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プロローグ

癖のある夕焼け色の髪に黄金の瞳を持つ美しい女性が一人、王の部屋の前で固まっていた。

彼女の名前はアイリーン。

エルドラント王国の王妃。

彼女は生まれた時から王妃になる為に育てられた。

現国王ルルシア・エルドラントは顔だけは美しい・・・・顔しか取り柄のない愚王だった。

それはエルドラント王国だけではなく諸外国にも知れ渡っていた。

彼の父であり、エルドラント王国の先王は実の兄を殺してその地位に就いたとされている。証拠不十分で罪には問われていない。

だが彼は政治に興味のない人だった。ただ地位と権力が欲しくて王位を簒奪したのだ。

面倒な政治はリーベルト公爵家に婿入りし、臣下になった弟に丸投げ。自分は悠々自適なニート生活を送っていた。

そんな男の元に育った息子がまともなはずがない。もちろん、良識のある臣下が何とか手を尽くして立派な王になるように努力をしたが、悉く失敗。

ルルシアは苦言を呈する臣下の言葉よりも甘言を囁くリーベルト公爵やその取り巻きの言葉を重要視し、自分を過大評価する愚者に成り下がった。

そんな男が王となる。それは恐怖でしかない。良識のある臣下にできたのは王の育成を諦めて愚王を支えられるだけの立派な王妃を育てること。

それで白羽の矢が立ったのがヘレナ公爵家だ。

ヘレナ公爵は迷うことなく皆の意見に賛同。自分の娘を王妃とする為に厳しく育てた。一切の甘えを許さなかった。

ただ一つ懸念はリーベルト公爵側からの妨害だった。たくさんの刺客が送られてきた。毒を盛られるのは日常茶飯事だった。その為、アイリーンの傍には身分を問わず信用と実力のある者だけが配置された。

リーベルト公爵はアイリーンが王妃になることを反対したがそこは何とかヘレナ公爵家や他の臣下が頑張ってくれた。

アイリーンは二十歳になった。十六歳で王妃になってから四年。一度も自分のところに訪れず、執務すらしない王の代わりを泣きごとも言わずに頑張ってきた。

リーベルト公爵側から送られてくる刺客だって減ったわけではない。それでもそれが自分の存在意義だと思い、踏ん張って来た。

その仕打ちが王の浮気だった。

「ふざけるな」

王の部屋で熱い抱擁を交わしているのはメアリー・ヘスティア。ヘスティア子爵家の娘で、王宮の侍女だ。

薄紫の髪と目をした素朴だけどそこが可愛らしい少女だと騎士の間でちょっとした噂になっていた。

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