けた。

 

 ――そう……。この『帝都』とやらは、向こう側の街……グランベイルやカレンフォートは(おろ)か、あの王都よりも広い事は、ギルドで貰ったマップで既にわかっている。

 都市の外へ移動するだけでもかなりの時間を要するだろう。どうしたものか……

 

 だが、そこまで思考を巡らせた所でメルメメルアが、

「郊外は郊外でも、ディーゲルさんの館がある場所は、帝都内を循環する地下トラムを使えばすぐなのです! 幸いな事に近くに駅があるです!」

 なんて事を告げてきた。


「マジか! それは好都合という奴だ! 早速行くとしよう!」

「了解なのです! 駅はこっちなのです!」

 メルメメルアはラディウスにそう答えると、手に持ったままのガジェットを自らのストレージに押し込み、ラディウスを駅へと案内するべく、前に立って走り始めた。


                    ◆


 ……と、そんなこんなで地下トラムを使い、レベロム自然公園駅までやってくるふたり。

 

「レベロム自然公園……。なるほど、郊外は自然公園になっているのか」

「なのです。といっても、ディーゲルさんの住まう館は、公園の外なのです」

「まあそりゃ、自然公園の中に個人が住む家なんぞ建てたら、自然公園である意味がないしな……。しかし、この辺は街灯の類がまったくないな。陽が完全に沈んだら真っ暗だぞ」

「一応、携帯式の照明ガジェットは、予備も含めて3つあるです」

「ああまあ、俺も2つあるから問題はないが……なるべく陽が完全に沈む前に辿り着くとしよう」

 

 そんな会話をしながら走って行くと、程なくして、いかにも洋館といった感じの建物が、その姿を見せた。

 とはいえ、大きさはそんなではなく、小ぢんまりとしている。

 

「マリスディテクターに反応はない……か」

「もしかして、留守とかです?」

「うーん……たしかに、もう陽が沈む直前だというのに、館から明かりの類が一切見えないって事から考えると、留守であってもおかしくはないが……単に、俺たちに気づいていない、悪意を持っていない、といった可能性もあるし、何とも言い難いな」

 

 ――他にも……既にアルベリヒの手の者が先に来ていて、ディーゲルとやらを始末してしまっているという最悪のパターンも考えられはするが……

 この短時間で、向こうがそこまで動けるとは思えないしなぁ……

 

 ラディウスはメルメメルアと話しながら、そんな事を考える。

 

 ……そうこうしているうちに、館の玄関先へと辿り着く。

 そこまで来てもなお、特にこれまでと変わった様子はなく、館は静まり返っているだけだった。

 マリスディテクターも、同様に沈黙したままだ。

 

「中に人がいるような感じはしないのです」

「んー、やっぱり留守なんだろうか」

 メルメメルアに対し、ラディウスは呟くような感じでそう答えつつ、館の玄関――ドアに近づき、そのドアノブに手をかけた。

 

 と、予想に反して、ドアノブがガチャリという音と立て、あっさりと動いた。

 

「お?」

「もしかして、鍵がかかっていない感じです?」

「ああ、そうみたいだ……」

 ラディウスが玄関のドアを開きながら答える。

 

 ――中は真っ暗、か。

 まあ、もう陽が沈む時間帯だから当然だよな。

 ……照明のガジェットらしきものはしっかりあるし、故障しているようにも見えない。

 つまり、意図的に起動していないという事になるが……


「――もしかしたら……だが、手遅れだったパターンかもしれん」

「手遅れ……です? えっと……それはつまり……既にディーゲルさんが口封じをされてしまっている……という事です?」

「ああ、その可能性が浮上してきた感じだ。無論、もっと単純な理由――それこそ、逃げ出す時に鍵を掛ける時間すら惜しいと思っただけ……とか、そういった可能性もありえるっちゃありえるけどな」

「たしかに、切羽詰まって慌てて逃げ出すような状況下であれば、家に鍵を掛けていなくても、全然おかしくはないのです」

 

 ふたりはそんな事を口にしつつ、静まり返ったディーゲルの館へと足を踏み入れるのだった――

予定では、次が2章ラストになる想定なのですが……文字数によっては分割するかもしれません。


その次回の更新は、23日水曜日を予定しています! 少しだけ余裕が出来たので1日早く行きます!

このままもう少し更新頻度を上げられるようになるといいのですが…… orz

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