19話
アッー!あまり強そうじゃなかったので、貴族階級魔族の存在値を聞き忘れていた事に気づいたのだが…え?今からもどる?そんなのカッコ悪いじゃない!ふんす。
ナビールだっけ…貴族階級でどのくらいなのだろう?うーん…まぁ後で考えよう。一先ず先にローカストポールに飛んで戦士階級を襲撃だ!
光学迷彩+飛行で砦まで一飛びさ!芸がないね。また同じ様な位置に設置してる。空中で収納からだした野球ボール大の石礫で狙撃を敢行。うむぅ。横から投げた場合の様な貫通での一石二鳥とはいかないね。近場の草陰に着地しよう。そこから投石開始!投石地点を勘ぐらせないよう移動しつつ攻撃を加えてゆく。
林の中に入ってゆく。そこに一人の魔族の男が立っていた。
「俺と勝負しろ!ウォーハンタぁー!」
わたしが林の中に陣取ることを読んでいたか…面白い。だが光学迷彩を見破るとは中々の気配察知を持っているようね…光学迷彩を解いてゆく。現れる姿は強化装甲の黒曜石の様に輝く蟻の姿。
「お前がウォーハンターか…ずいぶんと小さいんだな」
「………」
魔族がゆっくりと剣を抜く。わたしは鍵爪を伸ばす。戦士階級よりは上か。従士か騎士か…。
魔族が斬り付けてくる。半歩躱す。返す剣先で切り上げる。今度は爪で受け止める。慌てて剣を引き体制を立て直す。
「遠距離戦ばかりかと思えば近接もできるのだな!」
わたしは首を傾げ両手を広げるポーズを取る。
「ゆくぞ!」
篭手斬りから袈裟斬り、頭上斬りから足払いまで凡ゆる角度からの斬り付けや突き又は払いを繰り広げてくる。わたしはその全てを半歩から首ひねりなどで回避する。5分…10分…15分と。さしもの魔族もそれだけ攻めれば息もあがってくる。
「くッ貴様なんのつもりだ!避けてばかりではないか!舐めているのか!」
「…やれやれ。そっちの作戦通りに乗ってあげたのにそういう事言うんだ」
「なんだと!貴様喋れたのか!?」
「従士か騎士様かわからないけど。貴方一人が、わたしを惹きつけその間に人間領の砦を落とす…どうせそんなところでしょう?」
「ふんッ!作戦を見抜いたところで何も変わらん!どうせ俺の攻勢に手足も出んのだろう?」
「まぁ、もぅ飽きたしこちらも攻撃させてもらおうかなぁ」
斬り付けてくる魔族に対して爪での攻撃で剣ごと切り裂く。
「ば、馬鹿なぁぁあぁあぁあぁッ!!」
「最後に聞いておくけど貴方って騎士でいいのかしら?」
「………」
「あ、スキルポイントが20入ってる…て、事はもう死んでるのか。まぁ1体で20Pは美味しいかなーあの貴族階級ならいくらはいったんだろう…むーん。まぁそちらの作戦にも付き合ってあげたんだから感謝なさいよねぇ」
その後サクッと魔族と人間の部隊を壊走させた。魔族は全滅だったけど…ね。制約の効果は絶大だね。魔法感知を持つ魔族ならかけられた事に気づいているはずだし、一種の儀式めいたモノなのかもしれない。昔、日本でも死ねば極楽浄土へ行けると謳った宗教があったと習ったけど…そんな感じなのかなぁ。
帰りがけに兎を3羽狩って血抜きをしてから収納へ入れる。ラキの所へ持って行って一緒に食べよう。魔族の町へ光学迷彩を使用したまま空から侵入しラキの住んでいる建物の屋根に降り立つ。町の中の魔族の警戒度が上がっているようだ。戦士階級と思しき連中が仕切りにうろついている。ま、わたしにゃ関係ないけどねーっと。屋根から飛び降りスターク張りの着地を決めるとラキの部屋前まで行って光学迷彩を解除する。
「ラキ~居る~?」
扉をノックすると部屋の中で動く気配を感じた。在宅らしい。すぐに扉が開くとラキが顔を覗かせる。
「ヒナタちゃん!」
わたしは兎を収納から取り出してラキに見せる。
「わわっ!それって兎よね?」
「そだよー。森で狩って来たんだよ~一緒に食べようよ♪」
「うん!」
調理台の上に乗せると解剖…もとい捌いて肉を切り分けていく。
「ヒナタちゃんって捌くの手馴れているよねー」
「そうかな?ゴブリン達には下手くそだと言われてたんだけどねぇ」
「えぇ?!ゴブリン達と一緒にいた事あるの?危険じゃないの?」
「いやぁ。わたしの知っているゴブリンは気のいい連中だったよ」
「そうなのね。私はこの町から出た事もないので外の事は全然知らないのよ」
「ふーん。そうなんだ。そういえば町の中が慌ただしい様子だったけど何かあったの?」
「そーなのよ!領主様が何者かに襲われたらしいの!」
「あー…」
「だから町の中は戦士階級以上の人達で厳戒態勢を取っているみたいなのよ。怖いわね」
「はははーそだねぇ。気を付けないとだね」
兎肉はラキの持っていた小麦粉と芋とで煮込んでシチューモドキにして食べた。牛乳が欲しいな。
その後はラキの部屋で一泊。それからラキに保存食用に買ってあった干し肉や調味料を分けてあげる。
「どうしたの?ヒナタちゃん」
「んー…もぅ少し東の方へ行ってみようかと思ってね」
「東って…人間の領土があるところよね?危ないわ」
「大丈夫大丈夫。わたしって強いから!なんて、ははは」
「もー…気をつけて行ってきてね。そしてまたこの町に戻ってきたら必ず私のところへ顔を見せて頂戴」
「うん!わかった!約束するよ。ラキも元気でね!」
ラキと別れ町を出る。いやー貴族階級を襲ったんだった。やばしやばし。そりゃ蜂の巣つついた様な騒ぎになるわなー。ほとぼりが冷めるまでこの町には近づかないでおこうっと。まぁバレる心配もバレてからの対応もできるだろうけど…面倒くさい!今度は人間領を観察してみようっと。




