初来宅の客が最初に注文するのは生中な件
「ホントにいいの?お呼ばれしちゃっても」
「いいですいいです すでに来てる奴らもいるでしょうし・・・」
夕刻―――――
住宅街の中二人の男が連れ添って歩いている。向かう場所は二人の男のうちの一人の男の自宅だ。
「うわ 玄関ひろ・・・」
「どぞ あがってくださいな、リビングで飲み食いすることになるんで座って待っててください下野さん」
そそくさとキッチンに消えていく男。下野はリビングに向かう。そこには――――――
「あれ~下野さん!お疲れさまです~」
「お疲れさまです~」
「お疲れさまで~す」
三人の女性の姿があった
「竹達?碧ちゃん、それにアユモちゃんも。なんでここにいるの?」
「彼女らは常連です、ここで飲むようになってからずっときてます」
キッチンから家主の声が。
「常連!?ゼロ君、マジか・・・」
「「「いぇーい!!!」」」
「竹達はもうできあがってますから・・・もうビール何杯目だ?」
「4杯目で~す」
呆れ顔の下野
「人んちなんだからもう少し気をつかえ。4杯はいきすぎ・・・」
「まぁいつもこんな感じですよ。飲み物どうします下野さん?」
「えっと・・・とりあえずビールで」
「了解です、今日はプレモルでございます」
慣れた手つきでビールを注ぐゼロ 泡とビールの比率は泡3、ビール7の黄金率だ
「お待たせしました、ビールとお通しです。今日のお通しは鶏皮のポン酢合えですよ」
「鶏皮ポン酢!?いいね~」
「下野さん鶏肉好きでしょ? なんで鶏皮にしてみました」
「ゼロくん!私達にもちょうだ~い!」
いそいそと三人前のお通しを用意するゼロ お通しの鶏皮ポン酢にはもみじおろし、万能ネギ、きざみのりがのっている
「はい お通し。まぁいつも通りの光景です」
「それでいいの・・・?」
笑顔でキッチンへと戻るゼロ
「ゼロくーん今日のメインはなにー?」
竹達の高くて可愛い声がゼロ宅に響く 碧もアユモも目を爛々と輝かせている
「今日は地鶏の唐揚げ、リクエスト次第でチキン南蛮もやるよ。ご飯も炊いてある」
「・・・唐揚げ、俺の好物だよ?うるさいよ?」
「それを狙って今日のメインです」
ニヤリ顔のゼロ、てきぱきと唐揚げを揚げていく 香ばしい匂いがリビングに満ちる
「おぉ旨そうな匂い、期待しちゃうよ?」
「期待してください、後悔はさせませんから」
油の跳ねる音と共に山盛りの唐揚げが揚がる
「お待ちです 唐揚げ揚がりました。鶏肉は宮崎県産、味付けは醤油 みりん ショウガ ニンニク 塩コショウは少な目に。味見はしてあります、どうぞお召し上がりを」
下野は揚げたての唐揚げを頬張る ジュワっとした旨味と溢れる肉汁、二度揚げされカリっとした食感。唐揚げマニアの下野すら唸らせる一品だった
「美味い!!やっばいこれ、ゼロくんビールおかわり!!」
「りょーかいです」
ニンマリ顔でビールをつぐゼロ、竹達 碧 アユモも舌鼓を打っている。
「肉好きの竹達には嬉しいメニューだったんじゃない?」
「ホントだよー美味しくてビールが進むー」
5杯目のビールを注文する竹達
本当の飲み会はここからだとゼロは思うのであった