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突発的進行形  作者: くらくら海月
5/20

5話

<ヒナタ> 種族:亜人 状態:平常 スキルポイント=2

筋力=106 敏捷=31 器用=24 体力=10 精神=10


スキル=剣術3、盾術2、健康な身体1、状態異常耐性1、異世界言語1、収納2、気配察知2、暗視1、怪力2、硬化2、酸の息1、逃走2、偽装1、温度感知1、解体1


未取得スキル=突進、爪撃、噛み付き、脱皮


 街道に出るとバギとギラと別れた。ここから南に二日ほど進むと人間の街があると言う話だった。ここからは、わたし一人になるので早速革袋を収納に仕舞う。どのくらい入るのだろうか?試しに道の端に落ちている石や木の枝などを入れながら歩く。歩く。歩く。ふぅ、疲れた…。


 平均的な中学3年生の女子の体力しか無かった訳だしね。こちらに来て少し上がっているけどスキルの恩恵もないし変わらぬ風景の中、物拾いながら歩けばそりゃ疲れもくるわな。


 木陰に腰を下ろし収納からとりだした革袋から水袋をだして一口。収納内の時間ってどうなってるんだろう。時間停止型か経過型か…停止型だと嬉しいなぁ。何か温めて入れてみたらどうだろう。って、火!火が起こせない!種火でも分けて貰っておけばよかった…。無念。


 思えばこの世界、魔物っているのだろうか?森の中での2週間は野生の動物としか出会わなかった。強いて言えばゴブリンが魔物なのだろうけど…彼らは魔物と言うよりは亜人に分類されそうだ。


 興味本位で聞いた話だとゴブリンの男性が人間の女性と交わっても子を成す事はできないそうだ。逆に人間の男性がゴブリンの女性と交わるとゴブリンが生まれるそうなので、前世でのよくあるお話とは逆なのだ。小説より奇なりな感じがする。基本人間の男性と亜人の女性との間に出来た子は亜人側の種族として生まれるらしい。逆に人間の女性は同じ人間との間にしか子ができないとも聞いたんだけど…人間ヤバくね?


 とか考えていたら街道北側から幌馬車がやってくるのが見えた。第一異世界人遭遇か!ゴブリン達が穏やかだった性もあって緊張してきた。


 引いてる馬は一頭で御者台に一人、周囲に四人の武装した男女が一緒になって歩いてくる。まぁ普通に考えて護衛だろうね。このまま木陰で座って近づいてくるのを待つ事にした。何も持っていないのも怪しいだろうと収納に仕舞っていた物は出しておく。


「やぁお嬢さん。こんな所で一人かい?」


 御者台の上から声をかけてきたのは茶髪で青い瞳でちょっぴり太めな30代くらいの男性。服装は小奇麗にしていて商人のような雰囲気を醸し出している。


「はい、見ての通り一人です」

「そいつぁーいけねぇ。この辺はゴブリン共がよくでやがるんだよ。御者台でよければ一緒に乗っていくかい?」

「なんだい大将。こんなとこでナンパかい?それよりここらで昼にしようや。あたし疲れたよ。よ!お嬢さん名前はなんてんだい?あたしはレッスってんだ。ご一緒させて貰ってもいいかい?」

「はい、どうぞ。わたしはヒナタです。皆さんは商人さんでしょうか?」


 金髪を背の中あたりまで伸ばした。20代くらいで短槍を頭の後ろに担いで革鎧を纏った女性が、くだけた感じで話しかけてくる。


「ああ、俺はロニーってんだ。行商をやっている。コイツ等は馴染みの傭兵さ。ペリコ、ラルヴ、荷台から保存食と鍋を下ろしてくれ。パゴニの旦那は周囲の警戒を頼むわ」


 ペリコは30代で腰に剣を差し革鎧を着ている、ラルヴは20代半ばくらいで弓と短剣を装備して薄めの革鎧。パゴニと呼ばれた男性は40代でブレストアーマーというのだろうか?一部金属が使われた鎧を纏っており背中に両手じゃないと持て成そうな大きな剣を背負っている。


 成り行きで彼らと共に昼食を取ることになった訳だが。ラルヴさんがスープ用の鍋を火にかけようとして使った着火道具!え、何それ?ライターとも違うけど何かそれくらいの大きさの筒状の道具!麦わらと薪にアッと言う間に火がついた。欲しい!是非とも欲しい!


「あの!ラルヴさんそれ何ですか!?」

「それ?」

「その今、手に持っている奴です!一瞬で火がつきました!」

「ああ、着火の魔道具ティンダーの事か。え?見たことないの?普通に普及してる物だけど」

「あ、いぇ知ってはいました(前世で!)でもコチラで見たのは初めてだったもので…その、それってどうやって手に入れるのでしょうか?」

「旧式の奴だったのかね…それで、ティンダーをかい?これは普通に雑貨屋で売ってるよ。大将も扱ってるはずだから、その辺聞いてみたらどうだい?」

「ロニーさん!ティンダーを売って欲しいのですが、大丈夫でしょうか?」

「え?あぁ確かに俺も取り扱っているし大丈夫だぜ。星銅貨1枚だ。50回程使用すると火がつかなくなる消耗品だからな。そこんとこは気をつけてくれよな」

「星銅貨?」

「なんだ。金がないのか?」

「いぇ!銀貨ならあります!」

「なんだあるじゃないか。じゃ星銅貨1枚で釣りは星銅貨9枚でいいかい?それとも銅貨も混ぜて置くか?どっちでもいいぜ」

「はぁ…少々教えて欲しいのですが…」


 聞いてみた結果、屑貨100枚で銅貨1枚、銅貨10枚で星銅貨1枚、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨10枚で月銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨10枚で太陽金貨1枚(一般的には陽金貨(ようきんか)と略されるらしい)、金貨100枚で白金貨1枚という事を教えてもらった。アンタお金の価値も知らずにどうやって生きてきたんだと大分怪しまれてしまったが、レッスさんが女性には秘密が多いものさ!と強引に会話を終わらせてくれた。


 ティンダーは結局3つ購入した。星銅貨5枚と銅貨20枚でお釣りを貰い昼食へ突入。彼らは干し肉と黒パンとスープというメニューだった(普段は昼にスープは作らないらしいがロニーが見栄を張って作ったのだとレッスさんがこっそりと教えてくれた)。わたしは干し肉と果物。果物を持ち歩いている事を珍しがられてレッスさんに感謝の意味も込めて分けてあげた。感謝ー!


 こちらの人間の社会については知らない事が多そうで今後を考えると、この人達にある程度は聞いておこうと決意したのだった。

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