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87話

 魔剣の検証を行った。

 その結果、ブラッディフェスタは『魔性の剣』であると判断した。

 これでは下手に手放せないではないか、全く。




 ここでふとマリエルの方を見る。

 マリエルは優秀な冒険者ではあるが普通の人である、俺とは違って。

 であれば、だ。

 俺の使用感だけで判断するよりも、マリエルにも使ってみてもらった方がより正確な検証が行えるのではないかと思い付いた。

 勿論説明した上で許可を貰えれば、だが。

 流石に説明もなしに『魔性の剣』を使わせて検証しようとするのは不義理だしな。

 そこでモンスターが近くにいないのを確認してからマリエルに話しかける。

 「マリエル、ある程度検証も出来たのでこの剣について説明しよう」

 「分かりましたが、このような場所で話し込んでも大丈夫でしょうか?」

 「周囲は確認済みだし、話しながらも警戒は怠らないから大丈夫だ」

 「それでしたら、はい」

 そうして判明した事を一通り説明する。

 「・・・・・・という訳だ」

 「『魔性の剣』ですか。私の所感を述べさせて頂くと剣そのものはとても強力ではありますが、ルイ様が危惧されておられる通り買い手が付かないかついても買い叩かれる恐れはあると思いますし、ちゃんと説明した上で売っても買い手が凶行に走ったときにルイ様を非難する人は出てくると思います」

 「やはりそう思うか」

 「はい。それが無関係な人であればまだいいですが、買い手の身内であったりましてや貴族であったりしようものならルイ様にいらぬちょっかいを掛けてこないとも限りませんので、売らずに済むなら売らない方がいいかもしれません。勿体無いですが」

 「そこで、だ」

 「?」

 「更なる検証を行うために、マリエルに協力をしてもらいたいと思っているのだがどうだろうか? 勿論断ってもらっても一向に構わないし、それでマリエルに不利益があるようなことは一切しないと断言しておく」

 「・・・・まさか」

 「そう、マリエルにも実際にこの剣で敵を倒してもらおうと考えている」

 「本気・・・ですよね、口にされる以上」

 「勿論だ。だが既に言ったが断ってもらっても一向に構わない」

 「・・・・・・やります」

 「いいのか?」

 「はい。ですので、その・・・余裕が出来てからでいいので、奥様にお売りされた和菓子を私にもいただけないかな、と・・・ダメでしょうか?」

 報酬をせびるのが恥ずかしいのか、躊躇いがちにそんな事を言ってくるマリエル。

 だが頼んでいるのは俺なのだし、その程度の報酬を求める事を恥ずかしがる必要はない気がするのだが・・・まぁいいか。

 「分かった。次に手に入った時にマリエルに二箱進呈しよう」

 「!! ありがとうございます! ・・・でも私では満足に振る事もできないのですが、どういたしましょうか?」

 「それに関しては問題ない。俺が取り押さえるから、マリエルは剣を持ち上げて振り下ろすだけでいい」

 「・・・流石です、ルイ様」

 何故か呆れた様な目で俺を見てくるマリエル。

 はっきりとは言っていないが俺のレベルの高さは伝えてあるのだから今更じゃないか?

 「さて、そうと決まれば早速モンスターを探すとしようか。最初は今まで通りにやって、最後の一匹を取り押さえるから魔剣で倒してくれ」

 「分かりました」

 そうして次の獲物がいるところを目指す。

 少し離れている分時間はかかるが、だからこそここで説明をし始めたのだから仕方ないと言えば仕方ない。

 しばらく進むと長いほぼ直線の通路の先に、目的のモンスターが見えてきた。

 のだが、モンスターは兎だけではなかった。

 兎4に蚯蚓(ミミズ)か、あれは。

 地中から頭を出しうねうねしながら直立しているような感じで佇んでいる、腕ほどの太さがあるモンスターなのだが、超が付くほどの雑魚モンスターだ。

 何せその場から動かない。

 基本的に近付かないと何もしてこないのだ。

 かなり近付いて初めて攻撃してくるのだが、それも溶解液や毒液といった液体を口?から吐き出してくるくらいで、それ自体は十分危険なのだが吐き出す前には液体が蚯蚓の体の中を伝って行っているのが目に見えるし、勢いで飛ばしているので予備動作でもばればれだし、大した勢いもなく遅いので飛んできてからでも邪魔さえなければ余裕で避けられる程度だし、一度吐き出したら1分くらいは次が来ないし、それ以外の攻撃方法が体を鞭の様に撓らせての体当たりだけというボーナスモンスターなのだ。

 更にあれには別の旨みもある。

 俺が勝手にミミズガチャと呼んでいるものだ。

 どういう事かと言うと、そこそこの確立で体内から鉱石が見付かるからだ。

 とは言っても、ここではレベルが低いから鉄や銅位だろうけど。

 運が良ければ銀も出るかも?

 そんな蚯蚓だが勿論高レベルになれば相応に強くなる。

 が、それでも同レベル帯と比べると雑魚だし、ガチャの質が上がり金や白金・宝石の原石などを持っている確立も上がっていく分旨みも増していくしで実に美味しいモンスターだ。

 とは言え、そんな雑魚でも数が揃うと恐ろしく、『地図化』で一面真っ赤になっている場所があり、何事かと遠目に確認したら、ダンジョン内に黄金の麦畑?なんて思ったら蚯蚓の密集地帯でしたなんてこともあった。

 試しに近付いてみたら、溶解液の津波が発生した。

 俺は魔法の濾過膜(マジックフィルター)で回収した後に蚯蚓も纏めて倒したが、普通の人はどうやって突破するんだろうな、あれ。

 ともあれ今は一体しかいない上にレベルも低いから何の脅威も感じない。

 実質兎4だな。


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