白い涙

雪が舞い落ちる。それがなんだか空の涙のように見えて、その涙に手を伸ばす。手の真ん中に落ちた涙は、冷気を発しながらその名残を残して霧散した。

手を握り込む。じんわりと湿って、温かかった。それが、なんだか責められているように感じて、歯を鳴らす。

二、三度深呼吸を繰り返し、力の入った拳をほどく。と、その肌に大きな涙がいたずらをして、びくりと震えた。

さっと視線を這わせると、白い涙が一瞬だけ見えて。次の瞬間には煌めく涙が肌を伝った。

空を見上げる。どんよりした空からは、涙が少ししか出ていなくて。

胸に手を当て、しわを付ける。

頬に白い涙がぶつかって、涙と混ざって溢れ落ちた。