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プロローグ
一人薄暗い洞窟を歩いている者がいる。
彼は両手に短めの刀・小太刀を持ち、無言で歩を進めている。
少し進むと巨大なカエルが現れ、彼を見つけるや否や高速で舌を伸ばした。
その巨大さは人間の一人や二人、優に飲み込めるほどだ。
しかし彼はそれを気にした風もなく、無造作といった感じで近付く。
舌が彼を絡め取ろうとした瞬間、彼の腕が霞む。
同時に舌が吹き飛ばされ、彼の姿も消える。
刹那の後、彼はそのカエルの目の前に現れていて、掲げた腕を振り下ろす。
するとその巨大なカエルは真っ二つになった。
明らかにおかしい。そもそも長さが足りていない。
しかし彼はその異常を気にも留めず、真っ二つになったカエルを踏み付ける。
カエルの姿が掻き消える。その後もう半分も踏み、また消える。
その場で僅かな時間立ち止まっていたが直ぐにまた歩き出す。
彼が立ち去った後、その場には僅かに戦闘の跡が残るだけとなっていた。