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第3話 レゾナンスタワーの探索。通信の解析。

「さて……当時のままだという事は、機能そのものは生きている、あるいは休眠していると考えていいな」

 ラディウスは、そう言葉にしながら周囲の機械と計器を改めて見回す。

 

 ――この機械や計器類は、その全てが術式で構成された物を内包している。

 つまり、巨大なガジェットでしかない。だから、解析する事は出来るはずだ。

 問題は、解析して理解が追いつくかだが……

 

 そんな事を考えつつも、とりあえず見てみないと何もわからないという事で、ラディウスはいつものように解析を始める事にした。

「マジックストラクチャー・オープン!」

 

「ほわぁ、これがマジックストラクチャーなのですか……。初めてみたです」

 感嘆の顔をしつつ声を発しながら、展開された術式を眺めるメルメメルア。

 

「ん? 今まで魔法の構成を解析した事はなかったのか?」

「ないのです。鑑定はしていたですが、解析まではしていないのです。……というか、です。魔法の構成は複雑すぎて私にはさっぱりなのです」

 メルメメルアは、ラディウスの問いかけにそう答えながら両手を左右に開き、首を横に振った。


「うーん……それは単に、近くに構成について教えられる人間がいなかっただけ、とかじゃないのか? この間、初めて魔法に触れた人間に説明しながらやらせてみたら、魔法に組み込まれているセキュリティを解除する事が出来たぞ」

 と、ラディウスはルーナの事を思い出しながら口にする。

 

「セキュリティ解除……。それは、その人が天才級なだけなのです。私では教わりながらでもセキュリティ解除とか無理なのです。なぜなら、言われても何が何だか分からないですから」

「そ、そう……なのか?」

「そうなのです。その人が凄いだけなのです」

「う、うーむ……」


 ――メルメメルアの言う通りであるなら、ルーナはガジェットや魔法に関連する知識や技術の習得に優れているって事になるな。

 まあ、俺自身もそんな風には感じていたが……

 もしかして本格的に教えたら、俺と同じくらいになったりするのだろうか……

 というより、むしろ同じくらいになるまで育成したい気もするな。

 俺ひとりでは時を遡る前のような事態になった場合、抑える事も改善する事も出来ない状態になってしまうが、俺と同じくらいの知識と技術を持つ者が他にもいれば、何か起きた時に色々と手が取れるようになるし。

 無論、俺とルーナだけではさすがに足りないので、もっと可能な限り増やし……っとと、なんだこれ。

 

 思考の途中で、構成の中に不審な点を発見したラディウスは、そこで思考を中断すると、不審な点に注視して詳しく調べ始める。

 

「あの、急に一ヶ所を集中して調べ始めたですが、もしかしてそこになにかあるです?」

「ああ。わかりづらいが、配線がこの辺りで分岐しているんだ……。いや、そうじゃないか。配線の中にハブとなる術式を隠してある……っぽいな」

 メルメメルアの問いかけにそう返しつつ、その隠蔽(いんぺい)されていた術式を暴き出すラディウス。

 

「きゅ、急に魔法陣が現れたのです!」

「うーん……。こいつは構成がSWレシーバーに似ているな。もしかして、こいつが術式を受け取っている……のか?」

「えすだぶりゅーれしーばー……です?」

 ラディウスの口にした単語が分からずに、首をかしげるメルメメルア。

 

「俺も妖姫から教えて貰ったんだが……これは、別のガジェットから送られた術式を受け取るためのもの、だな」

 例の監獄での会話を思い出しながら、そう告げると、メルメメルアは驚き、

「っ!? そ、それはつまり……さっきのドールガジェットは遠隔操作されていたという事です!?」

 と、口元に手を当てながらも、声を大にして言った。


「いや、まだわからないな。単純に古の時代に、通信支援や通信制御の為に使われていた可能性もあるからな。……もっともその場合は、隠蔽しておく意図がわからないが……」

「それ、ほとんどドールガジェットの遠隔操作に使われていた物だと思って良いという事な気がするですが……」


 メルメメルアの言う通り、ラディウスも既に十中八九ドールガジェットを遠隔操作するために使われていた物だろうと思っていた。

 あえて他の可能性がある事を口にしたのは、冷静になって客観的に分析する為だ。

 

 ――この術式……構成が稚拙(ちせつ)というか、SWレシーバーを真似して作ってはいるが、暗号化と復号(ふくごう)化を処理する部分のプロテクトが甘いな。

 これであれば、割と簡単に送信元の逆探知が出来そうだ。

 まあもっとも、その為にはこういった物を逆探知する為の、専用のガジェットを作らないといけないんだが……幸いというべきか、それをすぐに作る事が出来る手段があったりするんだよな、俺には。

 

 ラディウスはそこまで考えた所で、すぐにあちら側の世界へと飛んだ――

というわけで、次回は再びあちら側に戻ります。


そして、その次回の更新は日曜日の予定なのですが、その次――来週はほとんど執筆時間が取れない予定になっている為、木曜日と土曜日の2回の更新を想定しています(申し訳ありませんが、火曜日は更新がありません……)

来週は今よりも更に更新回数が減ってしまいますが、再来週は1日置きに戻ります! さすがに毎日更新にまで戻せる余裕はまだありませんが、1日置き更新にまでは戻します!


追記:『復号化』が誤って『符号化』になっていた為、修正しました。

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