第2話 レゾナンスタワーの探索。通信制御室へ。
「ふぅ、よいしょっと……。これで全部なのです」
封魂術のガジェットを作るの必要な素材を全て集め終えたメルメメルアが、ラディウスに対してそんな風に告げた。
「なるほど……こういった代物――素材を使って、アレは作られているのか」
ラディウスが、集められた素材をまじまじと見つめながら、呟くように言う。
「はいなのです。あ、とりあえず集めた物を収納してしまうのです」
と言いながら、ストレージへと収納していくメルメメルア。
「そういえば、ストレージの魔法が組み込まれたガジェットは、普通に存在しているんだな」
「あれ? もしかして、ラディウスさんの居た所では珍しい代物だったのです?」
ラディウスの言葉に疑問を抱いたのか、メルメメルアが小首を傾げながらそう問いかける。
「んー、まあそうだな。俺の持っているのは自分で作った奴だし」
「あ、自分で作った物だったですか。……ちなみに、どのくらい収納出来るです?」
メルメメルアは、ラディウスが自分で作ったと言われ、好奇心で尋ねる。
「この素材くらいなら、5万個くらいは収納出来ると思うが……」
「ごま……っ!?」
――そ、想定外すぎるのですっ! 多すぎるのですっ!
私の持つストレージのガジェットは、かなり高性能な方ですが、それでもせいぜい500個が限度なのですよっ!?
軽く100倍収納出来るって、一体全体どうなっているですーっ!?
と、そんな事を言葉にしようと思ったものの、あまりの驚きに声が上手く出ず、口をパクパクさせるだけのメルメメルア。
「さ、さすがラディウスさん……。どれもこれも規格外なのです……」
メルメメルアは、どうにかそれだけ絞り出すように言うと、額に手を当てて頭を振った。
「そこまでではないと思うがなぁ……。まあ、それはともかく、念の為に同じ素材をもう1セット集めておくか。何かで使うかもしれないしな。すまんが、ちょっと待っててくれ」
ラディウスはそんな事を言いながら、メルメメルアが集めた物と同じ物を、同じ数だけ集めてストレージへと格納する。
「――よし、これでいいな。って事で、とりあえず通信制御室として使われていた場所やらへ行ってみるか」
「あ、了解なのです。案内するです」
◆
メルメメルアの案内に従い、レゾナンスタワー内部を進む事10分……
「――ここが、通信制御室として使われていた場所なのです」
そうメルメメルアが言って、目の前の扉を開く。
「ふむ……。結構、機械や計器の類が残っているが……あれは古代の物……なのか?」
ラディウスは室内の機械、そして計器類を見回しながら、首を傾げる。
なぜなら、あまりにもそれらが綺麗すぎたからだ。
「はいなのです。劣化や酸化といった物を防ぐ特殊な保護魔法が付与されていて、それをどういう原理か不明なのですが、半永続化する事で、ほぼ当時のままの状態を保っているです」
「なるほど……。さすがは古代の代物だな……」
――まあ、ヴィンスレイドがエレベーターを復活させた事を考えると、根幹部分は当時の状態を維持しているんだろうな……おそらく。
なんというか……古の時代の文明は、とんでもない技術力を有していたって事を、再認識させてくれるなぁ……ホント。
ラディウスは、そんな事をしみじみと思うのだった。
今回の話は、ほとんどなにも進展していない気がしますが、まあ……ここの説明話をすっ飛ばすと、色々と後で大変な事になる(唐突すぎる事になる)ため、致し方ない面も……
さて……次回ですが、明後日の金曜日を予定しています。
こちらも状況が好転しないため、1日おき更新が続きます orz




