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81話

 ダンジョン10階層の魔方陣広間で昼休憩を取ったが、俺が渡した昼食はマリエルの口に合った様だった。

 そしてその先、11階層で空中を泳ぐ魚のモンスターと遭遇する。

 色々と突っ込みたい所だが、確認したい事があるからとマリエルに押し付け、俺は観察する事にした。




 マリエルが一突きで倒した魚を回収し、探索を再開する。

 一応観察はしたので、以後は先ほどまでと同様に俺が見付け次第倒すとマリエルに伝えておく事も忘れない。

 そうして進む先には、溢れるほどのモンスターが・・・・いなかった。

 勿論モンスターも全くいない訳ではない。

 だが湧いても直ぐに狩られるのだ。

 そう、溢れるほどいるのはモンスターではなく冒険者の方だった。

 いや、溢れるほどは言いすぎだな。

 だが、そう言いたくもなるって程度にはいる。

 あちこちをいくつもの冒険者PTと思しき集団が徘徊しており、モンスターの反応があっても直ぐに狩られてしまうのだ。

 例外は、行き止まりの小部屋などに密集している大きな群れ?くらいだ。

 その群れに近付く冒険者はいても、誰も手を出さず素通りしているようだった。

 あれだけ密集していると、この階層を主戦場にするレベルのPTでは返り討ちに合うだけだろう。

 俺としても直接赴いて倒すのであれば別だが、手段を『風魔法』のみに制限している現在、あれを全て相手にするのは少々手間取る。

 まぁ、手間取った所であちらからは距離が離れすぎていて反撃をする所か俺を確認すら出来ないだろうが、それでも倒すというほどこのモンスターに興味があるわけでもないのでそこには手を出さない事にする。

 そんな事よりさっさと先に進みたいしな。

 という訳で、今まで通り次の階層を目指しながら道中の雑魚だけ狩る事にする、ほとんどいないが。

 「なぁ、マリエル」

 「何でしょうか、ルイ様」

 「さっきのボス部屋までは一人も冒険者を見かけなかったがこの階層には溢れるほどにと言ってもいいほどわらわらといるのだが、さっきの魚が高く売れるとかそういった理由があるのか?」

 「正にその通り、あの魚は高く売れます。何せこの辺りでは数少ない鮮魚ですから。と言ってもここに来れるレベルのPTであれば他より高いだけで、先に進めるのであれば先に進んだ方がより高く売れるモンスターがいますが」

 「となるとこの辺りの冒険者の行動パターンとしては、Eランクになってもダンジョンには余り潜らずレベルを上げて、10階層を突破できる実力をつけてから一気に突破、11階層からじっくりレベル上げも兼ねた金稼ぎをして装備を整えて21階層を目指す、と言った所になるのか?」

 「えぇ、全くその通りです。ですが、ダンジョンに幾ら潜った所でそれだけではランクは上がりませんから、私たちの様に余りダンジョンに潜らないPTも少なからずおりますし、護衛専門などの何かの仕事に特化したようなPTもおります。ですので、あくまで一般的には、ですが」

 「なるほどな。後、ここの魚が数少ない鮮魚って事は、近場には川も海もないのか?」

 「ちょっとした川くらいならないこともないですが、大きな川は少し遠出しないとないですね。でも海は関係ないのでは?」

 「ん? いや、寧ろ海こそ重要だろう?」

 「でも海なんてモンスターの楽園で人が手を出せるような場所ではないと聞きますが?」

 なん・・・だと・・・・。

 「あ、それともルイ様クラスにもなると海のモンスターも狩られるのでしょうか?」

 「その前に、海に関してマリエルが知ってる事を全部話してくれないか?」

 「はい、勿論いいですけど・・・陸にダンジョンがあるように水中にもダンジョンはあって、そこには主に水棲のモンスターが湧くらしいのですが、人族の多くは水中での活動が不得手ですので頻繁にスタンピードが発生してしまい、今や魔の森と同様に人が手を出せない領域と化しているそうです。ですのでモンスターの楽園と化した海にまだ魚が生き残っているかも定かではありませんが、たとえ生き残っていたとしても結局人が手を出せない以上いないのも同然、湖も同様。ただし幾つかの説がありますが、川にはダンジョンもなくモンスターも余り近寄らないので、魚もいますし人族の手も入っております」

 「魔の森とは?」

 「広義的には人が手出しできないモンスターの領域、ですね。ですので森とは言っておりますが、山だろうと海だろうと平原だろうと魔の森と表現しても間違いではありません。ただ海は全てモンスターの領域ですし、それ以外のモンスターの領域は普通森ですからそういう言い回しが一般的だとか。そして狭義的には南の森のことです。ここは人族の領域で最も南にある国の最南端ですので、その更に南にある森は魔の森になります。と言っても、あくまである程度以上奥に進んだ場所のことであって、南の森が即魔の森という訳ではありませんが」

 「つまり、ここの人たちの認識からすると、俺はその魔の森を超えてきたと主張している訳か」

 「私もそう認識しておりましたが、違うのですか?」

 「・・・・いや、間違いではないな」

 魔の森の定義が人が手出しできないモンスターの領域であるなら、ダンジョン奥地も魔の森であると言えなくもない。

 であるなら、ダンジョンを越えてこの地にきた俺は、魔の森を越えてきたと言っても間違いではないはずだ。

 よし、理論武装完了。


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