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14話

 ダンジョン脱出魔法(リターンと命名)を習得してから、2年近い月日が流れた。

 その間ずっと修行の日々である。

 一度も異世界側の外に出ていない、日本には何度となく帰っているが。

 出たいと思わないでもなかったが、修行が終わっていない事と急ぐ理由がなかったことから、先ずは修行を優先した。 

 どうせ先の長い人生だ。

 しかも行こうと思えばいつでも行ける準備はできているのだ。

 であるなら、修行を終わらせてからでも遅くはないと考えたのだ。

 サクヤが悲しそうな顔をするから、という理由もある。

 というか、それが一番大きい。

 サクヤからすれば、一旦異世界に足を踏み出せば周り中目新しい物ばかりで、帰ってこなくなるのではないかと心配しているのだと思う。

 言ってどうこうなる問題でもないので、何も言ってはいない。

 態度で示せばいいのだ。

 俺は必ず帰ってくる、と。

 修行に2年近くかけているのもそれが理由の一つである。

 最近は帰ってきたときに、悲しげな顔を余り見せなくなった。

 必ず帰ってくるとわかってくれたのだろう。

 それでも完全になくなったわけではないのは、俺の不徳の致すところである。

 勿論、修行そのものに時間をかけたというのも理由の一つである。

 ワープ・リターン以外にも、知覚範囲内の短距離転移であるトリップ、遠く離れた場所からダンジョン入り口の魔方陣に跳ぶ長距離転移であるテレポート、トリップや風系統魔法を戦闘に組み込む戦闘術の修練等々やることはいくらでもあった。

 2年という年月も一応ある程度型になったというだけで、修練の余地はいくらでもある。

 因みに、テレポートも本来ダンジョンの魔方陣に関与せず使用可能なのだが、関わらせた方が簡単なので、とりあえずそういう形で使用している。

 他には、トリップとかこれ縮地じゃないか?仙人だしと思ったが、これだけ漢字名にするのも他のを漢字名にするのも、いい名前が思い付かなかったから統一した。

 『空間魔法』の開発案は他にもあるが後回しにした。

 ろくに使えない魔法をいくつも覚えるより、数を絞って最低でもある程度は使えるようになってから順次増やしていくべきだと考えたからだ。

 その中でも特に力を入れたのがトリップだ。

 なにせ戦闘中に使うのだから当然だ。

 風系統魔法?

 そっちは俺の意思と関係ないところで熟達していっている。

 サクヤにとって唯一、直接教えられる系統の魔法だから張り切っているのだ、未だに。

 張り切りすぎじゃないかと思うことも少なくないが、それで成果を得ているのは俺なのだから文句を言う筋ではないだろう。

 後、楽しそうだし。

 あれがあるから頑張れるというのはある。

 でないとあんなハードスケジュール精神的に参ってしまう。

 あってもかなりくるものがあるが。 


 日本へは、週一ペースで行っている。

 主な活動はお菓子の調達・会社からの報告と指示、そして探宮者としてのダンジョン探索である。

 お菓子の調達は、会社で作らせている和菓子の回収は勿論、他のお菓子の通販も行っている。

 お菓子は和菓子だけではないのだし、かといって他のお菓子を作る会社を作ろうとはしなかった。

 流石に手を広げすぎだなと考えたからだ。

 今の会社だけでもどうかと思っているのに、そこで更に他の会社もとか悪目立ちし過ぎだろう。

 和菓子に関しては調子に乗ってしまったが、本来なら買える物だけで満足するべきだったのだ。

 後悔はしていない。

 それでサクヤが喜んでくれているから。

 あれから色々試してみたが、やはりサクヤは味覚音痴ではなく単に思い入れを持ってしまっただけだったようだ。

 好みの差はあれ良いものには良い評価を、それなりのものにはそれなりの評価をしていたからだ。

 判断基準は、自分の味覚以外にネットの評価や値段が含まれる。

 なにせ俺自身がそんなに鋭い味覚の持ち主ではないのだ。

 正しい評価が出来るなどとは思えない。

 ともあれ会社には発破をかけておいたが。

 住所もこっちに移しておいた。

 まぁ殆ど名前だけの仮宿だが。

 通販の受け取りも会社宛にしているので、本当に名前だけだ。

 ろくに寄り付きもしていない。


 一般販売の方は、予想を大きく上回る結果だ。

 なにせ馬鹿な事をやっている自覚はあるが、それでなお微黒なのだ。

 回収分の費用等を含めて。

 大赤字前提だっただけに、随分驚かされた。

 今後もこの調子で頑張るように伝えたが、この頑張りには酬いなければならない。

 そう考え、特別手当を支給した。

 金で酬いるのもとは考えたが、社員旅行とかいっても時間の関係で俺は参加しづらい。

 かといって、発案者の俺が参加せずという訳にもいかないだろう。

 なので手っ取り早く金で払う事にした。

 どうせ金には困っていない。

 寧ろ有効な使い道が出来て喜ばしいくらいだ。

 後継者も何人か修行中だ。

 扱いは普通に社員で、職人の補助を含めて和菓子製造を学ばせている。

 一人前になるのはまだまだ先になるだろうが、彼等の今後に期待である。


 ダンジョンもこっちに移り住んで以降、こっちのダンジョンを利用している。

 ただ、あれからそれなりに時間が経っているのだが、表向きの到達階層は変わっていない。

 何故なら、周りの攻略が殆ど停滞してしまっているからだ。 

 攻略をしていないわけではない。

 寧ろそんな状況だからこそ、より力を入れてすらいるようだ。

 それが結果に繋がっていないだけで。

 全体としてレベルやスキルが伸び悩んでいる雰囲気がある。

 そんな訳で、俺もそれに合わせた階層を攻略している風を装っているのでそうなってしまっている。

 今は修行がメインなので、売る分だけ狩って終わっているが。

 しかし相変わらずいい金になる。

 停滞している分、追い付いて来た者が増えたり等で値も結構落ちたが、それでも尚かなりの金額だ。

 もっと探宮者人口増えてもいいと思うんだがなぁ。


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