7話
そんな、わたしに声をかけてくる人物がいた。そこに居たのはレッスさん、ラルヴさん、ペリコさんの傭兵3人組だった。
「どうしたんですか?皆さん。あとパゴニさんはご一緒じゃないんですね」
「ああ、パゴニさんは大将と報酬のやり取りをしているのさ。何、ちょっと将来有望な新人の勧誘を、ね?」
「わたし傭兵にはなりませんよ?向いていなさそうですし」
「いやいや、俺達にあんな圧勝しておいてそりゃないぜ。絶対向いてるって、なぁ?」
「そうだなぁ~俺よりも才能ありそうだしな」
「もぅ、嫌ですってば~それよりお時間があるのでしたら、街を案内して貰えませんか?日用品や野営などの旅の準備がしたくてお店を探していました」
「まぁ、暇してるし別に構いゃしないけどさ。さてどこから回るかね」
そこからは傭兵3人組(主にレッスさん!)と、あれこれとお店を回って歩いた。解体用の短剣(星銅貨2枚)、大きな布袋2枚(銅貨4枚)、小さな革袋(銅貨1枚)、あと着替え用の服や肌着類複数枚(星銅貨2枚)、一応毛布も1枚(銅貨3枚)、その他雑貨(星銅貨1枚)
残金=銀貨4枚、銅貨7枚、屑貨80枚
お礼に昼食は彼らのお勧めの店というところでご馳走した。
傭兵組と別れ、残った時間一人で街の散策へ。わたし一度歩いた道は匂い?なのかなぜか通った道がわかるので宿に戻るのも心配はない。蟻か。蟻なのか?
市場を見つけたので寄ってみて星銅貨1枚消費し調味料などを購入する。岩塩しか持ってなかったしなぁ。果物も売っていたが高かった!瑞々しさの欠片もない品が銅貨2枚って…。森で採取して収納にいれておけば儲かるかな?
なーんて考えならが宿へ戻りもう一泊分の代金を支払う。部屋に入り、また今後を考える。うーむ。わたしの学力では現代知識チート無双はまず無理だ。他に何がある?あの虫の神様は自由に楽しめと言っていたし、わたしに出来て他の人にはない物…ハッ、筋力か!? いゃ待て早まるな。女子力を失うぞ。危うい危うい。んー…スキル!? ステータスを見れてスキルポイントでスキルを伸ばす何て事は、こちら人には出来なさそうだ…いゃ出来るのか?だが聞くのは怪しまれる気もする。怪力というスキルからしておかしいのだが、明らかに虫的スキルがあるような…。触角あるしな。
スキルポイントを稼いでスキルを伸ばす方向性で行ってみよう。
<ヒナタ> 種族:亜人 状態:平常 スキルポイント=0
筋力=106 敏捷=31 器用=29 体力=10 精神=10
スキル=剣術3、盾術2、健康な身体1、状態異常耐性1、異世界言語1、収納2、気配察知2、暗視1、怪力2、硬化2、酸の息1、逃走2、偽装1、温度感知1、解体2
未取得スキル=突進、爪撃、噛み付き、脱皮
体力と精神、伸ばしたいなぁ。どんなスキルを取得すれば伸びるのだろうね。早速明日、森へ狩りに出かけよう!おー!
そして翌朝。小剣を差し丸盾と革袋を背負う。他は収納へ。そして街を出る。目指すは西に2時間ほど歩いたところから続く森。小剣を抜き手入れのされていない薮や枝を落としながら進む。鳥の囀りに耳を傾け気配察知とサーモグラフィで周囲を見渡す。木の上の方を見ていたが温感で薮の影にキジの様な大きさの鳥を発見する!今まで収納に拾い歩いてきた手頃なサイズの石を取り出して力を込めて投げつける。
石は胴体に当たり弾ける。あちゃー…ミンチになっちゃった。羽を持って持ち上げてみるも無残な姿に(ナンマンダブー)と片手で祈る。
気を取り直しサーチを再開。それから1時間半。特に収穫もなく進む。と、山苺を見つけた!摘んで収納に入れていく。ふぅ一心不乱に苺摘みをしてしまった。これだけじゃ稼ぎにもならないかー…いゃスキルポイントUPに繋がらない!
魔物魔物…いないのかなぁ?お?鹿だ!雄牝小鹿と3頭いる。立派な角をしている奴の頭を狙って…投石!即次弾装填!牝鹿に投石!オロオロしている小鹿に、ちょっと可哀想かもとか思いながらも投石!
やった!鹿3頭ゲットだぜ!スキルポイントはー…1かぁ。斑みたいのじゃないと早々稼げないよねぇ。それはともかく鹿達の後ろ脚をロープで縛って吊るす。ちゃんと血抜きをしないとね。血生臭いので少し離れたところで様子を見つつ昼食に。んー…殺伐としてますなぁ。山苺をつまんでみる。すっぱ!
その日夕方近くまで頑張ってみたけど収穫は山苺と鹿3頭だけだった。鹿の毛皮を剥いで肉はブロック状に切り分け収納へ入れる。立派な角だけど売れるんだろうか?と思いつつ同じく収納へ。
ふらふらになりながら街へと帰る。鹿の毛皮は皮製品や布製品を扱っていたお店へ卸し、肉は食肉店へ持っていく合計星銅貨1枚と銅貨7枚。袋から出した風で収納から出したからお肉全てを1度に売る事はできなかったなぁ。まぁ収納は実験の結果時間停止型と判明したので腐るわけじゃないのでいいんですけどねぇー。
宿までの道のりでパゴニさんを見かけたので声をかけてみる。両手剣を背負い金属製の鎧を着ているので目立つのである。
「こんばんは。パゴニさん」
「ん?あぁ誰かと思えばヒナタじゃないか。昨日ウチの連中が声かけにいっただろ。どうなんだ?本当にやってみないか?」
「やだなぁ~パゴニさんまで、わたしにその気はないですよぉ」
「そりゃ残念だ。で、今日は何してたんだ。街を彷徨いてたって格好じゃないみたいだが」
「えーっと、その。山に魔物を狩りにー…てへへ」
「魔物だぁ?物騒だな、おい」h
「だけど鹿しか居ませんでした」
「当たり前だろう、この辺で魔物っていやぁゴブリン位なものだ。ここは大陸の南西と端にある国だからな。そもそも魔物なんていやしなかったんだ。東端に魔王国が出来て5年。そこから魔族や魔物が湧いて出て大陸東側や最近じゃ中央まで物騒な事になってきてるって話だな」
「えぇぇぇ!そっちへ行かなきゃ魔物いないのですか?」
「あぁ、そうなるな。なんだ魔物になんか恨みでもあるのか?」
「恨みがあるって訳ではないのですけど…強さを得る為に…みたいな?」
「なんじゃそりゃ~まぁいい。魔物に会いたいならここから北へ登ってから東に向かうんだな。サーポロス連邦国あたりまでいきゃ。魔物や魔族の討伐証明を見せれば政府が換金してくれるって話だぞ」
「換金!?お金が貰えるのですか?」
「あぁ、そういう風に聞いたがな」
「ありがとう!パゴニさん!なんだかやる気が出てきたー!」
「やる気がでるのは結構な事だがな。かなりの距離があるし長旅になるぞ。当然賊とかもでるしな。せいぜい気をつけるこった。まぁヒナタの腕ならそうそう遅れはとるまいよ」
パゴニさんから有力な情報を得て、やる気に満ちるヒナタだった。