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恋人交換制度!?学校のアイドルたちが俺に彼女交換を申し込んでくる件  作者: ponshiro
第1章 私と恋人になりませんか?【導入】
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第11話 【だまってないで!】で連想するものは?

 金曜日


 この一週間、小梢との交際は順調に進んだ。小梢との距離感も初デートの日以降、一気に縮んだ気がする。

 どういう点で縮んだのかと聞かれると、実際にはキスしたとか手を繋いだとかそういう具体的な進展があったわけではないんだけれども、なんとなく小梢は以前よりも素直に甘えてくるようになった気がする。しかし、これから花の金曜日からの学校も休みで自由に出かけられる土日が待っている!


 どんな週末になるのか楽しみで仕方ない。

 俺としてはこの平日の間、小梢のことがどんどん可愛く思えるようになっていったし、小梢と過ごす時間がどんどん楽しくなってきたのもあって次のデートが楽しみで仕方なくなっていた。



 あの後、寺本たちから遊びに誘われることもあったけれども、今は付き合いたての小梢との時間を大事にしたいということで俺は集団で遊びにいく選択を断ったりもした。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



「崇、今日も俺ら外で遊んでくるから部室よろしく」



「大塚先輩、よろしくでーす★」



「おう。それにしてもお前らホントに仲良いな」



「まーな。コイツもただのわがまま娘ではないとわかってきて俺も楽しくなってきたところだ」



「そっか、良かったな。神崎もようやくって感じだしなー。良かった良かった」



「大塚先輩♪

 余計なこと言ったらわかってますよねー?」



「ひ、ひぃー!

 あ、秋人、楽しんで来いよー」


「?

 ああ、じゃあまた明日な」


 小梢は満面の笑みを浮かべながら崇のところにぴょんと近づいて何かを耳打ちすると、崇は震えあがっていた。小梢のヤツ、崇に一体何を言ったし…。




・・・・・・・・・・・・・・



 相も変わらず俺達は今日もまたまずはゲーセンに来ていた。



「今日は何からやるよ?」



「今日はQMAからやりましょ!」



「あいよ」



 俺らの二人三脚プレーもだいぶ上手くなってきた。この何日かでお互いのプレースタイルにも歩み寄りがあった。

 たとえば並べ替えクイズなんかは小梢は元々はスライド式回答派。



【あかとんぼ】



 という解答に対して初期位置が



【とぼあんか】




 なら、小梢は∞の字を描くように動かす文字をスライドタッチして回答していたけれど、それでは二人でプレーはできないということで俺と同じ二点交互タッチ方式、さっきの例なら「と」と「あ」を、「ぼ」と「か」を交互に素早くタッチして入れ替える方式に変えた。


 小梢が「か」を押したら俺が「ぼ」を、小梢が「あ」を押したら俺が「と」を押すといった感じだ。




 はっきりいってそれでも二人三脚感は否めなくてやっぱり一人でやった方が効率が良い。けれど効率的とか非効率とかそういうことじゃないということが俺にもわかってきた。




 小梢は俺と交互にタッチして文字を素早く入れ替え、舌でペロっと上唇を舐めながらぱしーんっと音を立ててOKを押す。表示された回答は




【右川五石衛門】



「おい。小梢、なに途中でOK押してんだよ。

 石川じゃなくて右川じゃねーか」



「ぎくっ。

 い、いやいや!合ってますって!私の目には石川五右衛門にしか見えません!」




「どこがだよっ!その目は節穴かよ!」




 次々と他のプレーヤーたちが石川五右衛門と答えてる中だと違和感しかないわ!

 …と思ったけど案外わからんな。



【石川五右衛門】

【石川五右衛門】

【右川五石衛門】

【石川五右衛門】

【右川五石衛門】

 、




 おい…。違和感ないなと思ったら俺らの他にもいるじゃねーか。どこの誰だよそのうっかりさんは。




「ほら、せんぱい?私たちの他にもいますよ!もしかしたらこっちが正解だったりして!」



「ねーよ!!」


 俺は調子の良いことを言う小梢にドンと肩をぶつけて諫める。



「やん♪もうせんぱい、押さないで下さいよー!

 こんにゃろー」



「むぅやりやがったな、こいつめ!」



 と、まぁこんな感じで間違えた回答さえも小梢といちゃつく口実になるわけだ。

 これこそがカップルゲームのQMA本来の楽しみ方というわけだな。




 QMAの並べ替えは結構面白い珍回答が出ることもあるし、俺も昔は敢えて珍回答して対戦相手を笑わせるプレーをしたこともある。



 たとえば

【インクリボン】→【ボクインリン】

【マリア様がみてる】→【てるみ様がマリア】

【テーラーメード治療】→【ドーテーラメー治療】



 などなど。小梢もこのゲームをやりこんでるだけに良く知ってるだろう。【右川五石衛門】を見ながら小梢は何やら面白そうな提案をしてきた。



「せんぱい、せっかくなんでこのままどっちが面白い回答作れるかで勝負しません?」




「おっ!望むところだ!相手を笑わせた方が勝ちな!」



 なるほど、2人でならこういう楽しみ方もできるってわけだ。さて、俺の珍回答データベースが火を噴くぜ。まずは俺のターンからだな。



【ほしからきたもの】



 ふむ、どうするか…。ここら辺かな。



→【ホモのかしらきた】




 俺の回答に小梢はビクッとしたものの耐えている。チッ。やるな。我ながら傑作だったんだが。

 さあ次は小梢のターンだ。




【泣いて馬謖を斬る】




 おっ、なかなかこれは面白くするのは難しいぞ…。





 →【泣いてる馬謖を斬】








 ブッ…



 あ、危ねー。

 やるな小梢。一瞬正解を答えるのかと思わせぶりなムーヴを見せておいてからの1文字ずらしで絶妙な笑いを取ってくるとは…。

 しかも小梢らしいドSな回答なところがまた油断ならん。それなら俺も本気で受けて立つ。




【書き下ろし】→【下書きしろ】



「・・・・・・。」



 ちっ、この程度ではクスリとも来ないとは。他の回答者が続々と【書き下ろし】と連呼する中で、ただ一人アンチテーゼを唱える高度な回答だったんだがな。やるな。小梢は次の問題を見ながらニヤニヤし始める。




【だまってないで!】







 これは色々ありそうなネタきたな。さぁ小梢はこの解答からどんなものを連想する?









→【なまでだいてっ!】






「プッ!あははははははは!

 お前、それはいくらなんでも反則だろ!!」




「あっ、せんぱいの負けですねー!やった♪」



 いやいや、「なまでだいてっ」はひど過ぎる。笑いじゃないところで俺のリアクションを取りにくるとか反則過ぎる。

 ったく、だいたい処女の小梢にはそういうのはまだ早いだろ。もちろん童貞代表の俺もだが。呆れる俺に小梢は耳元で囁きかける。



「せんぱい、もしかして、なまで抱きたいですか?」



「ば、ばか!

 何言ってんだ!冗談もほどほどにしとけよっ!!」



「ふふ。せんぱい、すっごく動揺しちゃってかわいー♥

 私、何を抱くとか言ってないんだけどなー。せんぱいのえっちぃー」



 こ、こいつ、またしてもハニートラップを仕掛けてきやがった!


 はぁ…小梢はやっぱ小悪魔だな。ちょっとは素直になってきたかと思ったけれど、どんなに距離が縮まろうとも元々の性質はそうは変わらないらしい。えっちぃーとか言って俺をからかう小梢の顔の方がエロいと思う。だいたい俺らはまだ手すらつないだことがない。間接キスで互に動揺しちゃうようなプラトニックな関係なわけで、これは完全に俺をからかって楽しんでるだけというわけだ。



「ちっ、勝負にも試合にも負けた気分だよ。


 おっと、もう1問残ってんな。

 しかもおあつらえ向きな問題だ」



【キミがいるだけで】


俺は小梢にニヤリとし返しながら回答を作成した。



→【だがキミでいける】






「せんぱい、サイッテー」



「なんでだよ!?先に下ネタ使ってきたのお前だろ!?」



「ダメなものはだめですぅー!そこはむしろ正解どおり回答してたら女の子はきゅんってきたかもしれないのに、これだからせんぱいはダメですねー。まだまだ教育が足りなさそうです♪ふふ」


 だめとか言いながらも小梢は俺の腕をきゅっと抱きしめてきてテンション高めで楽しそうだ。

 最後はバカな下ネタ合戦になってしまったけれど、珍回答対決はこれはこれで盛り上がったな。対戦している相手も俺らの珍回答にはビックリだろう。今日も小梢とのQMAは面白かったわ。




「さて、次はどこ行くよ?」



「うーん、そうですねぇ…。

 次はゲーセン出て、喫茶店にでも行きましょうか!明日と明後日のデートについて一緒にプランニングしましょっ♪」



「了解。

 ところでその顔は既に何か考えてるって顔だけど明日、明後日はどうするつもりだ?」



「せんぱい、せっかくの土日ですし、日曜でせんぱいとも1週間お別れです。

 日曜で最後のデートになるなら目いっぱいイチャイチャしたいじゃないですか!

 それなら私はこれしかないって思ってたんですよっ!」



「おお!?なんかすごい自信満々なドヤ顔だな。これは楽しみだ。

 一体何をするつもりだ?2日あるし、色々なところに出掛けられそうだな」



「せんぱい、誰が2日間色々出掛けるなんて言いました?

 私2日間ともデートするなんて言ってませんよー?」



「ん?どゆことだ?俺ら土曜も日曜も毎日夜の8時まで一緒にいなきゃいけないはずだろ?」



「ええ、そうです!もちろんずっと一緒にいるつもりですよ!けど、出掛けるのは一回だけです♪」



「おい、それってまさか…」



「はい♪

 せんぱい、お泊りデート、しましょ♪」



 マ、マジかよ。

 まさかの小梢と1回目の交際期間のラストデートは予想の斜め上をいく提案だった。



 お泊りデート…。



 小梢とお泊りデートとかもうなんか色々危険な予感しかしないな。

 

 小梢は俺にくっついて、小首をかしげながら余計なことを言い出す。


「せんぱい?なまはダメですからね?」



「バッ…当たり前だろ!

 てかまだそれ言うのかよ!もうその話はやめろ!寮監来てまたドナドナすることになるからな!」



「はーい♪ふふふ。せんぱいとお泊り楽しみー!」


 どうやら小梢はテンション高過ぎてバカになってるらしい。



 こうして俺らは喫茶店でどこ行くか等々を打合せながらこの日もまた寮監が連行するまで俺達は仲良く一緒に過ごした。

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