4
連続投稿です
不定期にも程がある。
「さて、運がいいな。びっくりするほど本当に行き当たりばったりだな。馬が確保できて良かったよ」
「僕は乗馬とか教えてもらってますが、おじさんは馬乗れるんですか?」
「おじさんって…傷つくな。大人を舐めるんじゃねーぞ?これでも、仕事柄スピードは重視してるんでな。移動くらいならいけるっ」
「へー。んじゃ、どこいくんですか?」
借りた馬に鞍をつけて、王国の北門から出る。サクサクと馬が草を踏む。首筋を通る風が心地良い。鐙に足をかけて乗ると、数歩だけ馬が動く。
「そうだな…まずはセルドさんの家に行ってみるか。そのあとにあいつが治めてる村をまわって現地での事実確認か」
大まかな予定を説明していると、「…んしょっと」と小さい掛け声と同時に馬に乗る。少し身長が低いというか、まあ育ち盛りだろうし、今はしょうがないかな。見ていて微笑ましい。
「そ、そうですか。はぁ…馬に乗るのも久しぶりだ。よし、まずは今日寝るところを探しましょう。探索は明日からでもいいですか」
「こんなんで時間かかってたら先が心配になるな。だが、その意見には賛成だ。いちよう野宿する準備は出来てるぞ?」
「えぇ?本気ですか…」
クマくんの愚痴が聞こえたが、無視して出発する。あの森の近くは人が近寄らない。魔物と遭遇する確率がかなり高いからな。そのため商業施設が整っておらず、宿屋があるかも怪しい。まだここらへんは王国の近くでもあるから、それなりに大きい街ぐらいならいくつかある。
「さっき言ったように、今日は貴族サマのお屋敷をある程度観察してからだ。野宿は避けるつもりだが、可能性があるのは頭に入れとけよ」
「はい…分かりました…」
本格的に馬の速度をあげる。セルドの担当している土地はそれなりに広い。だが、王国からの距離としてはそれほど遠くない。馬で1時間と30分ぐらいだろうか。日も傾きかけている。急がないと夜行動しないといけなくなる。
◇◆
「ここ、けっこうデカくないか?」
「最近増築したそうですよ。その資料も見つけられたら、増築に関する費用について問いただすことができるんですがね」
少し高い丘の上に、しっかりとした屋敷があった。上層貴族が住んでるような王国の中心部で見るほどやつほどではないが、充分大きな屋敷だ。
「ほー。でも、こういうのって上司というか、王国側に報告するもんじゃないの?」
「はい、その通りです。それは父が探ってます」
「こっちでもデカい証拠見つけれたらいいな。もう少し屋敷に近づきたい。この馬預かっててくれ」
「え?待っ…ちょっと!」
できるだけ静かに屋敷に近づく。クマくんの返事は聞いてないけど、きっと彼ならやってくれるだろう。辺りはもうオレンジ色に染まり始めている。何も証拠を残さないつもりだ。偵察であってもそれは変わらない。逆光で屋敷は暗い影に覆われていた。
2階立て。ややコの字型の屋敷を、よく整えられた木が囲む。木のおかげでなかの様子はあまり見えない。セルドは基本ここに住んでいるようだ。兵士が玄関に2人と、屋敷周りに4人。裏口があり、そこからメイドやコックが出入りしている。裏口に見張りはいないが周りの兵士に見つかる可能性があり、使用人の通行も多い。
窓の数を見る限り、1階には最低でも正面側に4部屋。裏側に3部屋。正面側のうち屋敷のすみにある2部屋は使用人用のもので、裏側には食堂とキッチンがあるらしい。
2階には4部屋ぐらいだろうか?裏側には窓がなかった。見たところ侵入は1階の使用人部屋からだろうか。使用人が1部は屋敷に泊まるために部屋なので、昼間あたりは使ってないと思われる。帰りは2階から飛び降りるか…?
ざっと見た感じだと、これぐらいか。
◇◆
「すまん、長かったか?もう薄暗くなってしまったな。急いで、来た途中の街に戻るぞ」
「分かりました。それで、屋敷に侵入できそうですか?」
馬に乗りながら話を聞く。クマくんはしっかり馬を見ていてくれたようだ。なんだかんだ言ってもやってくれる。
「まあな。侵入はできるかもしれないが、脱出と証拠を探すときの効率とか問題はある。もっと情報と、あの屋敷にいるやつの行動パターンを集めたい。間取りや、訪問などの予定…とかもな」
「まだ時間かかるってことですか?」
「まあな」
「そうですか。今のところはまだ大丈夫です。少しずつ進めましょう」
クマくんはたずなを引き、街の明かりが見える方向を向いた。行かないんですか?と首をかしげる。俺は片手をあげることで返事をし、先に立つクマくんと並ぶように馬を運んだ。
◇◆
「2人?ん〜そうだね。1つしか部屋が空いてないから同室になるね、それでもいいかい?」
「どうする?クマくんが決めていいぞ」
近い街に来てみたものの、宿が少ない。ほとんど満室だった。今日はたまたま行商人が多く来たらしい。運が悪かった。
正直言って、ここしか空いてなかったんだよ。クマくん上流階級の出だろ?いいのか?と、女将さんに聞こえないように耳打ちする。
「同室で大丈夫です。お願いします」
「んじゃ、2人で銀貨3枚だね」
「いいのか?クマくん。まあ、君が言うなら何も言わないが…えーっと、これでちょうどだな」
机の上に、銀貨を置く。手を置くと机がカタと音をたてて傾く。けっこう古いようだ。
「これが鍵だよ。夕食や朝食は出さないから、そこらで食べてくるんだね。あまり暴れるんじゃないよ?けっこう古いからね。床は軋むしデカい音は周りに漏れるってことよ。あと、ここでのケンカはご法度だよ」
女将さんが一通り説明し終えると、2階のある部屋を指さした。どーもと礼をして部屋へ行く。言ってた通り、登るたびに階段が悲鳴をあげる。クマくんはああ言ってたが、無理してないだろうか。
閲覧ありがとうございます。
もとは個人的な趣味でこそこそ書いていたので、もう少しストックがあるんですが、どんどん出していきます。
感想や指摘などして頂ければ嬉しいです。出来ればブックマークなど…よろしくお願いします。




