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82話

 マリエルとの雑談の中でとんでもない事が判明した。

 この世界では水中にもダンジョンが発生しており、度重なるスタンピードの結果、海や湖などは人が手出しできない領域と化しているそうだ。

 これは実にまずい事になるぞ。




 水中にもダンジョンが発生し得るというのは想像もしていなかった。

 湖も問題ではあるが、海がモンスターの領域と化すのは大問題だ。

 何が問題かと言うと、ここで起こっているなら地球でも起こりうるという事であり、地球の海がそんな事になってしまえば実質海運が死ぬ。

 海運とはまだ科学文明が未熟だった頃からの大量・長距離物流の要であり、特に島国である日本にとって必要不可欠なものである。

 勿論科学文明が発達している今日では、空輸などの他の手段もあるにはあるがコスト面でも運搬量でも海運に劣る。

 勿論空輸には空輸のメリットがあるが、運搬量が激減するのは避けられないだろう。

 いや、そもそも飛行可能なモンスターがいる段階で空輸もあやしいのか。

 日本詰んだな。

 いや、日本に限らないか、人類或いは科学文明の危機と言ってもいいかもしれない。

 陸海空全てで物流を阻害され、特に海は完全死亡。

 つまり大陸間の繋がりが絶たれたに等しく、それぞれの大陸・島単位での自給自足を余儀なくされ、足りないものは諦めるしかないといった状況では科学文明の発展・維持に必要な物資の確保などままならないであろう。

 それでもまだ大陸内でならある程度の維持も可能だろうが、日本のような島国ではそれも不可能。

 希望があるとするならば、こちらにはない高度な科学技術でもって何らかの対処が可能になる、辺りだろうか。

 モンスター避けの装置だとかそういった感じの。

 ・・・・まぁ、ここで俺が悩んでも仕方がないか。

 今までそういった話を聞いたことはないから即座にそうなるという事はないだろうし、それこそ俺が生きている間にそうなってしまうかどうかも不明だ。

 そして俺ならある程度は対処可能だが、対処してしまうと能力の秘密がばれて最悪国家間で俺の奪い合いが発生するだろう。

 そうでなくても主導権の奪い合いは間違いなく起こる。

 そしてそんなものに巻き込まれるのは御免である以上、俺から秘密をばらす事はない。

 ばらさない範囲内でなら、俺に出来る事はほとんどない。

 今まで通りに陸のダンジョンを間引くくらいだろう。

 その程度では焼け石に水だろうが。

 つまり今までとやることは特にかわr

 「ルイ様。倒したモンスターを収納してもらってもいいでしょうか?」

 「ん? あぁ、分かった」

 言われるがままに魚を回収するが考え事に没頭してしまい、マリエルの先導にはついて行っていたようではあるが、いつの間にか11階層も随分進んでいた。

 それ所か接敵に気付かず、マリエルが倒した後に声をかけられてやっと気が付く有様だ。

 「すまない、マリエル。考え事に没頭して索敵が疎かになってしまっていた」

 「いえ、ついて来てくれてはおりましたし、今日も大人気のようで余りモンスターもいませんので私一人でも対処可能ですから問題ありません。それよりも考え事の邪魔をしてしまい申し訳ありません」

 「いやいや、そこで謝られてしまっては益々俺の立つ瀬がない。考え事の方も一段落付いているし、以後はちゃんとするから許してほしい」

 「10階層までは本当に何も出来なかったですし、寧ろ嬉しい位ですから気になさらないでください」

 そう言って微笑むマリエルに、俺は帰ったら和菓子を食べさせてあげる事を心に決める。

 「それはそうと、先程後回しにした質問だが」

 「あ、はい」

 「俺なら海のモンスターを狩れるか、だったな。海では試した事がないので断言はしないが、ダンジョン内でなら似た様な状況もあったので、恐らく問題なく狩れるだろう。余り強すぎたり特殊すぎたりしなければ」

 そもそも海にモンスターいないしな。

 「ダンジョンで・・・なるほど、そういった環境のダンジョンもあるのですね」

 「マリエルはここ以外知らなかったりするのかな?」

 「直接知っているのはここだけです。王都のダンジョンの話なら幾つか聞いて知っていますし、特にどことは聞いていませんが、こういうのもあるという話でなら聞いたことがあります」

 「なるほど。何れは王都にも行くだろうし、他の都市にも行くだろう。その時にその土地のダンジョンにも潜るだろうから、どのようなダンジョンがあるのか今から楽しみだな」

 「ルイ様ならどこのダンジョンでも前人未到の深層まで進まれるのでしょうね」

 「ははっ、それは言いすぎだろう。俺は基本ソロだからな、それは期待のし過ぎというものだ」

 「・・・・PTを組まれる気はないのですか?」

 「今正に組んでいるだろう?」

 「いえ、そうではなく。より深層を目指す為の固定PTを、です」

 「・・・・ないな」

 「何故かお聞きしても?」

 「理由は幾つかある。人と足並み揃えて行動する事が好きではないとか実力的にPTを組みたいと思うような者が滅多にいないとか」

 「中でも一番の大きな理由は・・・」

 「大きな理由は?」

 「俺が秘密主義的な所があるからだろうな」

 「秘密主義、ですか?」

 「簡単に言うと、自分のことを余り知られたくないという考えや行動、かな?」

 元々そういう考えはあったが、アビリティの件以後は特に強くなったからな。

 何せ知られたら最悪身の破滅だからな、それはもう全力で隠すさ。


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