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恋人交換制度!?学校のアイドルたちが俺に彼女交換を申し込んでくる件  作者: ponshiro
第2章 ねぇ、私のこと・・・【初回交換編】
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第20話 小梢の乱入

 小梢は勝手知りたるこのカンダムカフェにずかずかと俺らのいるVIPルーム(司令室)までやってきてボタンを押してプシューッと扉を開けると我が家のように入室してきた。


 廊下を映す小型モニター越しに見える小梢の後ろを付いてきていたはずの滝川は「ここどこ?大丈夫なの?」とか言ってこの部屋には入れずまだ店内をさまよっている。こいつらマジで俺の予想通りのデートをしてるな。デートというよりこれはただコイツが行きたいところに好き勝手行って、滝川がそれに付いて行ってるだけだ。哀れすぎる。



 そんな小梢は滝川を置き去りにしてさっそく俺のところにやってきて甘えてくる。



「せんぱ~い♪こんなところに居たんですね!

 ま、せんぱいのことだからどうせアキバか中野かそこら辺だろうと思ってましたけど。

 でもこんなところで会っちゃうなんてやっぱり私たち、通じ合ってますねっ!」



 何を言ってんだこいつは。俺は小梢がここに来ないことを祈ってたわけだから全然通じあってないんだが。

 それに小梢はうまいこと言ってごまかそうとしているが、俺はごまかされない。小梢は俺がここにいるとは知らずにここにきたわけで、それが意味することは1つしかない。



「何が通じ合ってるだよ。

 お前はここにタダメシ食いに来ただけだろ。

 ったく、なにかにつけてお前は俺をATM代わりにしてるからな。

 今日は俺がいなくてもATMから金を下ろそうとしてるとしてるってことがわかってゾッとしたよ。

 将来はお前に絶対に通帳類は預けられんな」


「やだ、せんぱいってば、もう将来の家計の管理のこと気にしちゃってるなんて!気が早いですよ!

 でも私、赤ちゃんは2人は欲しいなぁ…」


「気が早いのはどっちだよ」


 てか、童貞男子に赤ちゃん欲しいとかいうセリフはかなりセンシティブだからやめてもらいたい。女の子側はそんなこと一切意識していないのかもしれないけれど、男って奴はそういうことを言われると俺とそういうことをしたいのではないかと勘違いして動揺してしまうバカな生き物なのだから。



 だが、小梢はこんな風に動揺している俺のところにやってきて覗きこむようにしたから見上げてくる。そして俺の反応を見てニヤ付いている。

 コ、コイツ、全部わかっててわざとあんなこと言いやがったな。


「くすくす。せんぱい、私とえっちしたくなっちゃいました?」


「ば、ばか!そんなわけないだろ!」


「ふふふ。だーめ、ですよっ!

 まだダメです♪」


 まだってなんだよ。いつかは良いのかよ。てか、結局俺をからかって楽しんでるだけじゃねーか。しかも、タダメシ食いに来てることを詰問しようと思ってたのにすっかりとうまく論点をすり替えられてしまった。ホントに小梢には勝てないな。



「ま、なんでもいいや。滝川が小梢に付き合わされて散財させられたら友人としては目も当てられないからな。お前もせっかくきたんだからゆっくりしてってくれ」



「はい♪

 せんぱい、私に会いたかったですかぁ?」


「会いたいけど今は会いたくはなかったよ」


「もう素直じゃないんだからっ!

 けど、一応ちゃんと会いたかったって言ってくれたのは嬉しいです」



 小梢はさらに俺にぐっと近づいてきて耳元でささやいた。



「せんぱい、大好き♥」



 やべー。俺の彼女が可愛すぎる。こんなところで悶絶死させる気かよっ!くっそー!



「ば、ばか!こんなところで何言ってんだ!ま、まぁ、俺もだけどさ」



「ふふふ。ごちそうさまです!ご飯食べる前にお腹いっぱいになっちゃいました♪」



「お前はホントに自由だな。それより後ろのモニターに映ってるヤツみてみろよ…」



「お、おい、神崎…?どこいった?ここはどこだ?

 俺、宇宙に来ちゃったのか?宇宙船みたいなのに乗っちゃったんだけど…。なんかすげー軍服きた綺麗なお姉さんが現れたと思ったらいなくなっちゃって…。

 あれ?水無瀬?お前もいたのか?」



「ああ、うん。ようやく気づいたんだ。

 滝川くん、いらっしゃい」


 滝川は完全にここどこ?状態だ。水無瀬が随分前から迷ってる滝川を出迎えに行っていたというのにようやくその存在に気が付く始末。


「ああ。

 って、お、おい、水無瀬、ここ大丈夫か?ビカビカ光ってるし、動くんだが…」


 ピッ。


 ブッシューーーーーーー!



「うわっ!びっくりした!」



 滝川はもうどこに行けばよいのやら状態で、しかも手探り状態でたまたま手が触れたところにあった部屋の入り口のスイッチを押してしまって、水蒸気が吹き出るギミックが動き出して扉か開くのを見てめちゃくちゃビビッていた。

 ははは。そうそう、パンピーは普通こういう反応なんだよな。滝川見てるとこれが普通なんだと色々安心するよ。



 それに引き換え、後ろの連中と来たら…。



「小坂、いっきまーす!!」


「きゃーー♪凄ーい!このレバー引いたら私のシートが動いたよっ!!凄い!小坂くん、もう一回やって!ね!お願い!」


「畏まったでござる!」



 法条と小坂は普通にこの司令室を楽しんでいた。さっき、小梢の来訪を知らせる通信が来たときも二人は小梢よりも、アニメさながらの大画面モニター通信に驚愕していて、モニター越しに敬礼しながら登場した軍服のマチルダさんに歓喜の声を上げた。ヲタクを隠す必要がなくなった今はこの部屋を好き勝手探索して楽しんでいる。

 よっぽど、さっきまでヲタクを隠していて、いじくり倒したいのをずっとがまんして溜まっていたものがあったようだ。



 かたや慌てふためく滝川を落ち着かせて状況を説明する水無瀬。



 そんでもって、誰も見ていない隙に俺にいちゃついてくる後輩彼女。



 なんだこのカオス。



 だが、小梢は小梢で周りを見渡して俺が説明するまでもなく状況を把握し始めたようだ。



「ふーん。そういうことですか。水無瀬先輩に法条先輩がいるってことはせんぱいの今カノはそういうことになってるわけですねー。

 ホント、せんぱいは無料ジュエルとか納税ガチャでSSRとかよく引き当てますが、今回もそこをピンポイントで引き当てちゃいましたかー。これは私もちょっと計算外ですね」



 小梢はフムフムといった様子で手を顎に当てて考察していた。まぁ確かに小梢の言うとおり、交換彼女の候補が何人いるのかわからんが、大村とかと付き合いたいがために偽装で作られたカップルとか大量にいることを考えたら法条を引いた俺はとびきり幸運だったかもしれない。



 法条は可愛いだけじゃない。なんたってこの部屋をここまで楽しめる女の子なんて学校中探してもそうそういるもんじゃない。というか見たことがない。



 今、無邪気にはしゃいでいる法条を見ていると、もの凄く可愛くみえる。ヲタクギミックを前にして嬉しそうにする彼女とか、俺の理想の彼女じゃないか。



 小梢はヲタクというよりも、ゲーマーの色の方が濃くて、アニメも見るのは萌系特化だからカンダムはあんまり見てない。しかも根っからのゲーマー気質だから無駄な要素よりも合理性の方を重視するリアリストでもある。ゲームでムービー等を飛ばす派、アニメではOPとEDを飛ばす派と説明すると分かりやすいだろうか。

 この部屋に初めて来たときも、ギミックに喜ぶというより、食べ飲み放題の方に惹かれていた。



 俺は小梢のそういう現実主義なところは嫌いじゃないし、むしろ好きではあるし、理解もしているんだけど、俺の理想だけを言えば、俺は法条のようなタイプの方が波長は合いそうだし、一緒にいたら今の小坂のように楽しそうだ。


 これでここまで喜んでくれるならこの一週間どこ連れてってあげようか、色々と楽しみになってきたぞ。

 俺がそんなことを考えながら法条を微笑ましく見つめていると小梢は「むぅー」と唸りながら法条をじっと見つめた。



 そして小梢は法条にみとれる俺を見て嫉妬したのか、とんでもない発言、法条に対してまるでケンカを売るような発言を法条にも聞こえるような音量で話しはじめた。



「それにしても法条先輩、中々に腹黒な方みたいですね。本恋人である私のことをあからさまに無視してくれちゃってますし。ね!法条先輩っ」



「…………なんのこと?」



 小坂とはしゃいでいた法条はこちらに背を向けたまま急に静止して答えた。


 急に凍てつく室内。



 こ、これって、世にいう元カノと今カノのケンカ(修羅場)という奴ではないだろうか?

 おい、小梢、せっかくみんなで仲良くなろうってとこなのになんて燃料ぶちこんでくるんだ。そう思ったけれど、小梢はさらに続ける。



「法条先輩、それってヲタクギミックで凄ーいとか言ってる私、可愛いでしょ!って姿をせんぱいに見せつけて気を引こうしてるんでしょ?私にはわかってます。

 せんぱいに有効な手を早速駆使してくるなんてなかなか狡猾な方のようですね。凄く一生懸命で私もきゅんときちゃうくらい可愛いと思います。

 でも、せんぱいは渡しませんからね!

 私、法条先輩に負けるつもりありません!」



 小梢は堂々と法条に宣戦布告した。ケンカというよりは一方的な宣言といった方が良いだろう。それに小梢じゃあるまいし、法条のそれは演技ではないだろう。素の法条はあまりあざとい真似はできないタイプの印象だ。


 小梢は何をそこまで警戒してるんだろうか?法条と俺は今日はじめてあったばかりで、もちろんお互い恋愛感情とかはないわけで、小梢がここまで釘指しておく必要はないのでは?



 俺はそう思ったものの、小梢の宣言を聞いた法条は肩はプルプルと震わせている。

 そして小坂までもさっきまで楽しんでいた法条の急変にオロオロしはじめた。



 ほ、法条?だ、大丈夫か?

 俺は心配になって法条に駆け寄るとそこには俺の予想外の様子の法条がいた。


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