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71話

 お茶会は無事・・・? いや、無事に終わった。

 その際俺に二つ名が付けられている事を聞いたが、マリエルに半分押し付けた。

 これでマリエルが倒したと認識してくれるようになればいいのだがなぁ。




 マリエルを伴って、街に戻ってきた。

 これからデートというか街の案内を再開してもらうわけだが、既に大分日が傾いている。

 日本の様に日が落ちてもそこら中電気の灯りで関係なしというわけにもいかないが、かといって日が落ちたらすぐ寝るなどという事もない。

 とは言え、やはり日が落ちてもやっているという店は種類も数も激減する。

 なのでもう余り時間は残っていないが、そもそも目的らしい目的があるわけでもない。

 俺としてはこのタイミングでというのはどうかと思うが、マリエル自身最初にギルドの呼び出しに応じているくらいだから大丈夫だろうということで、武器屋に案内してもらった。

 自分からデートっぽくない所に寄るのはどうかと思うが、マリエルはそうは思ってないだろうから今更だ。

 ただ、マリエルからは不思議そうにされたが。

 「武器屋に用事でもあるのですか?」

 「あぁ、ゴブリンの時の戦利品の大剣があるだろう。あれには鞘がなくて持ち歩きに問題がある。なので鞘を拵えてもらおうと思ってな」

 武器屋に行くのが適当なのかは分からないが、無理だとしても案内くらいはしてもらえるだろうと考えている。

 「態々持ち歩くのですか? 収納があるのに?」

 「確かに収納に入れておけば鞘もいらないし持ち歩く手間も要らないだろう。ただ、自分で言うのも何だが俺は軽装だし強そうに見えないだろう? 今の所はマリエルのお陰でそういう事はなかったが、一人でギルドに行ったりしたら絡まれたりしそうじゃないか。でもあんなでかい武器を持っていたら、威圧感あってそんなこともなくなるかなと思ってな」

 それはそれでイベントの一つとして面白そうと思わなくもないが、実際にあったらただの面倒事だろう。

 一度くらいならと思わないでもないが、避けられるなら避けるべきだろう、一般的には。

 「最早その心配は無用のものと思われますが。しかし、威圧目的とは言え、あのような使えもしない大きな剣を持ち歩くのはどうかと思いますよ」

 「いやいや、普通に使うぞ? 使えもしないものをぶら下げるのは格好悪いだろう。使わないだけならともかく」

 「え? ご自分で使われるつもりだったのですか? 趣味の収集とかではなく?」

 「趣味というのも否定はしないが使うつもりだぞ。と言うか、既に使い勝手や効果も名前だけはを調べてあるし、その上で手元に残そうと思ったのだからな」

 「でも魔法使いなのに・・・あんな明らかに大きな剣を振れるのですか?」

 やはり魔法使いであるとのみ認識されていたようである。

 「使い勝手は既に確かめてあると言っただろう。マリエルもその場にいた・・・が寝ていたか」

 何時の事か察し、その時何があったかを思い出したのだろう、少し顔を赤くするマリエル。

 「それに何より・・・」

 「何より?」

 「格好いいだろ、大剣」

 そんな事を堂々と言い切る。

 「格好いいのは認めます」

 うんうん頷くマリエル、分かっているじゃないか。

 「ですがよろしいのですか? 隠したかったのでは?」

 「大丈夫、倒したのはマリエル。同じPTの俺がその戦利品を持っていてもおかしなことではない」

 「・・・・そう思ってもらえるといいですね」

 ジト目で呆れられてしまった。

 だが倒した事まで隠す気はないし、どうせ半分以上ばれている。

 そして何よりその方が楽しい、これ重要。

 「ともあれ分かりました。それではいつも利用する武器屋に案内させて頂きます」

 何とか納得してくれたのであろう、そう言って武器屋まで連れて行ってくれた。




 第2区画にあるらしいその武器屋には勿論飛んで行ったので、余り時間はかからなかった。

 そうして到着した武器屋の店先は、看板があるから分かりはするが店頭に商品を並べていたりするわけでもないので、何の店なのか、そもそも店なのかぱっと見わからない作りになっている。

 まぁ、この店に限らず大体そんな感じだが。

 そしてそんな店に躊躇いなく入っていくマリエルと後に続く俺。

 店内は余り広くなかったが、武器から武器っぽい物、武器に見えない物まで色々と壁から棚から床からと雑多な感じに纏めて置かれていた。

 何も知らずに連れて来られていたら、何の店か分からなかったかも。

 そんな感想を持ちつつ店内を観察する俺を余所に、そのまま奥に進んだマリエルは店番をしている老人に話し掛ける。

 どうせ内容など分かりはしないので、そのまま物色を始める。

 似たような品を比べて見るが微妙に違うので恐らく一つ一つが手作り。

 素材も出来も悪くはないが逆に言えばその程度でしかなく、それでいて手作りである事を考えればきっと安くはないだろう。

 その安くはない金額を払ってまで欲しいと思うような品は、ぱっと見た限りではない。

 正直期待外れではある。

 物凄い魔剣の一振りでも陳列してあれば雰囲気あったのに。

 ただ、その中でも質のいい武器の素材にモンスター由来の物が多く含まれているのはいいとして、その内の一つに魔鉄なるものがあるのだがこれはファンタジー素材なのだろうか?

 探せばオリハルコンとかも出てくるのだろうか?

 まぁ、この店にはないだろうが。

 でもこういう雰囲気は嫌いじゃない。

 やっぱり男だし、こういう武器とか惹かれるものがあるよね。


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