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ライガルデン王国のあるプラデーモ草原は、いくつかの山脈に囲まれていて、比較的人が住みやすい気候だ。北東には“ナヴァニ森林”と呼ばれる森があり、その他はなだらかな草原が広がっている。2つほどの小国や百といくつかの村。平均的に雨季と乾期のバランスも良い。だが、場所によってはかなり差が出る。雨季と乾期のバランスが良いのは中央あたりだけで、その他は雨季が長かったり短かったりする。ほかにも日当たり、土壌などの質、魔物の量など。差が大きくわかれる地域でもある。
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「ほら、早くしろ?こういうのはな、準備が大事なんだ」
「う、うむ。わかっておる」
「なー、大人しくその喋り方やめてくれん?さっきは普通に出来てたじゃん。お兄さん、聞いててちょっと恥ずかしいんだけど」
「なにを言うか!最高にかっこいいではないか」
「そうか…」
なぜかため息がもれる。たまに敬語になったり、一人称がころころ変わったりと喋り方が安定してないのが気になってしまう。酒場のときとは大違いだ。
「そういえば、その“ダークマター”とか言う名前。本名じゃないだろ?実名を明かしたくないのであれば聞かないが」
少年は下を向いて、なにも言わない。どうやら本名を明かしたくないのは本当かもしれないな。まあこの仕事が終われば、関係も終わる。それぐらいの付き合いだしな。だが、実名を明かしたくないというのは信用に関わる。
「わかった。なら、深く言及したりしねーよ。そうだな、ダークマターって名前で呼ぶのは少し恥ずかしいしな…だーくまたー…くま…あ!クマってのはどうだ?」
「そんなに良いあだ名じゃないと思うんだけど。それならダークマターのほうがカッコいいし…てか、なんで勝ち誇ったような顔してんの?」
あまりに予想外の呼び名だったのか、あきれているようだ。口数も増えてるし。だが、どうしても“ダークマターくん”とは言いたくないのだっ!
「おうおう、いきなり活気づきやがって。クマってカワイイじゃないか。ダメか?ダークマターのほうが恥ずかしいだろう」
「え?そうなの?な、ならクマでいいけど…どうせなら苦魔とか紅摩とか…」
少年は手に文字を書いて見せたきた。どうやらそれらは“クマ”と呼ぶ文字らしいが、俺にはよくわからない。逆にややこしい。
「ダサい。読めない。めんどくさい。表記の仕方にこだわってもしょうがないだろう。潔さってのも“かっこいい”のひとつだと思うぞ」
「むむ、そうだな。一理ある」
「そうだろ?ところで…あ、ここの店だ。少し道具とか買うだけだが一緒にくるか?」
「え?ほんと?行く!」
軽く武器や防具のメンテナンスをして、食料などを補給する。あとは情報収集か。それはどうしようか。特に思いつくような場所もない。
「それで、クマくんが調べてほしい貴族について教えてくれ。なんで疑問を思ったのかも」
「あ、そうでしたね。えっと貴族の名前はテレブィエ・セルド。テレブィエ家は最近少しずつですが力をつけてきている貴族です。1代目のバスラが人材派遣を主に事業を行い成功しました。セルドは5代目で、先代たちの遺産をつかって遊び呆けているようです」
テレブィエ家は領主として税を徴収し、約7割が王国へ。残りをテレブィエ家がもらう契約であったが、その担当してる土地が問題だった。領地ギリギリのところにある村で、農作物もうまく育たない土地。それなのにほかの村に比べて1.5倍ほど税が重いうえに、不作のときも税は変わらない。だけど、それについて王国からお咎めはない。そのまま時がながれ、村では夜逃げする村人増え、つい最近になって問題が発覚した。
「それで、なんでクマくんのお父さんの問題になるんだよ」
「実は、この問題がわかる前に仕事を押し付けられまして。農民から苦情も増えて、調査と改善を任されました。その区域にセルダの担当しているところも入ってまして、いろいろ調べたんです。そこで不正というかそれらしきものが見つかったもののちゃんとした証拠が上がらず…」
「このままでは上に報告できないとか?」
「まあ、これが全貌ではないと思いますが」
聞いた感じでは、そんなに恐れる必要はなさそうだ。情報としても、家が潰れる可能性があるものの重要度は低いほうだし。これぐらいなら数回だけやったことがある。
「あ、そういえば場所を聞いてなかったな。そいつが管理してる土地はどこにあるんだ?場所によっては急がないといけないぞ」
「それが、ナヴァニ森林のそばなんです」
「……そうか」
ナヴァニ森林は、簡単に言えば魔物たちにとって有利な場所。平坦な土地は人間たちが占領し、魔物たちは他の土地へと追いやられていった。とても暗く足場が悪いので、夜目が聞かない人間にとってあの森は危険でしかない。魔物たちが森から出ることは少ないと聞くが、これも時期がある。獣系は寒くなる前の夏〜秋。亜人系は獲物が多くなる春〜夏にかけて凶暴になり、人里におりてくるという。いつ魔物に襲われてもおかしくない場所だ。
「まあ、セルドの家に行ってみますかな」
「え?もう行くんですか?」
「こっちでなにかやるとしても、闇雲にやってどこかで痕跡残しちゃ元も子もない。協力してくれそうなやつはいるけどできるだけ最小限にしたいしな」
「それでもなんか不安というか…」
「まあな。準備と言えるようなものでもないが、周辺から聞き込みしていって、それっぽい情報を集めに行くぞ」
食料をバックにつめて、目的地まで徒歩で歩く。クマくんは留守番させようか悩んだが言っても聞かなかったので連れていく。…あとで後悔しないといいが、怪我でもさせたらヤバイな、たぶん。
閲覧ありがとうございます。
ここらへんから設定のあまさがにじみ出てきますね。上手に表現できんなくて、わかりづらくなってきます。
感想や指摘などして頂ければ嬉しいです。時間があるうちにいろいろ直していきたいっ。




