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恋人交換制度!?学校のアイドルたちが俺に彼女交換を申し込んでくる件  作者: ponshiro
第1章 私と恋人になりませんか?【導入】
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第6話 小梢と初デート?からのトリプルデート!?

「へっ?じゃないですよ!

 せんぱい、なんですかその情けない声は!」


「あっ、いやまさかそんなもんで済むとは…。

 てか小梢、お前デートってなんだよ。

 昨日は俺達別に今まで通りでも問題ないから付き合うことにしたって言ってなかったか?」


「はい!言いましたよ!

 でもですね、ちょっと一日付き合ってみて少し考えが変わりました!せんぱいはもうちょっと教育しないとダメだって!」


「教育?」


「はい、教育です!

 せんぱい、来週にはどこの馬の骨ともわからない他の女子と付き合うわけですよね」


「どこの馬の骨って…この学校の馬であることには間違いないけどな」


「とにかく、他の女子と付き合うのにそんな間接キスくらいで動揺してどさくさに紛れておっぱい揉んじゃうようじゃ困るってことです!

 私たちはポイント貯めないといけないんですからもっとせんぱいには理想の彼氏らしい振る舞いができるようになってもらわないと!」


「どさくさに紛れてってあれもこれも全部事故なんだがっ!

 けど、確かに彼氏らしい振る舞いと言われると一理あるな。

 小梢とはこんなふうに部室や寮でダラダラしてるだけでいいかもしれんが他の女子となるとエスコートできる自信はないな…」


「でしょ!というわけでせんぱい!

 デートしましょ♥」


「そだな。わかった」


「フフーン♪じゃあせんぱい、授業終わったら教室まで迎えにきてくださいね♡」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ――放課後――



 一年の教室を覗くと小梢は友達と話しながら教室で待っていた。まだ帰らずに駄弁ってる連中も多い。

 まじか、ここに入っていくのかよ。

 いきなり難易度高いな。


 とはいえ来週からはこれが当然になるんだよな…。そう思ったらコイツで練習できるのはありがたいことかもしれない。習うより慣れよだな。

 俺は注目されながらも一年の教室に堂々と入って小梢の前まで進んだ。

 小梢の友達は俺が入ってきた時点で「キャッ!きたよ」とかニヤニヤしながら話していて、俺が近づくと「小梢、がんばー!」とか言って手を振りながら帰っていった。

 小梢は別に頑張らんだろ…。頑張らなきゃならんは俺の方なんだが。それにしても小梢の友だちって案外普通な奴が多いんだな。もっとギャルっぽいのが多いと思ったら、なんかあんまり大人しそうで真面目系な子が多そうだ。それだけに見られてるのが少し気恥ずかしい。そう思いつつ小梢に話しかけた。



「よう小梢。さ、いくぞ」


「はい減てーん!!」


「な、なんでだよ…」


「デートの待ち合わせですよ?普通は「待った?」「いえ、今来たところです」みたいなやりとりするでしょ!」


「いやいや、ここ教室だからな。今来たもクソもずっとここにいただろ」


 なんなんだよ小梢の奴は。ただでさえアウェーな空間でそんなバカなことやれるわけないだろ。

 てかめっちゃみられてるんだが。早くここ立ち去りたいんだが…。

 そう焦る俺をよそにして小梢はぶつくさ何かをつぶやいていて不機嫌な様子だ。



「むぅ…ぜんぜんムードのないせんぱいですねっ…。

 付き合ってからはじめてのデートだっていうのにわたしばっかり舞い上がっちゃってるなんて…

 ま、いいです。いつか絶対、百々奈より小梢だなって言わせてみせるんですから…。

 私、ガンバッ!」



「ん?なんか言ったか?」



「いいえっ!ムードないとこも含めてこれからみっちり鍛えてあげますって言ったんです!じゃ、いきましょ♪」



 小梢は元気よく俺の腕を掴むと引っ張っていった。俺とは腕組まないんじゃなかったっけ?



 俺は小梢に引っ張られながら学校を出た。




 ・・・・・・・・・・・・・・・



「って、ここかよ」


「他にどこがあるんですか?

 せんぱいのホームグラウンドですよ!良かったですね!」



 小梢が俺をデートに連れ出した場所はゲーセンだった。

 ゲーマーの俺達にとってはホーム中のホームだ。


「まぁ確かにな…。

 けどホントにここでいいのか?」



「もちろんです!」


 小梢はここ以外あり得ないでしょといった顔をして俺を中へと引っ張っていく。


「私たちの出会いも…初デートだってここだったんですから…。私、あのとき助けられてからずっとせんぱいのこと…」


「ん?」


 小梢はまたも何かをブツブツ言っているけれどゲーセンの自動ドアが開くと一気にぶつかるような大きな音が反響して小梢のつぶやき声は全く聞こえなかった。

 ゲーセンでデートか…。

 てか、ゲーセン行くのがデートなら俺達はもう既に何十回もデートしてることになってしまうな。



「なんでもありません!とにかくっ!ここはせんぱいが一番魅力的にみえる場所なんです!行きますよ!」



「ほーい」



 その後、俺らはほぼほぼいつも通り格闘ゲームやらレースゲームやらで対戦を楽しんで、リズムゲームでスコアを競ったりして一通り遊んだ。そして定番クイズゲームのクイズマジックアカデミア、略してQMAに移動した。


「せんぱい、今日は2人でやりましょ♪」


 俺達は普段は別々のアカウントでそれぞれオンライン対戦をしていたのだが、小梢は今日は2人で1つのアカウントを作って店内プレーをしたいらしい。

 なんだろう。QMAで男女2人でプレーするって凄く不思議な気分だ。てかこれ、完全に別のゲームだ。


 いや、QMAは元々はカップル向けのゲームとして出たから椅子も2人で座れるように作られているんだが、俺らは超ガチ勢。

 俺は超上流クラスの黄金賢者だし、小梢はその下の白銀賢者だ。もはやこのレベルになると2人でやるとかえって非効率。

 指の位置にしても回答方法にしても自分に最適な着席位置とか構えがあるし、問題も正解も知ってるから相談してどれだっけなんてこともしない。問題が出て、減点くらわないよう最速回答するだけ。

 俺らはそうやって全国のリア充共をなぎ倒して天誅を下してきたわけだ。


 だというのに今は二人でやっている。

 正直、二人でこのゲームってどうやってやるの?というレベルだ。


 タイピングクイズなんか「あいたい」と入力するところを「あいいい」と二人で重複入力して間違える始末。


「もう!せんぱいのへたくそ!私の入力先読みして入れてくださいよ!」


「いやいや、無理だって。押し方も俺とちげーし」


 ゲームは別の意味で難易度が上がっていた。小梢の5本の指がどこまでの守備範囲なのかわからないせいで全然連携できてない。


「てか、もう一問ずつ交替交替で良くないか?」


「それじゃ二人でやる意味ないじゃないですかっ!」


「二人でやる意味もなくないか?」


「もう!せんぱい、これデートなんですよ!

 カップルゲームのQMAですよ!

 せんぱいは私以外の彼女とQMAやったら1人無双プレーする気ですか!?そんなの絶対ドン引きですからね!慣れてください!」


「マジかよ…マジアカ」


「何寒いギャグ言ってんですか!次行きますよ!」


 小梢は慣れろというけど全然慣れる気がしない。というか俺はさっきから別のことが気になっていた。


 このゲームの椅子は二人で座れるんだが、二人で座ってみるとめちゃくちゃ狭い。密着度がヤバい。


 腕と腕は当たるし、さっきから凄く良い匂いもする。小梢ってスゲー良い匂いするんだな。それにあちこち柔らかい。


 しかもさっきから横でちょこちょこ動くこいつが可愛すぎて全然集中できない。ヤバいな。彼女とQMAするっていうのはこういうことなのか…。こりゃ、カップルゲームになるわ。


 横を見ると同じようにカップルでプレーしてる奴も結構いるんだが、正直に言って俺の彼女が一番可愛いと思う。なんだこの優越感は。今までカップル相手に無双してたのがバカみたいに思えてきたぞ。このゲームは間違えようが本戦敗退しようが何しようが恋人とのイチャイチャを楽しむゲームだったのかよ。5年以上やってきて初めて知ったぞ。


 そんなバカなことを考えていたらとうとう俺は問題にも集中できず素で間違えた。


 小梢も「はぁ…」と大きなため息をつくともう声に出して注意する気も失せたのか呆れ果てた顔をしたまま何も言わない。


 小梢は俺を放って1人でやると言わんばかりに画面に被さった。


 まぁ、結局こうなるわな。正直見てる方が楽だし、小梢の動きを見てるだけでも全然飽きない。小梢の横顔はちょっと赤みがかってて可愛い。


 俺が小梢のプレーを眺めていると小梢は4文字クイズで何故か正解とは違う回答をしはじめた。


 正解は「あさがお」なのに「せんぱい」と入力してOKを押す。QMAは全員の回答が揃うまで画面に回答が表示されたままになるから俺にも回答内容がよく分かる。

 なんだなんだ?

 回答が出揃うと当然、不正解で大きく×が表示される。俺が怪訝そうな顔をしてると次の問題が始まる。小梢はニヤニヤしながら回答を入力しはじめた。正解は「しまうま」なんだが…。


 小梢は「だいすき」と入力した。


「ば、ばか!何入れてんだよ、お前!皆に見えてんだぞ!」


 回答は当然他のプレーヤーにも見えているし、今は店内対戦だ。現実世界でこの回答はあそこのカップルの回答だと周りにバレている。


 めちゃくちゃ恥ずかしいぞ、これ。

 小梢の奴、なんてことを!


 小梢は動揺する俺にくっついてきて「返事は?」と耳打ちして俺の手を画面に誘導した。


 くっ…ちくしょー。マジで可愛いなコイツ。耳打ちがキスしてくるのかと一瞬思ってしまったぞ。


 俺も好きだよこのやろー。


 俺はそう返事を入力しようとしたら「おれもす」で回答は終わった。


 小梢は俺の回答に噴き出して大笑いした。



「ぶっ!くっくっく、あははははは!

 せんぱい、「おれもす」ってなんですか!バカにしてんですか!

 ふふふふふ。 

 もぅ、ホントにバカなんだから…」


 小梢は俺の回答を見てゲラゲラ笑う。

 くっ…。そうだった。4文字クイズじゃねーか。


 けれどもこんなやり取りすら今の俺には新鮮で楽しかった。


「ちっ、やられたわ…。」


「ちなみに、私、せんぱいとは書きましたけど、誰とは言ってないんですけどねー。くすくす。せんぱいってば自分のことと誤解しちゃいましたー?」


「んな!なななんだと?

 い、いや、誤解してねーし?俺、モスバーガー食いたいって入れようと思っただけだし?」


 マジかよ。コイツ悪魔かよ。完全に掌の上で転がされただけじゃねーか。でもそうか、こいつの好きな奴って同級生じゃなくて先輩だったんだな。それがわかっただけでも収穫ありだな。


「さっ、せんぱい!たくさん遊びましたし、次行きましょうか!」


「ああ。今度はどこいくんだ?」


「決まってるじゃないですか!ゲーセンの次はカ・ラ・オ・ケですよ!ぼくいものメドレー二人で歌いましょ?」


「ははは。そだな!行くか!」



 ゲーセンの次はアニソンカラオケとは。これまた俺らが付き合う前からのド定番コースだったが楽しくなるに違いない。ただの部活仲間同士でも楽しかったけれどこれは今までで一番楽しい時間になるかもしれないな。



 俺はゲーセンを出るときまではそう思っていたのだけれど、カラオケ屋に入ると一気に夢から醒めた。俺たちは先に入っていたメンバーをみて思わず腕を組んだまま硬直してしまった。


 先に受付に並んでいたのは大村涼介と水無瀬百々奈、それに滝川と寺本由依のカップルだった。大村、滝川、寺本は全員俺とは違うクラスだが、水無瀬がいつも仲良くしているメンバーでたまに俺のクラスにも遊びに来るから何度も顔を見たことがある。特に寺本は水無瀬の一番の親友だったはずだ。そんな水無瀬は入ってきた俺をみてハッとした顔をしている。


「兼平くん…」

「水無瀬…」


 なんとなく気まずい。さっきまで組んでいた腕は二人とも無意識のうちに解いていた。


 だが、そんなことよりもっと驚くべきことが隣で起こっていた。

 あのリア充の頂点ともいえる大村涼介が今まで見たことないほどに焦った顔をしていた。こんな大村は見たことない。



「こ、小梢ちゃん…。」

「涼くん…」



 えっ?何それ?


 ちょっと待て!今こいつらなんて言った?

 小梢にどういうことか問い質そうとしていると寺本が勝手なことをしはじめた。


「兼平じゃん!あっ、すいませーん。やっぱり4人じゃなくて6人に変更できますかー?」


「ちょっ!由依!?何言ってんのっ!!?」


「もも、やったじゃん!こんなチャンス滅多にないよー!」

「由依っーー!!」

「小梢ちゃん、兼平と付き合いはじめたのって本当だったんだね…」

「……。」


 なんだこれ。なんか色々カオスでパニックだ。取り敢えず俺たちの初デートはどうやらこれからトリプルデートになるらしい。

 マジかよ…。

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