第2話 ~小宮山 里彦 #1〜
それは突然に声をかけられた。
その人物こそ相談者第一号となる。
「あのっ、龍田くん!」
やや早足で駆け寄ってきた彼の顔に窓から入る西日が反射している。
近くへ来ると小柄な彼を見下ろす感じになってしまった。
ん…?見覚えのある顔だ……あ!
俺は思いを巡らせた上、思い出した。
と同時に後退りした。
「覚えてる!?同じ高校だった小宮山だよ」
やっぱり…。同じクラスだった小宮山だ。
その当時の事はあまり思い出したくはない。連なって色々噴き出しそうだ。
ここは去ろうか…。
「龍田くんどう?元気なの!?」
え…?
思わず彼の言葉に反応して顔を見入ってしまった。
「高校ん時はさ、あまり元気ない感じもあったけど、こういうチラシ作ってるって事は少しは元気になったのかなって。俺も気になってはいたんだけど話しかける勇気もなくて…でも今日言えた!」
心配してくれてた…?俺を。
無邪気に笑顔でそう言う彼の言葉と表情に偽りはないように思えた。
「でさ、このチラシ落ちてたのを拾ったんだけど、相談したい事あって…お願いできる?」
おぉ拾う神ありか。
テンポよく話す彼につられるように俺は
「いいよ」
と一つ返事で初めての相談者を迎えた。