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恋人交換制度!?学校のアイドルたちが俺に彼女交換を申し込んでくる件  作者: ponshiro
第2章 ねぇ、私のこと・・・【初回交換編】
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第29話 鼻の頭に血管が浮き出そうな嘘

「か、兼平!?

 な、なんだよ兼平。いきなり。びっくりしたじゃねーか」



「なんだよじゃねーよ。わかってんだろ。

 今、お前がしたその子に対する脅迫を全て撤回しろ」



「ハッ、ハァ?お、脅してねーし!

 だいたい、いきなりしゃしゃり出て何言ってんだお前?

 俺と俺の交換恋人の間の問題に第三者が口挟んでんじゃねーよ。

 えっ?まさかお前、こんな芋が趣味なのか?

 プッ!アハハハ!そっか、そっかぁー!確かにキモヲタのお前には神崎よりこっちのがお似合いだよ!交換の申し出ならいくらでも受けてやるぜ?」



 俺の詰問に対して堀北は茶化して笑うばかりだった。



「なわけねーだろ。堀北、話をそらすなよ。確かにこの子のことは俺程度には似合わないくらい可愛いと思うけれど、今問題にしてるのはこの子に対するお前の態度だよ」


「な、なんだよ。俺は何もしてねぇぞ」


「悪いがしらばっくれても無駄だぞ。

 知ってるか、堀北。

 俺達の全身に貼りついてるモーションキャプチャー用のセンサーだが、これ録音機能付きなんだぜ?お前のこの子への脅迫もバッチリ録音されてるからな」



「な、なに?そんなはずは…」



「なんだお前、そんなことも知らなかったのか?

 だいたいお前は不思議に思わなかったのかよ?俺らが不純異性交遊をするとすぐに発覚するこのシステム。モーションと位置だけで全部感知しているわけないだろ。当然一番直接的な情報源である音声だって収集してるんだよ。

 だからお前が後輩ちゃんに対して今何を言ってどう脅したかなんて先生に調べてもらえばすぐにわかる話だ」


「な、、、」


「ま、お前は何も脅迫はしてないっていうなら公開しても問題ないってことだよな。

 せっかくだしクラスの皆の前で公開再生といこうか?

 高橋せん――」



「ま、待て待て!!お、俺が悪かった。

 確かに女子連中をけしかけて下着盗ませるってのは言いすぎだった!

 ほ、ほんの冗談だから早まるなって」



 俺が身を翻して高橋先生を呼びに行こうとすると堀北はめちゃくちゃ焦った顔をして俺を引き止めにかかる。俺はそれに心の中でほくそ笑んだ。


 実はこのモーションセンサーに録音機能がついてるかどうかなんて知らんし、ただのデマカセに過ぎなかったんだが、コイツ、見事に引っ掛かったな。


 さて、種明かしでもしてやるか。

 んん!!?


 俺が身を翻した先には先程から俺の真後ろで控えていたふうちゃんがいた。しかも、ふうちゃんは俺のデマカセに対して堀北以上に激しく動揺して顔を真っ青にしていた。



「あ、あっくん?

 う、うそだよね…?私、寮でとんでもなく恥ずかしい独り言を言っちゃってたりするんだけど、それも全部録音されちゃってったってことなの…?」



 ふうちゃんはぷるぷる震えながらそんな可愛い暴露をし始めた。暴露して欲しいのはふうちゃんじゃなくて堀北だけで十分だというのに、まさかふうちゃんまで引っ掛かるとは…。

 ふうちゃんの独り言とか一体なんだろうな?アニメヲタクなふうちゃんの独り言はなんとなく俺と同じようなものな気もするけれども。



 俺はそんなふうちゃんを安心させるべく、鼻の頭をちょんちょん叩きながら嘘だとアイコンタクトを送ると、ふうちゃんは俺の仕草にハッとする。

 そして、「はぁ…」とため息をついた。こんなジェスチャーだけで伝わるとはやるな。



「ふうちゃん、安心してくれ。全部嘘だよ。

 ・・・だが、マヌケは見つかったようだがな」


「な、なんだってーー!!」



 ふうちゃんは俺のセリフにノリノリで「なんだってー」と合わせてくる。

 ふうちゃんは俺のネタセリフに対してとっさにちゃんと反応できたことを喜んでいるらしく、フフンとドヤ顔していて超可愛い。

 さすがふうちゃん。やっぱり俺の幼馴染だけあって、ZOZOネタもバッチリ拾えるとはマジで守備範囲広いな。


 昔、2人で中野のムーンモールにある「ヲタダラケ」100円マンガ立ち読みコーナーの前で一緒にZOZOを立ち読みして、二人で波紋ごっことかやってたのを思い出す。あの頃はホント楽しかったな。



 てか、あのときのあの子が中身そのまんまで今こんなに可愛くなっちゃったわけなんだが、ふうちゃんの本当に可愛いところは可愛くなった外見よりもこの無邪気な中身の方だなと改めて実感する。



 だからこそ俺は堀北の見た目至上主義で中身を全然見ようとしないところがどうにも相容れない。

 俺がふうちゃんの姿をみて決意を新たに堀北の方を振り返ると、堀北はようやく俺の嘘や俺の後ろにいる存在に気が付いたらしく、怒り出して突っかかってきた。



「お、おい!ウソかよ!兼平テメー騙しやがったな!

 てか、兼平お前、そこにいるのは法条かよ!?

 なんだ兼平?お前、まさかこの学校で一番の上玉掴んだからって調子乗ってんのか?ウゼーーー!!

 ハッ!悪いが俺は知ってんぞ。

 確かに法条は俺だって付き合ってみたいリストでは神崎と並んでトップに来るが、それはあくまでお前の後ろにいる余計なクソアイドルオタク連中がいなかったらの話だ。

 クック…兼平、お前マジでご愁傷さまだな。

 よりによってむさい男たち60人とも同時に交際しなきゃいけないとはな。

 俺だったらそんなんマジで拷問だわ。

 どんなに美味いカルピスでもな、マズイジュースと混ぜて62分の1に割っちまったらマジーんだよ。

 俺についつい自慢したくなっちまった気持ちはわかんなくもないが、正直全然羨ましくないぜ?

 クックッアッハハハハ!

 神崎といい、法条といい、お前は本当に仮の関係ばっかだな。

 お前には用はないからすっこんでろよ。俺はこの子と大事な交渉しなきゃなんねーんだからな」



 堀北が何やら勝手に色々誤解したまま俺とふうちゃんの関係を笑っている。だが、その目は全然笑っていなくて、俺がふうちゃんを引き当てたことを相当羨んでいるのが見え見えだ。しかも、どうやらそのことがショック過ぎて自分のしでかしたミスにも気づいていないらしい。



「堀北、俺が法条と交換になったことが悔しいのはわかるが、そろそろ現実を見ろよ。

 話を戻すが、確かにそのモーションセンサーに録音機能がついているというのは俺の嘘だが、今までの会話はきっちりと録音させてもらっているぞ」



「なに!?」



 俺の発言に堀北が硬直する。それを見た俺はスマホをタップして先ほどの堀北の発言を再生する。


『ま、待て待て!!お、俺が悪かった。確かに女子連中をけしかけて下着盗ませるってのは言いすぎだった!』



 それは決定的な程に脅迫を自白している堀北の言葉だった。



「テメ!兼平っ!」



「だから言ったろ?マヌケは見つかったってな。

 堀北お前、今、女子をけしかけて下着を盗ませるとか言ったな?

 お前がもしペナルティ落ちになったとき、判定会議にお前がこんな脅しをしたという証拠を提出したらどうなるだろうな?」



「くっ…。

 だ、だが、そんな証拠いくらでもねつ造が可能なんだ。証拠になんてなるかよ!

 だいたい判定会議なんて俺のコネを使えばどうとにでもなる…。

 そうだ。俺にはいくらでも仲間がいるからな」



「はぁ…そう来ると思ったが、それも無駄だぞ。

 お前がさっき要らねーといった60人だが、こいつらは俺の大切な仲間なんだ。

 お前が何人集めて来るつもりか知らんが、60人も集められるかな?それにこの場にいない第三者の意見と、この場できっちりお前の言動を全て確認した60人の証言だったらどちらが信用されるだろうな?

 さっきの先生の前でしでかしたブス発言と相まって間違いなくお前は宗谷行きだ。

 お前の学園内での影響力なんかもう風前の灯なんだよ」



「くっ!!兼平ぁああああ!てめーーーーーー!!」



 堀北は俺に殴りかかりそうな勢いで激昂した。だが、俺のケンカばっかりだった中学時代の噂を広めた張本人である堀北は俺に手を上げる覚悟はないらしい。

 ま、俺としてもこういう形でコイツと決着をつけるつもりはない。



「落ち着けよ堀北。

 俺も鬼じゃない。

 事実とはいえ俺は()()()()()()()()告げ口してまでクラスメイトを陥れて、宗谷送りにするなんて俺にはとてもできないよ。

 さっきもいったろ?だから勝負しようと」



 そう、俺はコイツと勝負する必要があった。

 俺にはこのまま証拠を持って先生の所に駆けこむ選択肢もあるにはあったが、そうなれば自暴自棄になったコイツが後輩ちゃんに0点を付けて道連れにする危険性がある。判定会議になれば、後輩ちゃんは責任割合0割を勝ち取れる可能性は高いが、それだとこの子は大切な恋人と別れなきゃいけないことになる。それは絶対にさせられない。そうさせないためには、そうさせないことを賭けて勝負するしかなかったからだ。



「さ、堀北、正々堂々、お前の進退をかけて勝負といこうじゃないか。

 俺が勝ったらお前はこの子のやることに一切口出しせずに、文句を言わず、脅しや汚い手を使うことなくきちんとこの子と向き合え。

 そして、この子がお前を0点だと判断したなら甘んじて受け入れろ。お前は既にマイナス100点くらいのことをこの子にしてるんだからな。

 逆にお前がこの子に0点を付けることは俺が許さない。お前がそうした瞬間、俺はこの子の判定会議にこいつを提出してみんなと証言するだけだ」



「ちぃいいい!」



「悪いが、今のお前に逃げるって選択肢はないぞ。俺はお前が勝負受けないならこのまま駆け込んでも良いんだからな。

 だが、お前が勝ったらこの録音データは消してやるよ。それにこのことを進言しないことも約束しよう。これなら、お前にとっても渡りに船な提案だろ?」



 堀北はようやく事態を飲み込めたらしく、先ほどのおちゃらけた顔から真剣な表情に変わっていた。

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