第2話 賢者にして英雄の工房。訪れしふたりは……
更新がとてつもなく遅い時間になってしまいました……
なんだかんだあったものの、どうにか落ち着きを取り戻し、ラディウスは予定通りマーカスから工房を譲り受けた。
そして、あちら側の世界で使う為の魔法を組み込んだガジェットを作っていると、久しぶりの人物が尋ねてくる。
「――とまあそんな事があった結果、今に至る……って感じだ」
ラディウスが、譲り受けた工房に訪れたクレリテとマクベインに、これまでの出来事を語り終えると、ふたりはラディウスの語った内容に対し、呆れと困惑の混じった表情と言葉を返す。
「け、賢者に英雄……? い、色々ありすぎて、わけがわからないのだわ……」
「ある意味、色々と納得出来るといえば、納得出来る話ではありますが……」
そして、マクベインは周囲を見回しながら、
「ただ……この工房をラディウス殿が引き継いだのは、個人的には嬉しいですね。――この工房の主には、かつて色々と協力していただきましたから」
と、過去を懐かしむかのような、そんな表情で言葉を続けた。
「たしかにそうじゃのぅ。――で? そっちの娘が『後継者』なのかの?」
工房へとやってきたシェラが、マクベインに対してそう問いかける。
「これはシェラ殿……。お久しぶりです」
マクベインが少しだけ驚いた表情を見せながら、そう答える。
ラディウスはシェラの言った『後継者』という言葉が気になったが、それを問うよりも先に、ふたりが話を始めた。
「出会う事自体はそうでもないぞい。まあ、こうして会話をするのは久しぶりじゃがな。お主は、この街に立ち寄っても長居せずにすぐに他の街へ行ってしまうからのぅ」
「……それは、たしかにそうですね……。まあ、この街は聖堂が存在していますし、長居する必要性が特に無いともいいますが……」
「ま、それはそうじゃな。……もっとも、今回はそうでもなかったようじゃが」
そう言いつつ、ラディウスの方へと視線を向けるシェラ。
「ええ……。まさか、伯爵があのような人物であったとは気づきませんでした」
「うむ、それは儂も同じじゃ。一度顔を合わせて話をした事があったのじゃが……よもや、あのような行為を裏で行っていたなどとは、その時は露程も思わんかったわい」
と、そんな風に言うマクベインとシェラ。
ちなみに、ふたりの言う『あのような』というのは、教会が発表した伯爵についての話――『人を魔物に変える術の研究を行っていた』という事についてである。
「わかっていたら、私が乗り込んでいたのだわ!」
そう力強く、勢いよく言ったクレリテだったが、直後にその勢いが急速に萎み、
「……でも、話を聞いた感じだと、返り討ちにあっていた気もしなくもないのだわ……」
なんて言って、ラディウスの方を見た。
「それはありえますね……。カラミティエイビスとの戦いで思いましたが、ラディウス殿の使う戦闘用魔法は段違いの性能ですし」
「うむ、そうじゃな」
マクベインとシェラがそんな風に同意の言葉を口にする。
「あー、まあ、実の所……伯爵は姿を見せた時に、長々と語っていてくれたので、まあ……その隙を突いて攻撃するという、ちょっとインチキくさい方法で倒した感じなんですよ……。多分、普通に正面を切っての戦いになっていたら、かなり苦戦していたと思います」
ラディウスが頭を掻きながらそう3人に対して告げると、クレリテが腰に手を当て、何故か自信満々と言った雰囲気で、
「悪党相手に、正々堂々なんて戦い方は必要ないのだわ! 闇討ち上等なのだわ! 私もバンバン闇討ちしているのだわ!」
なんて事を言ってきた。
それを聞いたラディウスは、クレリテが普段何をしているのかが気になり、そして思う。
――おそらく、シェラさんが『後継者』と言っていたのが、それに関係しているのだろうが……。果たして、それを聞いた所で話してくれるのだろうか……
と。
どうにかこうにか、29日中に更新する事が出来ました……
大分遅くなってしまいまして申し訳ありません。
今回は、久しぶりのふたりの登場ですが……ラディウスのセリフが少ないですね……
実の所、賢者だの英雄だのと街の人々に讃えられる部分は、ばっさりカットしていたりします。
このシーンを書いてみた所、どうも話が間延びするだけになる感じだったので……
ラディウスのセリフが少ないのも、その辺の影響です。
さて、次回の更新ですが土曜日を予定していたのですが、
所々諸々の事情により、更新するのが難しくなりました……
この為、次の更新は月曜日を予定しています…… orz
(来週は月/水/金ではなく、月/木/日の可能性が高いです……)
追記1:誤字脱字を修正しました。
追記2:次回の更新予定日に関する記述を調整しました。




