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恋人交換制度!?学校のアイドルたちが俺に彼女交換を申し込んでくる件  作者: ponshiro
第1章 私と恋人になりませんか?【導入】
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第5話 小梢とラッキーなんたら

「せんぱーい!遅いですよ!」



「わりい。クラスメイトに捕まっちまった」



 部室に着くと小梢はテレビの前に置かれたソファーの定位置に座っていた。ランチに持ってきていたサンドイッチも食べずにテーブルの上に置かれた小梢の専用ジョイスティックの上に置いたままだった。


 俺が定位置の左隣に腰かけるとようやく食べはじめたので、俺も購買で買ってきたコロッケパンと焼きそばパンの袋を開けて食べる。


 ちなみになぜここが定位置なのかというと、小梢は崩拳の基本浮かせ技でもあるZの字を描くいわゆる昇竜拳コマンド入力が2P側だと絶対にミスらないのに1P側だとわずかに成功率が落ちるからだ。こんな座る位置一つとってもコイツの意地汚い性格が出ているといってもいい。


 一口食べたところで横を向いてみると小梢はこちらを睨み付けていた。



「…百々奈先輩ですか?」



 小梢から突然発せられた水無瀬の名前にこちらは激しく動揺させられた。



「えっ、あ、いや…。なんで?」



「うわ!わかりやす!せんぱい絶対浮気とかできないタイプですね!ふっふーん。

 だいたい、せんぱいってクラスじゃ百々奈先輩以外にほぼハブられてるからこんなところで昼ごはん食べてるんでしょ?せんぱいを引きとめるなんて百々奈先輩以外いないんですからわかりますって」



「それもそうか」



 俺はそう思いながらも、コイツに俺の手厳しい現実を指摘されて若干悲しい気持ちになっていた。

 俺と違って小梢の方は本当は小梢に絡みたい女子も男子もクラスにわんさかいるのに一人が好き&休み時間は好きなようにアニメ見たりゲームしてたいっていう理由で昼休みはここで過ごしている。お互い理由は違えど俺と小梢は1学期の頃からこうしてここで一緒にランチを取っている。


 いつもと少し違うのは会話の多さ。今まではお互い別々のゲームしたりとここで好き勝手過ごしていた。けれど今の小梢は俺にどんどん絡んできていた。

 


「はぁーあ、それにしても可愛い彼女をほっといて早速他の女といちゃこらですかー。それも彼氏持ちの女とだなんて…」



「いやそんなんじゃないって!

 俺達がホントに付き合ってのかとか好きなのかとか聞かれただけだって」



「ああ、そういうことでしたか。

 で、何て答えたんですか?

 当然大好きで愛してるって答えてくれたんですよね?ね!ね!!」



「なんだよその圧は。答えるわけねーだろ。偽恋人だって正直に話したよ」



「ふーん。で、好きかどうかはなんて言ったんですか?」



「それも1日しか経ってないからまだわからんって正直に言った!」



「なるほどなるほどー。へぇー。まだわからんですかー。」



「…なんだよ、そのニヤけた顔。若干うざいんだが」



「あはっ!昨日は全く興味ないって状態だったのに、今はわからないだなんて大分前進しちゃったみたいですねっ!」



「うっ…」



 確かに…。昨日の俺だったら小梢のことを好きかどうかと聞かれたら「別に」とか「女としてみてない」とか答えていた。



「ふふふ。1日でこれじゃあ1週間経ったらどうなってるか見ものですねー。

 ああ、私ってば純情一途な童貞せんぱいをたぶらかしているっていうのに凄く快感っ!

 私にこんなイケナイ一面があっただなんてっ!」



「いや、お前には最初からそんなイケナイ一面しかないだろ、このクソ悪女。それより先食べてれば良いのになんで待ってた?今までは別々だったろ」



「そりゃ、恋人なんですから一緒に食べたいじゃないですか。

 せんぱいは私と一緒に食べるのイ・ヤ・ですか?」



 小梢はこちらの方に身体を向けて目をうるうるさせながら小首をかしげつつ上目遣いで「イ・ヤ・ですか?」とくっそあざとい真似をしてきている。


 正直に言ってめちゃくちゃ可愛い。


「い、いやじゃない」


「うふふ。ですよねー!」


 小梢は俺のリアクションをみて満足といった感じでまたサンドイッチに口を付けた。

 マジでこいつには敵わないな。俺をからかって楽しんで好き放題だ。けれどまぁ俺は俺で正直偽とはいえ、小梢がまるで本物の彼女みたいに振る舞ってくれているからこそちょっと楽しいと思っているところもあってこの関係も悪くはないと思ってしまっている。




「せーんぱいっ♥」


「な、なんだよ?」


「はい、あーん!」


「や、やれるか!!

 そ、そんなの間接なんたらになるじゃないか!」


「これまだ口付けてないから大丈夫ですよ?」


「むぅ…それもそうか」


「わかりましたか。はい、あーん!」


「あーん。

 ・・・・・・ん?」


「んー!うまい!アレ?私せんぱいにあげるなんて一言も言ってないですよ?」


「てめえ…」


「ふふふ。あーんして待ってるせんぱいかわいいー!」


 小梢はツンツンと俺をつついてからかう。

 さっきはこれも悪くないとか思っていたが、やっぱコイツクソ悪女だな。



「小梢、お前、俺をそんなにバカにするんじゃせっかく買ってきてやった購買の特製杏仁豆腐はやれんな」


「あーー!特製杏仁だ!くださーい!

 ねっ!せんぱい、おねが~い♥ね?」


 小梢は俺にぴとっとくっついてぶりっこしながらおねだりしてくる。


「うっ…ま、まあいいけど。

 ほら」


 ダメだこいつ。やっぱ可愛いわ。

 コイツマジで男が何に弱いかを熟知してやがるな…。全く勝てる気がしない。


「ん~♥おいしっ!

 はい、せんぱい口あけて?」



「ん?おおぅ…。

 うん。うまいな。やっぱお手製だけあるわ」



「ですよねー!せんぱい、ありがとうございます!」





 ・・・・・・。






 あれ?俺たち今、ナチュラルに間接なんたらしなかったか?

 小梢のあのちっちゃくて可愛い唇の中に入ったスプーンが俺の中に入って、そんでもってまた小梢の唇の中に収まったような…。



 またこいつハメてきたのか…。ク、クソ!動揺するな!落ち着け…。


 俺がそんなことを考えて硬直していると、小梢もハッとして動きを止めた。

 小梢はだんまりを決めているけれど横から良く見える耳が真っ赤になっている。



 あれ?こいつ、わざとかと思ったら素でそれやったのかよ…。

 小梢は白状するかのように切り出した。



「あははは。キス…しちゃいましたね…。」



「お、おう…」



 ・・・・・・。


 しーん。



 おい、こういうときこそ何か言えよな。

 

 しばらくしーんとなった部室だったけれど、小梢はいきなりいきり立ったように怒りだした。



「もうっ!せんぱい、さっきは間接キスに警戒してたのになんでナチュラルに食べてんですか!

 なに勝手に私の唇味わっちゃってるんですか!うまいな、じゃないですよっ!このへんたい!」



「おおっ!?なんだなんだ!?

 だいたい食べさせてきたのはお前の方だろ!俺はお前にそそのかされただけだ!

 お前だって俺が口付けたスプーンでおいしそうに食べてたじゃないか!」



「もう!ばかばかばか!」


「お、おい小梢暴れるなって!あっ危ない!」


「きゃっ!」



 小梢は狭いところで暴れまわりながら急に立ち上がろうとしたせいでバランスを崩した。俺はそんな小梢を助けようと覆いかぶさるようにして右腕を小梢の頭の後ろに回したものの、俺まで足を取られてバランスを崩した。



 ドサッ…



「いっててー。大丈夫か?」



「はい!せんぱいが守ってくれましたから♡

 ってせんぱい?」



「ん?」



 俺の右腕は間一髪小梢の頭の後ろに回すことができていて、小梢の後頭部がソファーのひじ掛けのところに激突することは避けられたのだけど、左手の方は妙に柔らかい感触がする。

 正確には掌の部分はなんだか硬いものでガードされているんだけど、指のところはなんだか沈み込むように柔らかいクッションが。


 まさかこれって…。



「きゃーーーーー!えっち!このヘンタイ!ちょっ!なに揉んでんですか!この痴漢!」



 俺の左手は小梢の胸を鷲掴みにしていた。しかもあろうことか、俺はバランスを崩しながら何かに捕まろうと必死だったのもあって、小梢の胸を揉みしだいていた。



「うおっ!ご、誤解だ!無罪だ!」



「何が無罪ですか!これ以上ないくらいに痴漢の現行犯ですよ!逮捕しますよ!」



「ま、待て待て!痴漢っていうのは触ったら犯罪、つまり故意に触る犯罪なんだ。

 今のは触ったんじゃなくて触れちゃったってやつだ。故意じゃない!故に無罪!」



「何、いっちょ前に法律家みたいな詭弁をいってんですか!

 言い訳なら留置場に入ってから警察でじっくり話してくださいな!このバカ!ヘンタイ!」


 小梢はゲシゲシと俺を蹴っ飛ばして暴れまくっている。


「小梢、すまんって。そんなつもりじゃないんだって。悪かったって。

 謝りついでに指摘しておくけど、お前、スカートで蹴りあげるからさっきからパンツ見えてるぞ」



「!!?!”#$%&☆」



 小梢はしばらく発狂していた。当然俺はもうポカポカ叩いてくるのを甘んじて受け入れるしかなかった。

 


 小梢のやつ…胸はないと思っていたけれど、触ってみると意外とあったんだな…。

 すげー柔らかかったんだが…。




・・・・・・・・・・・・・・・・・






「もうやだ…お嫁にいけないよぉ…」



「ほらほら。落ち着けって。蹴られててほとんど見えなかったから大丈夫だって」



「うえーーん!ひっく」



 小梢は発狂状態から落ち着いたかと思ったら今度はガチで泣いていた。


 はぁ事故とはいえやっちまったな。よくよく考えればこいつはまだ15歳。つい半年前は中学生だったんだったんだもな。普段悪女だ、ドSだと言ってきたがもうちょっと気を配ってやらないといけないかもな。



「小梢。ごめんな。ほら、泣きやめって。お詫びになんでもしてやるから。な?」



 俺がそう言ってなだめると小梢は急に涙を止めて口元がゆっくりとにやけはじめる。



「今、なんでもって…

 言いましたよね?」



「お、おう…」

 



 俺はここに来てようやく気づく。



 こ、こいつウソ泣きだ。



 全ては俺のこの浅はかな一言から言質をとるための!



 小梢は泣いてなどいなかった。今はくっくっくと高笑いしている。

 ヤベ…今なんでもするとか言っちゃったんだが…。



「じゃあせんぱい!」



 くっ…煮るなり焼くなり好きにしろ!

 そう思いながら判決を受ける犯罪者のような心境で小梢のジャッジメントを待った。すると…



「放課後、私とデートしましょっ♥」



「へっ?」

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