2番
続きを読んでくださる皆様に感謝を捧げる2話目。
♫ ヤツはウンコで空飛ぶぜ
月の裏まで飛んでくぜ
クサイクサーイ
クサイクサーイ
宇宙人すら逃げて行く
ちょうどその頃、地球の誰も気がついていなかったのだが、月の裏側には宇宙人たちの前線基地があった。それは地球侵略のためであり、彼らの目的は地球の資源全てを奪い取ることにある。その中には、人体の水分も含まれていた。
着々と侵攻の準備が進み、明日にも地球へ攻め入ろうかという時だった。突如彼らが潜む月の近くに、地球からの正体不明な飛来ブツの訪いがあったのである。
「クソっ、なぜこんなに近づかれるまで気がつかなかった!」
「はっ、それが非常に小さな物体かつ非金属のため、探知出来なかったようです」
司令官のいらだった声に、部下が応えた。
「クソクソっ、まさか地球の連中が気がついたはずもないが、やつらの兵器かもしれん、迎撃機に撃墜させろ!」
直ちに基地周辺をパトロールしていた戦闘機一機が、飛来ブツのインターセプトコースを取った。すぐにパイロットからもブツが視認出来たため、「目標を確認した。これから攻撃する」と基地へ報告しミサイルを一発発射した。
だが、信じられないことに、そのミサイルはブツに命中すると思われた寸前、爆発せずに分解してしまったのである。ブツがこちらへと飛んでくる中、パイロットは焦りと共に報告した。
「な……! 司令部、こちら迎撃機、攻撃は目標ブツに届かず、繰り返す、攻撃は目標ブツに届かず!」
飛来ブツは誰あろう、ウン命のいたずらによってコンビニのトイレから打ち上がって来たあの男である。男はウンと広い宇宙空間でも息絶えることなく、その後ろに相変わらず例の黒いブツを撒き散らしながらひたすらに飛び続けていたのだ。そして何の不思議か、その長くたなびく黒いブツは宇宙人たちのテクノロジーに対して絶大な破壊効果を持っていたのである。
そのため、ミサイルは近づくだけでバラバラに壊れてしまったのだが、迎撃機のパイロットにとって更に不ウンなことに、男とすれ違った際に機体まで分解され、先ほどの通信を最後にパイロットの体は宇宙空間へ投げ出されてしまった。そしてヘルメットにも、黒いブツが張り付いてしまったのだ。急に視界まで奪われ、ブツの付いた箇所からエアー漏れを起こし、パイロットは苦しみながら命を落とした。
男はそのまま基地すれすれの上空を飛び去っていったのだが、彼が残した黒いブツは月の弱い引力に従ってゆっくりと基地に向かって落ちていった。基地では司令官が怒鳴りながら警戒態勢を続けていたが、ブツは基地の最も重要な施設を分解し始め、それは連鎖的に基地全体へと広がっていき、やがて致命的な損害を与えた時点で総員退避を知らせる警報が鳴り響いた。
「クソクソクソっ、あれは一体なんなんだ!」
叫ぶしか能がない司令官はそれでも叫び、部下たちに脱出の命令を飛ばしていたが突如崩壊した天井に押し潰された。それ以上クソと言う間もなく司令官は永遠に口を閉ざした。残った部下たちも、パニックの中で基地とウン命を共にするか、非常用の脱出艇に乗り込んだがそれもブツに飲み込まれるかの最期となった。
気がつけば、宇宙人たちの基地は跡形もなく分解されてしまい、後には何も残っていなかった。
こうして男は、地球を侵略者の手から人知れず救ったのである。
ここまで読んで下さった皆様、本当に有難うございます。残り1話。




