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73話

 マリエルに連れられて武器屋にやってきた。

 そこには頑固だが街一番と評判の鍛冶師がいた。

 そんな彼に最初は評価されていなかったが、話しを合わせていたら気に入られてしまった。




 奥の武器も見せてくれるという事だが、先ずは鞘の話を終わらせてしまおう。

 「鞘自体は全てお任せするが、ご覧の通り俺自身よりも長く背負う事もできない。なので、ベルトで肩に掛けようと思っているのだがどうだろうか?」

 「寧ろそれしかないだろうな。無理に背負うなり腰に差すなりしても、いざという時即座に抜けないだろう。そんな事をするくらいなら、邪魔にはなるが肩掛けるのが一番現実的だ。幸いお前は収納持ちだから、本当に邪魔な時は入れておけばいいだけだしな」

 要望、と言うか案を提示してみると、意外にあっさり受け入れられた。

 へんk・・・頑固という事だったから、『素人が口を挟むな、全部任せておけばいいんだよ』ぐらい言われるかと思っていたが。

 どの辺が頑固なのだろう?

 まぁ、こっちの方が楽でいいけど。


 その後ブラッディフェスタを預け、預り証を受け取った。

 代金は半分だけ払い、残りは受け取り時でいいらしい。

 これで鞘に関する話は終わったので、奥の部屋に案内してもらった。

 そこは手前の部屋とは違い、武器が一本一本丁寧に整理して展示されており、同じ店の中とは思えないくらいだった。

 また武器に見えないような物はなく、そういった意味でも手前の部屋とは違っていた。

 ざっと店内を見渡すと、扱いが明らかに違う剣が一振り壁に掛けてある。

 ただの武器に見えなかったので『鑑定』してみると、どうやらこれも魔剣のようである。

 特殊効果なども見えるが俺のブラッディフェスタに比べると何段か格が落ちると言わざるを得ないだろう。

 とは言っても魔剣であることと展示されている状況などから考えて、この店の目玉商品なのだろう。

 「ディーノさん、あの壁の魔剣がこの店の目玉商品なのだろうと思いますが、見せてもらうことは可能でしょうか?」

 「ほぅ、あれが魔剣であると一目で見抜くか。腕はともかく、目はいいようだな。本当ならお前程度が持つには早すぎると断るところだが、お前はあれ以上の魔剣を既に持っているしな・・・いいだろう、見せるだけなら見せてやろう」

 気に入られてはいるが弱いと思われたままであることに変わりはなかったが、何とか見せてくれはするようだ。

 でも、あの言い方は売ってくれなさそうだな。

 買ってまで欲しい物でもないけど、買えるかかどうかは置いておいて。

 そうして渡された魔剣を手に取り、一言断ってから抜いてみる。

 形状は普通のブロードソードになるのだろうか、これといって特徴というほどのものはない。

 ただ色が微妙に蒼い。

 塗装とかでもなく、金属そのものの色なのだろうが俺はこんな色の金属は知らない。

 だが魔剣だからだろうか、『鑑定』に素材名が出ない。

 店内の他の武器を幾つか『鑑定』して見るが、こちらは普通に素材名が出るから魔剣だからなのだろう。

 ブラッディフェスタも出てなかったし。

 これではファンタジー素材が使われていても分からないじゃないか!

 ・・・・はぁ、文句を言っても仕方がない。

 見付けたからといって何かするつもりもないのだし、その内機会があれば目にすることもあるだろう。

 剣を鞘に収め、お礼を言いながら返す。

 「ありがとう、目の保養になった。俺にはあれがあるから買う事はないだろうが、何か入用の時は世話になると思うので、よろしく頼む」

 「ふん、それまでに目に釣り合う位には腕を磨いておけ。そうすれば売ってやらんこともない」

 「そうだな。他の武器も見せてもらっても?」

 「あぁ、どれが見たいんだ?」

 そう言って幾つか店の武器を見せてもらう。

 口では散々貶されているが、その割りに見せてもらっている武器の説明などもしてくれる。

 何だろう、ツンデレ?

 爺さんのツンデレとか誰得だよ。

 と思ったが、説明とかしてもらってるのだから、俺は得しているのか?

 まぁいいや、そうして俺はマリエルに止められるまであれこれと武器を見せてもらっていた。




 帰り道、何時も通りマリエルを抱えて飛行中なのだが、マリエルの機嫌が微妙に悪い、気がする。

 気のせいかもしれないが、気のせいでないなら原因は一つだろう。

 武器屋に行ってから武器ばかり見ていて、マリエルがただの通訳になっていたからな。

 放置されているようで不貞腐れているのだろう。

 我ながら何をやっているのやら。

 このままという訳にもいかないので、ご機嫌取りをすることにする。

 「今日はありがとうマリエル。マリエルに案内してもらったお陰でこの街の事が少しは分かったし、何より今日一日楽しかった。特に武器屋ではマリエルのお陰で話がスムーズに進んだし、マリエルに案内してもらって本当に良かったよ」

 「私も楽しかったです、ルイ様。また次の機会には今日行けなかった所を案内しますね」

 そう言って頬を僅かに赤らめた笑顔を見せるマリエル。

 やはり可愛い女の子には笑っていて欲しいものだな。

 しかし・・・マリエルちょろいなと考える俺は間違っていないはずだ。

 

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