2
文字数少ないですかね
ライガルデン王国。代々ボールドウィン家が統治する国。その歴史は500年以上にもなる。多くの文献を残し、本部ではないものの支部としては1番大きい冒険者ギルドもある。だがその裏でよくない噂も多く、民からの不信感は日に日に募っていく。
ーーーーーーーーーーーーー
円形に広がった広場の中央には噴水があり、常に清涼感のある音が響く。ここらへんは貴族などの富裕層がよく通ってるような店が多く、女性向けの高級な品を多く扱ってる区画。観光地でもあれば、王国の収入源としての一面もある。
「ここにさっきの少年が?」
周りを見てもマダムやお嬢さまーあと荷物持ちの使用人とかーしかいない。自分は完全に浮いている。あのときの少年も帽子を深くかぶってて顔が見えなかったし、分かるのは背格好ぐらいか。まだ時間でもないので広場にある噴水近くのベンチに腰掛ける。
ここは涼しい。貴族がここによく来ることもあり、日陰が多く水も近い。そのぶん巡回してる衛兵とかも多いので安全なほうだと言える。日差しから身を守るために、フードをさらに深くかぶる。けっこう早く来てしまい、暇でしょうがない。ここで有力な情報を盗み聞きできそうにもないしな。
「うへぇ…日差しがキツい…」
気の抜けた声が口から漏れる。サーっと建物の間から心地良いそよ風が走ったとき、昼を過ぎてから2度目の鐘が響いた。時間だ。
気づいたら噴水の前に黒い塊が見えた。真っ黒のローブを羽織ってるようで、見てるだけで暑そうだ。背丈はさっきあった少年と同じような気もする。帽子はかぶってないが。
「やあ、こんにちは。人と待ち合わせているんだが、君は青い石なんか持ってないかい?」
気になったら話かける。当たって砕けろ精神で話しかけたつもりが、布の隙間から見える少年の顔はまったく動かない。もしかしたら人違いか?と冷や汗が背中をつたう。
「……あ、なるほど。えっと。ふんっ…我が名はダークマター!魔力を統べる者の頂点にして至高の存在なりっ」
この状況を理解したのかローブをばさっと広げ、右目を手で隠した。少年はポーズをとっているようだが、かなりダサい。しかも、ダークマターって…。
「汝に命令す。赤い石をここに示せ」
「あ、ああ…これでいいか?」
バックのなかから、借りた赤い石を少年の前に差し出す。うむ…と頷き、少年は青い石を重ねた。すると、重なっている部分から黒い色が滲み出てくる。水のなかに黒い液体を垂らしているように黒が広がっていった。数十秒もすれば2つの石は完全な黒に染まる。
「ほぇー、すごいなこれ」
「そうであろう?ふふん。では、その石を返してもらおうか」
見るからに誇らしそうだ。言われたように大人しく石を渡す。少年はそれを雑にポケットへ押し込み、こちらを見た。俺はフードを外していたが、目の前の少年は外そうとしない。話しているときぐらいは顔を見せてほしいものだ。
「ここで立ち話もなんだし、どこかに座らないか?」
「そうだな。ふむ…ではついてくるがよい」
カツカツと音を立てて前を歩く。どこかあてがあるようだが、不安でしょうがない。はぐれないように少年の横に立ち、あとに続く。
◇◆
「あ、あのぉ…」
しばらく歩くと、いきなり立ち止まりこっちのほうを向いた。顔が少し赤くなってるように見える。この暑さで火照ったのかもしれない。
「ん?なんだ、いきなり。さっきまでの威勢はどうした?気分が悪くなったら早く言うんだぞ、少年」
「いや、その……」
かなりもじもじしながら、視線は地面を向いている。気分が悪いとかではないようだ。では、目的地への行き方が分からないとか…。
「…冒険者ギルドってどこ…ですか?」
「はぁ、やっぱりか」
「僕が知ってる冒険者ギルドはここにあったんだけどな〜」
「あーはいはい。こっちだよ」
歩いてきた道をそのまんま戻り、大通りを抜けて本日2度目の冒険者ギルドだ。だが、冒険者ギルドへの行き方が分からないとなると、少年はあまり外に出ないのかもしれない。そんなことを考えつつドアを開け、冷気の風を体全体で受け止める。さっきよりも人が増えているが、席の空きはまだまだある。カウンターに近い奥の席へと向かった。
「さて、話を聞こうか。今回の依頼内容を聞きたい」
「う、うむ。いいだろう。しかと聞けっ」
「その喋り方つかれないか?」
「う…うっさい!!」
少年の依頼内容はこうだ。少し離れた地域を管理している領主の貴族が、王国の命令に反して税を多く徴収しているという。その証拠がほしい。そういう依頼だった。少年の偉そうで特徴のある口調は、意識したときにはもう直っていた。
「それで、少年とその貴族とはどういう関係なんだ?」
「えっと…僕の父は伯爵の位を持っていて、それなりに顔が広いんです。今回調べてほしい貴族というのが父と関係があるというか…」
「よくわからんが、部下って感じか?」
「すいません。僕自身もよくわかっておらず、もしかしたら罰せられるかもしれません。ですが、お願いです。できる限りフォローさせていただきますので」
そういって、両手をテーブルに置き頭をぶつけそうなほどの勢いでさげた。ガコンと大きな音が鳴ったが酒飲みたちの賑わいに消えていった。
「分かった、分かったから。もう受けちゃったしな、やるだけやってみるよ。これからよろしくな」
「は、はいっ」
顔をあげた拍子にフードが取れ、少年の顔があらわになる。その目は魔力の多さを示す赤に近い色で、漆黒の髪には生活環境の良さを感じた。さっき言ってた“魔力を統べる”というのはあながち間違いではないかもしれない。
閲覧ありがとうございます。
今のところ1話約2000文字でやってるんですが、作者の都合で1000文字ぐらい短いものも出てきます。ですが、これから文字数を増やしていこうと思ってます。
感想や指摘などして頂ければ嬉しいです。よろしくお願いします。




