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突発的進行形  作者: くらくら海月
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1話

 逸見日向(いつみひなた)。それがわたしの名前。令和の日本で中学3年生だった。だった、というのはどうやらわたしは死んだらしい。


 そして今現在。白い謎空間に居る。目の前には一人の少年?何と言うか印象が薄い兎に角薄い。目を離してしまうとその存在自体を忘れてしまいそうになる具合だ。


 そんな謎少年が話しかけてくる。


「やぁ、初めましてお嬢さん。君は今現状を理解できているかな?」


「いぇ…あの。わたし横断歩道を渡っているときトラックに轢かれたような…それとココはどこ?あの世ってやつなのかな?そして貴方は誰?三途の川の渡し守とか…じゃなさそうね」


「はははッ。元気がイイネ!ココはね、僕の生み出した空間。まぁ所為神様と呼ばれるような事をしている?事になるのかな?君は無作為に選ばれた存在。丁度死んでいたからね。ちょっと僕たちが管理している世界に転生して欲しいのさ」


「キタ!異世界転生!?定番のヤツ?わたしネット小説とかよく読むから知ってる!チートスキルとか貰える系?!」


「ははッ。本当に元気イイネ!まー定番かどうかはよく分からないけど、君が僕たちの世界に定着出来る程度の力は約束しようとも。まず君の身体から作りだそうか。君の居た世界での体はぐちゃぐちゃに壊れちゃったしね」


 少年?神様?が指をパチンと鳴らすと目の前に生前鏡に写っていた少女の姿が現れる。って、わたしじゃん!!んんん…でも待て、ちょっとおかしいぞ!


「ねぇ…これは?」


「ん?僕たちの世界で転生される君の姿さ」


「いや、それはわかるんだけど…これは何?」


 頭から生えたソレを指さし確認。


「何って―もちろん触角さ」


なんと頭から蟻のような触角が2本生えていたのだ。


「いやいやいやいや、もちろんっておかしいでしょ!わたし人間。まずこれOK?」


「んーあると便利なんだけどなー」


「なしでお願いします!」


「と言われても僕の作れる身体にも限界があってねー僕は蟲神なんだよ。だからね、そこは諦めて欲しいかな」


「ぎゃーーーす。蟲神!?チェンジでお願いします!」


「と言われてもねぇ。ははは…まぁ折りたたんで髪の毛に埋もれさせたら目立たないようにはしておくよ」


「そういう問題じゃないんだけどなぁ…あと胸大きくして!」


「元の身体トレースしたんだけどねぇ…あまり大きくても邪魔になるだけだよぉ」


「いいから!」


「はいはいっと…」


「もっと!モア!」


「無理だよ、元々の肉体の他の部分を削って持ってきてるからね、あまりやり過ぎるとバランスが取れなくなるよ」


「ちッ、じゃ顔の作りをいじっていきましょ」


「やれやれ…人選間違えたかなー?」


 そんなこんなでアバター?を作り直してゆくこと数時間後やっとの思いで完成した。納得の完成度だ。身長は155センチ。生前はもう少し高かったけど色々いじった結果この身長に縮まった。赤茶色の綺麗な髪の毛は肩に届くくらいまでのボブカット。胸はやや大きく他はスマートな感じで、うん。触角は折りたたむと髪に隠れる感じにした。奴(神?)に任せると羽根を付けるわ牙を生やすわで出来る限り、わたしが調整した。それでも犬歯はやや長めになってしまったのはお愛嬌?くッ、吸血鬼かっての!顔は美人系ではなく可愛い系にしたった!うん、可愛いは正義!


 現在のアバターは布の服を着ただけの状態。これだけでは心もとない。


「冒険者風の装備を所望します!」


「冒険者?なんだいそれは?」


「えっ?依頼を受けて魔物を倒したりダンジョンに潜ってお宝ゲットしたりする素敵職…ないの?」


「魔物退治は主に村の男や兵士達の仕事だよ。それにダンジョン?だとかもないね」


「しょぼーん。じゃ、魔物とでも戦える様な丈夫な服をお願いします…」


 その希望で布の服の上に柔らかめの革で補強された服装となった。もちろんスカートじゃなくズボンである。肌を露出させるなんて危険な事はしない。あと追加でフード付きマントも用意させた。


 武器はショートソードと丸い小さな盾、盾は背中に背負える様になっていた。武器なんて現代日本に置いて使う機会など全くなく、ズブズブの素人である。でも何も持っていないのも不安であるし貰えるものは貰っておく主義であるのだ。


「ふふふ…次は魔法ね!使ってみたかったのよねぇー!魔法!すごい!素晴らしい!」


「え?魔法?使える訳ないじゃない」


「えぇぇぇーーなんで?!なんでよ!異世界と言ったら魔法は付き物じゃないのよさ!」


「んー…まぁ正確にはあるにはあるけどぉ…魔族のみが使える。魔の法則だからね。即ち魔法」


「がーーん!冒険者はいない…魔法を使えるのは魔族だけ……それって何を楽しみに生きていけばいいのよさ!」


「人間にも使える法則はあるさ。付与魔術。直接的な関与ではないけど物を通してなら実現可能なものもあるよ。剣に火を付与して火剣とかいう具合にね」


「しょぼ…しょぼい!」


「そうかなー中々に便利な発明だと思うけどなー僕はね。じゃ、ま。次は所持スキルを決めようか。これの有無で人生は大きく左右される事になるからね。君に今必要そうなのは剣術に健康な身体、状態異常耐性、んー…っ、後何かあるかな?」


「アイテムボックス!」


「は?アイテムボックス?なんだい、それは…」


「んーっと、ほら異次元空間に物を収納しておいて好きな時に出し入れできるスキルよ!」


「へーそんなのよく思い付くね。僕、関心しちゃうよ」


「こんなの異世界転生では常識よ、常識!」


「まぁ亜空間と連結すれば出来なくはないの…かな?じゃあそのアイテムボックス…長いね。収納でいいかな。収納スキルを付けてっと、こんな感じでいいのかな」


「やった!収納ゲット!これで人生勝ち組ね!」


「アバターはこんなで満足かな?それじゃ、転生の手続きに入るからね」


「はい!お願いしゃーす」


「ああ、それとこの世界は人族と魔族の争いが絶えなくてねー気をつけて行ってらっしゃい。別に人族、魔族どちらに加担しろとかは言わないよ。君は君の人生を自由に謳歌してくれればそれでいい、では、よい人生を―」


「えっ?! そんなの聞いてないよ―――」


 視界がホワイトアウトしていった。


――どうかこの投石の波紋が広がるように――

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