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恋人交換制度!?学校のアイドルたちが俺に彼女交換を申し込んでくる件  作者: ponshiro
第2章 ねぇ、私のこと・・・【初回交換編】
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第23話 決断

前話ラスト部分からストーリーを改変しています。

 ライブが終わると、あっくんは私の手を引いて人通りのないスペースへと連れ出した。


 なんとなく気まずい。


 言うタイミング、ちょっと早かったかなぁ…。せめて週末とかにしとくべきだったかな…。



 けれど、どうしても伝えたかったんだ。仕方ない。



「ふうちゃん、ちょっといいかな?」


 

「ひゃ、ひゃいっ!」


 あっくんは私を壁に押しやっていわゆる壁ドンの体勢になった。もう私はさっきの告白のせいで心臓が爆発しそうなのに、さらに木っ端みじんになっちゃいそうだった。


「あの…さっきの告白なんだけど…」


 案の定あっくんの話はさっきの告白の件だった。私は目を逸らしながら答える。


「あっーー。急にごめんね。

 変なこと言って…。

 困るよね。

 けど、さっきもいったけど別に返事が欲しかったわけじゃないんだ。


 だってあっくんが神崎さんのことが好きなの知ってるもん。だから、そういう理由の「ごめん」とかって言葉であれば聞く気もなかった。だからライブ中に告白したの!」



「そっか…。

 俺の今の答えは知っての通りだけど、それでも嬉しかった。ありがとう。

 ふうちゃんがそんな風に想ってくれてたこと、すごく嬉しかった」



「う、うん…。けど迷惑だよね…?」



「ううん、そんなことない。ホントにうれしかった。

 俺、小梢のことが好きなのに、さっきの瞬間、本気で悩んだんだ…。それくらい衝撃だった」



「そっか…それだけでも私は嬉しいよ…?」


 私は無難な返事をするあっくんに対して「あはは…」と苦笑しながら答えた。やっぱり気まずい。

 やっちゃったよぉぉぉ!!どうしよう!もう穴があったら入りたいよぉ…!これからどうなるの!?デートはこれでおしまいになっちゃうのかな…?まだ夜まで時間あるよぉ…。それに、これから1週間どうすれば良いのぉー!?


 私は声を上げずにその場でブンブン顔を振って悶絶する。




 けれど、そんな私に対してあっくんがかけた言葉は予想外のものだった。


「ううん…だけど、こればっかりはきちんと話しておく必要があると思った。

 だから言うけど、俺の今の本心としてはふうちゃんにごめんっていうのをためらってる…。

 俺の本心がわからないんだ…。ふうちゃんのことが好きなのか、それとも小梢が一番なのか…。

 だから、ふうちゃん、俺に時間をくれないかな?」



「ほぇ?時間?」



「うん。今の告白への返事をするのに1週間の時間が欲しい。

 実は俺と小梢もさ、すぐに相思相愛になったってわけじゃないんだ。

 俺達は先週、偽の告白からスタートしてさ、1週間付き合ってみて、土曜日まで一緒にいて、初めて確信持って俺は小梢が好きだって思えたんだ。

 だから俺、こんなに突然、まだ再会したばかりにふうちゃんに告白されて、今は自分の気持ちも整理できてないし、答えを出せそうにないんだ。

 これから一週間、小梢のときと同じように真剣に交際してみたらもっとふうちゃんを好きになって小梢を追い越すかもしれないのか、それともなのか…。ちゃんと検討してみたいんだ。

 勝手なことを言ってるのはわかってるし、酷いこと言ってるのもわかってる…。

 けど、時間をくれないかな…?ふうちゃんを好きになるチャンスをくれないかな…?」



「……。」



「やっぱりだめ、か。

 そりゃそうだよね。ごめん、忘れて!」



「いいよ…。」



「ふうちゃん…?今…?」



「いいよ。って言ったよ。

 さっきも言ったじゃない。あっくんが神崎さんのこと好きなのは百も承知だって。

 それにあの歌の歌詞に載せた想いとも一緒。私は私を好きになってくれなくて良いの。今は側にいるだけで凄く嬉しい。手を繋いでぎゅっとできるだけで凄く嬉しいの。


 その上、私のことを好きになってくれるチャンスもくれるんだよね?私それだけでもすごく嬉しいよ…。嬉しすぎてボーっとしちゃった…えへへ。ごめんね」



 本当はちょっとだけ「ふうちゃんの方が好きだ」って言ってくれないかって期待していたからちょっぴり悲しかったけれど、チャンスをくれて嬉しいって気持ちも強かったから私はニコッと笑って答えた。



「それにしてもあっくんってば、まだ再会したばかりのほぼ初対面な私なのにいきなりそんなに揺れちゃうなんて困った人ねっ!

 まぁ1学期の間や夏休みもずっと一緒にいたあの子に1週間で追い付くのはちょっと無謀かなって思ってはいるけどね!」



 私は、2年に上がってからずっとあっくんのことを目で追いかけてた。あっくんはいつもモモか神崎さんと一緒にいた。

 特に放課後や夏休みはあっくんは神崎さんと2人で本当に楽しそうに出かけていくのを私は校舎や寮の影からいつも見ていた。そんな仲睦まじくずっと一緒に過ごしてきた相手に勝つのは相当難しい、それは私も良く分かってる。だからこそさっきは心折れそうになったのだから。




 けれど、あっくんは私のこんな弱気を吹き飛ばすような否定をしてくる。




「あはは。確かにね。けど、ふうちゃん、一つ誤解があると思うけど、俺達初対面じゃないじゃん。

 幼馴染だろ。むしろ積み重ねてきた時間でいったら一番長いと思ってたんだけど、違う?」



 そう、私があっくんと神崎さんの付き合いの長さを指摘したのに対して、あっくんは反対に私たちの関係の長さを指摘した。



 私とあっくんの出会いは今から8年前。出会ってからの期間だったら確かに最長だ。それに想ってた期間だってそれと同じで最長。だから、私にとってはこの8年間は、あっくんと離れ離れになっても、ずっとあっくんと積み重ねてきた8年間だった。


 けれど、これまでの8年間がずっと一直線につながっていたのは私だけのはずだ。私一人の一方通行だったはずだった。

 あっくんからしたら私との関係では何もない8年間のはず。

 あっくんがなんと言おうが、その事実は変わらない。変わらないはずなんだ。



 私たちの関係は8年間という長い関係があるけれど、その間はすかすかの空っぽ。

 私は顔を伏せてそのことを指摘する。

 

 

「け、けど、私たちずっと離れてたし…。空っぽの8年間じゃない…」




 けれど、あっくんは私の頭を優しく撫でて、優しく手を取って私の反論を否定した。




「違うよ。ふうちゃん、ずっとこのペンライト大事に持っててくれたんだよね。それだけでも俺たちの8年間は空っぽなんかじゃない。

 それに、ふうちゃんだけじゃない。

 俺が周りからキモいとか言われながらも今もまだヲタクでゲーマーでいられたのはふうちゃんがいてくれたからなんだ。ふうちゃんという理解者がいてくれたということ、そういう心の支えがあったからこそ、俺は今までやってこられたんだ。

 そういう意味でも俺はこの8年間、片時もふうちゃんへの感謝を忘れたことないよ。俺もずっとふうちゃんが心の片隅にいた。だから俺達は別々の場所で8年間を歩んできたけど、ずっと互に積み重ねてきた8年だったんだよ」



 あっくんのその言葉は、私が夢にまで見た一番欲しかった言葉だった。



 あっくんは私の一方通行の想いも全部受け止めてくれた。そればかりか、それが双方向だったことを教えてくれた。私はそれだけでも嬉しくてもう泣きそうだったというのにあっくんはさらに続ける。



「俺、ふうちゃんに告白されて信じられないくらい嬉しかったんだ。法条さんがふうちゃんだとわかってから色々昔のこと思い出してたんだ。

 再会までずいぶん経っちゃったけど、そんな長い間、こんな風にずっと思い続けてくれたのが嬉しくてさ。

 告白の返事を考えたとき、もちろんいの一番に浮かんだのは小梢だった。

 だけど、ふうちゃんのことも凄く大切に思えたんだ。

 今は8年の積み重ねが大きすぎて、気持ちの整理が付かないんだ。

 これがどれくらいの重みなのか、そして俺にとってどちらが大切なのかはっきりと今断言することをためらうくらいに…。

 きっと小梢がいなかったら俺は間違いなくふうちゃんの告白にうんと喜んで頷いてたと思う。

 だから、もうちょっとだけ整理させて欲しい…。いいかな?」


 あっくん…。そんな風に私のことを真剣に考えてくれてたなんて…。どうでも良い相手ならすぐにごめんといって終わりなんだろうけれど、そうじゃないという気持ちや私を大切にしたいという優しい気持ちがあっくんの態度から伝わってきた。


「ううん。全然いいよぉ…。

 そ、そう…。しょっかぁ。あっくんもこの8年間をそんな風に思ってくれてたんだ…。えへへ。

 もぅあっくんってば仕方ないなぁ。大きすぎて整理付かないんだぁ。ふふふ。もぅ仕方ないなぁ…」



 私は元々良い返事を期待していたわけでもなかったし、まだ私にもチャンスがあること、そして、あっくんの話を聞くと、まだまだ全然チャンスがあることがわかって、それが堪らなく嬉しかった。


 私、あっくんに好きになってもらいたい。大好きって言ってもらいたい。

 もっと可愛くなりたいなぁ…。



 そんなことを考えていたらどんどんと心がぽかぽかしてきた。

 やっぱり私はあっくんが好きなんだとよくわかった。

 

 振り向いてもらうことは無理かもしれないけれど、精一杯がんばろう、そう思った。


 それにこの制度では交換恋人ときちんと交際しなきゃいけないことになっているし、あっくんが神崎さんを好きであってもこの一週間は私が独占することが許されてるんだ。

 

 それならそれで私も精一杯やるまでよね!

 私はそう自分に言い聞かせて奮い立たせた



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