表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/131

17話

 次の日、今度こそと覚悟を決めて門を潜る。

 今日は最初から小太刀二振りを腰に差している。

 神速使いだし。

 中に入り地図を確認すると、昨日と同じように青い光点と赤い光点、下に下りる階段と思しきものが表示されている。

 赤い光点がモンスターなのは確認したが他はまだ未確認、一応確認しておこうと思い青い光点を目指す。

 道中、1つだけの赤い光点があったので昨日の成果を試す。

 一振りだけ抜き、そのまま近付く。

 近付くにつれ、俺に気付いたのであろうモンスターはこちらに向かって走り出す。

 結構早い。

 今度もネズミだ!

 よし、と気合を入れて迎え撃とうと神速を発動させる。

 発動させた直後、また勝手に体が動き出す。

 これで2度目だ、今回はそれほど慌てずにすんだ。

 前回と違い今回はじっくり観察できる。

 とはいえ、ゆっくりになった世界の中、駆け寄り一刀両断。

 それで終わりである。

 1階層とはいえ、あっさり過ぎて観察にならない。

 だがわかったこともある。

 この勝手に体が動く現象、忌避感も違和感も全くない。

 まるで長年掛けて体に染み付かせた動作がつい出ましたって感じだろうか。

 勿論そんなことをした覚えはない。

 『剣術Ⅱ』の影響なのだろうと思っておく。

 切って試せば判明するだろうが、元はずぶの素人だ。

 まともに振れるかすら怪しい。

 (フィルター)で防御は万全のはずだが、だからといって試してまで確認したいとは思わない。

 寸止めするからと言われて、殴りかかられて平然としていられるか?

 安全だから問題ないよね、とかそんなわけないだろう。

 俺は自分からそういうことを進んでやる趣味はない。

 絶叫系とか、友人に誘われたって断る。

 断りきれずやったことはあるが。

 実際にやってはまる人の気持ちもわからないではないが、俺は遠慮しておく。

 ともあれ原因も重要だが、結果こそが重要である。

 『剣術Ⅱ』の影響であろう、ずぶの素人のはずの俺でも達人かってほどの動きで敵を切り殺せる。

 これだけわかっていれば十分である。

 そもそもわからないことだらけの今のご時勢、ダンジョンにしろアビリティにしろ実際にあるのだからそのまま受け入れるしかないのだ。

 後は骨ごと切っても刃毀れしなかった理由らしきものも判明した。

 意識してやったわけではないが、小太刀に気を纏わせている。

 漫画とかにもある、武器に気とか魔力を纏わせて攻撃力を上げるやつだろう。

 防御力も上がっていて刃毀れしなかったのだろう。

 試しに意図的にやってみるが簡単に出来た。

 操作・闘法スキルがあるから当然かもしれないが。

 序に魔力と霊力も試してみるが、これも可能。

 纏わせていると徐々に減っていくので順番に使い、どれかが減り過ぎないようにしよう。

 長々と考え込んでしまった、ダンジョン内だというのに。

 こう長々と考え込むのは昔からの悪い癖だな、何時まで経っても直らない。

 そう考えると、勝手に体が動いて戦闘するのは都合が良いな。

 また考え出しそうになるのを慌てて止める。

 今はダンジョン探索に集中しろ。

 そう自分に言い聞かせ、奥に進む。

 

 道中何度かネズミに遭遇したが、全て体が勝手に動き一刀両断。

 自分でやった気がしないが結果オーライである。

 昨日は持ち帰らなかったが、今日はネズミを回収している。

 自分で食うのは御免蒙るが、売れるなら売ってしまおう。

 金には困っていないが、こんなところに来て手ぶらで帰ってくると怪しい。

 逃げ回っていたかとか思われるのも剛腹である。

 ただ、そうはいっても骨ごと一刀両断されたネズミを持って行ってはそれはそれで怪しい。

 なので何とかできないかとやってみると、戦闘に少しだけ干渉できた。

 それにより、一刀両断は一刀両断でも頭から胴体をではなく、首を狙って落とすことが出来た。

 これならまだ違和感が少ないはずだ。

 今の俺の見た目で、そんな腕があるのを不審に思われるかもしれないが。

 そうして首を落としたネズミの血を(フィルター)で9割ほど抜いて、準備しておいたビニール袋に入れて『無限収納』へ。

 9割なのは全く残っていないと怪しいからである。


 そうこうする内に青い光点の近くまで来た。

 確認が出来ればいいだけなので、『隠密』を使い曲がり角からこっそり覗き見る。

 迷彩服を着た5人組だった。

 どう見ても素人には見えない整然としたその様は、多分自衛官なのだろう。

 警察官かもしれないが。

 警察が使っているような透明な盾を持つものやクロスボウを持つもの、俺と同じ日本刀を持つもの等様々だ。

 しかも腰には銃を携帯している。

 銃ではレベルが上がらないはずだから、いざという時に倒すだけ倒すためだろう。

 流石に銃は民間に開放されていないし、緩和対象外だ。

 旅行中に使ったことはあるが、あれはあれでいいものだ。

 実は幾つか『無限収納』に隠し持っている。

 どちらにしろ敵ではない確認が出来た。

 青い光点が味方であるとまでは言い切れないが、モンスターではないとわかるだけで十分である。

 気付かれる前にさっさと立ち去る。

 

 次は階段の確認だな、そのまま下りるつもりだが。

 地図を見ながら一直線に突き進む。

 既に何体も倒しているが大体1体、偶に2体くらいでしか纏まっていない。

 それなりに数自体はいるんだけどね。

 ただ広場に集まっている所が何箇所かある。

 通り道ではないので行かないが。

 余りにあっさり倒せるので忘れていたが『鑑定』で確認すると、種族はラット名無しのようだ。

 猫くらいのサイズがあるのだけど、ジャイアントとかは付かないらしい。

 能力も低く10もないが、驚くところはそこではない。

 なんとこのネズミレベル1である。

 外で他の人を『鑑定』すると軒並みレベル0なのに、ネズミがレベル1。

 微妙な気分を味わう。

 後、死体を『鑑定』しても生きていた時のものとは違い、ネズミの死体と出る。

 生物か物かで変わるのだろう。

 世の無常をそこはかとなく感じる。

 そうこうしている内に階段と思しき表示があるところに到達。

 確かに階段があった、これで階段も確認終了。

 続いて第2階層の探索をするとしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ