表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/107

第89話『真実を知るもの』

さてはお前まるで反省してないな?(自虐

「何をしたの、アルテミリアス……!」


「……僕がやった事だけを述べるなら、“起点を立てた”としか。ここと別所の起点を繋ぎ、我らが王の御技にて、不穏分子を一斉凍結する――という手筈だった訳だけれど」


「そんなもの見れば分かる、そっちの話じゃない!彼に、“イガラシ・クロに何をした”って聞いてんのよッ!」


「……ちょっと、それに関しては僕に聞かれても困るかな」


 メイリアとの戦闘によってボロボロの黒衣に身を包んだままのアルテミリアスは、彼女の問いに乾いた笑いを浮かべながらもそう答える。

 二人の視線の先にあるのは、つい先程、街の広域を覆い尽くすほど巨大な質量を持って出現した氷の山だ。魔力の質がアルテミリアスのそれと異なる事、そしてその規模がアルテミリアスの魔法の規模を遥かに上回っている事から、恐らくは魔王によるものなのだろうと推測していたが、彼の言にてそれが確定した。

 だが問題はそこではない。勿論それ自体も充分に大問題ではあるのだが、しかしそれ以上に最優先で解決すべき大問題が一つ発生したのだ。


「……あ、れは」


 エマが呆然とした表情で空を見上げる。否、正確に言い表わすのならば、氷山の頂点に君臨する“それら”を見上げる。



 片や、その顔に不気味なほど何も飾られていない真っ白な仮面を被った、そして漆黒のドレスを纏った、黒髪の女であった。女はその身の丈を優に超えるほどに長い黄金の刀を携えてながら、その大きさを気にも留めずに刃を振るっていた。


 そして片や、異形の怪物であった。その全身の節々からは漆黒の(もや)が滲み出し、紅い電光を瞬かせながら、その3メートルにもなるかという巨大に見合わぬ異様な速度で女を攻撃する、辛うじてヒトの形に見えなくもない恐ろしい怪物。


 双方、エマはまるで見たことなどない風貌であった。知りもしないはずの者たちだった。


 でも、何故だろう。あの漆黒の怪物、悍ましい姿で破壊を撒き散らす恐ろしき異形の、その胸の奥底。辛うじて消えずに残っている程度の心の残滓から――


 ――この眼(紅の眼)が、(クロ)の苦しみを読み取れてしまうのは。












 ◇ ◆ ◇














「……なんだ、これ」


 断世王(クラウ)封龍剣(ソラス)によって氷山に風穴を開け、外に脱出したクロが最初に呟いた言葉は、そんな困惑に満ちた一言だった。

 氷山の頂上から見渡せる景色は確かにアヴァロナルから変化はない。街自体には変化はないのだが、それ以外に関しては異質も異質。無数の異常を詰め込んだかのような情報過多に、一瞬頭が理解を拒む。


 まず最初に、空が紅い。クロが氷に呑まれ意識を失うまで見ていた天に散っていた雲も綺麗さっぱり消えて、空に輝く筈の太陽すらその姿を隠している。

 そしてアヴァロナルの外、街の外壁のその向こう側に、陸が続いていない。いつのまにかアヴァロナルがこの大地ごと海に切り離された、なんてことでは勿論なく、目の前に映る光景はそれよりもずっとあり得ないもの。


 アヴァロナルの外には空があった。


 土も、水も、何も存在しない。ただ真っ赤な空だけが、“アヴァロナルの下に”広がっている。それはまるで、このアヴァロナルが天に浮かんでいるかのような光景だった。


「……いや、浮島自体は、この世界じゃ別に摩訶不思議って訳じゃないんだろうが」


 かつてキルアナやジライヤ、そして『黒妃』と交戦した空中城塞を想起する。別にその一回に限った話でもなく、ここまで旅を続けて来た内に浮島自体は何度も目撃した。

 だが何故、アヴァロナルが急に空に移動している。この空は一体何だ。街の各所から発されていたはずの戦闘の気配は?メルセデスに街の人々が避難している筈なのに、まるで感じられない魔力の反応は?異常自体のバーゲンセールだ、頭が痛くなってくる。


「――おはよう、気分はどう?」


「……っ!」


 突然後ろから掛けられた声に、驚きながらも振り返る。


 女だ。長い黒髪に翡翠の瞳、漆黒のドレスをその身に纏う、まるでフィクションのように綺麗な女だった。

 その腰には小柄な体とはまるで不釣り合いなほどに長い刀――およそ2メートル以上はあるだろうか。エマの巨剣と比べても尚長い、しかしその長さに反して異様に細いそれを()げている。


 ……気のせいだろうか、どこかその顔立ちに見覚えがあるような気がした。


「……誰だ、アンタ」


「――!」


 一先ず素性を問おうと、そう声を掛ける。

 すると彼女は何やら驚いたように目を見開くと、「そう」と悲しげに短く呟いた。


「……話には聞いていたけれど、想定以上ね。『禁術』をこの短期間で、一体どれだけ使ったのよ」


「禁術ってのはナタリスの秘伝じゃなかったのかよ。当然のように知ってる奴ばっかに会うせいか、若干デウスの言葉が信じられなくなってきた」


「そうね、まあ確かに『禁忌術式(タブー)第一鎖(ファーストチェイン)』はナタリスの秘伝だけど……大元であるところの『禁忌術式(タブー)源流(オリジン)』は最低最悪の魔王が創り出した力だってこと、忘れてない?」


「……そういやそうだったな」


 一つ大きな溜息を吐きながらそう呟き、己の右腕を見下ろす。

 今やクロの体の6割から7割ほどまでを侵蝕したその痣は、もはやクロの姿をただの人族(ノルマン)とは信じられない程に悍ましく変貌させている。


 体の半分以上が痣によって黒く染まり、逆に髪からは色が落ちていく。『禁術』による異常な再生能力の副産物か、髪や爪もこの短期間で伸びたにしては過剰だと思えるほどに伸びていた。本来のクロを知る者が見れば、別人のようにすら見える。

 ただでさえこの一、二週間ほどはロクに睡眠も取れていないのだ。侵蝕による吐き気や眩暈、脳裏に延々と走り続ける激痛が、クロを眠りから強制的に引き上げる。隈だって酷いことになっているだろう。


「……それで?訳知り顔で語ってるお前は結局誰なんだよ。ここは何なんだ」


「別にその質問に答える必要も義理もないけれど……まあ、私の事は“ヒメノ”とでも呼んで?昔のあだ名みたいなものよ」


「あだ名ってな……そんないきなりフレンドリーになれる状況でも無いのは分かるだろ。素性も分かんねぇ、本名も明かさない相手にこんな状況で一対一の対面。警戒するのが当たり前って話だ」


 警戒の混じった視線と声音を、“ヒメノ”と名乗った彼女に向ける。

 恐らくこの世界は彼女の手によって生み出されたもの……と推測しているが、何しろ完全な状況から見ただけの憶測だ。事実か確かめる手段もない。


「……ここは、まあ簡単に言えば精神世界みたいなものよ。頭の中にある意志を、記憶から読み取った地形を再現して組み上げた世界に送り込む魔法。現実の貴方は、今頃眠り込んでいるんじゃないかしら?」


「ん、な……っ!?」


「安心しなさいよ、この世界の時間の流れは現実なんかと比べ物にならないわ。こっちで何日話そうが、外で経つ時間は10秒くらいじゃない?」


 その言葉を聞いて安心、とは行かないまでも、一先ず胸をなで下ろす。もしもこちらで経過した時間と外で経過した時間が同じなら、この氷の山の中に居た時間も含めると容易に1時間は超える。それだけ経っていれば、魔王軍の本隊が街に辿り着いているだろう。

 その心配がないと分かったのなら、後は一刻も早くこの世界から出なければ。たとえこの世界の時間の流れは速いとしても、だからといって油を売っていられる状況でもない。


 ――といっても、その糸口は今のところ、目の前の女の頭にしか存在しない訳だが。


「状況の整理は充分?もう少しくらい待ってあげても構わないけれど」


「……遠慮する。それで?わざわざこんな世界まで作って、何の用だよ。まさか通りすがりの一般人……なんて冗談言うタイプでもないだろ、お前」


「あら、分かんないわよ?何となく興味が出たから拉致っただけの魔法使いさんだったり……ああ、分かった分かった。本題に入るから、そんな怖い顔しないでよ」


 話の脱線を繰り返すヒメノを睨み付けると、彼女はケラケラと笑ってそう言う。今は時間も余裕もない、たった数秒。たった数瞬の誤差が、取り返しのつかない事態を招きかねない。

 一瞬の意識の喪失、たった数秒の遅れ。それらが何もかもを台無しにする時を、クロは身を以て体験した。目の前で手の中から大切なものが溢れ落ち、崩れていく苦しみを、嫌という程に刻み込まれた。


 ヒメノはクロの両眼をジッと見つめると、一つ溜息を吐いて、氷の山から一番近い大きな建物――見たところ教会だろうか――の屋根に飛び移る。彼女はその瓦に、ドレスが汚れる事を特に気にした様子もなく腰掛けると、クロにもこちらに移るようにと手招きした。

 内心“さっさと要件を言え”と言いたい気持ちはあるが、主導権はあちらにある。下手に逆らうもの悪手か、と、指示に従って移動した。


「貴方を呼んだのは、別に大した用事でもないの。ちょっと聞きたいことがあるだけ、それが終わったらすぐに返してあげるわ」


「……聞きたい事?」


 聞きたいこと、と言われても、クロは特にこの世界について突出して詳しい事などない。そもそもが異邦人なのだしこの世界について何かしら研究をした訳でもない、そんな自分がこんな世界を作るような魔法使いも知らない事を知っているとも思えないが。


 そんなクロの様子から、思っている事を見通したかのようにヒメノはクスクスと笑う。彼女は「別に知識を披露してって訳じゃないのよ、貴方の意見を聞きたいって話」と補足すると、改めて本題を切り出した。


「『真祖龍』と『黒妃』……強かった?」


「……そりゃ、まあ。『真祖龍』は何百年って封印から目覚めたばっかりでアレだってんだから、万全の状態じゃ一瞬で燃やされてただろうな。『黒妃』の方だって、何故か何も抵抗しなかったからそのまま倒せたけどさ。普通に戦ってりゃ、まず何も出来なかったと、思う」


「――!」


 ぞわり、と。

 妙な感覚が全身を撫でて、一歩足を退く。殺気ではない、怒気でもない、何か“奇妙なもの”がクロの体を怯ませたのだ。


 そるは間違いなく、目の前の女から発されたものだ。極限まで噛み殺された、しかしそれでも尚溢れ出る何かが、クロの心臓をするりと撫でる。その翡翠の瞳が無感情の冷たさを宿して、クロの両目を射抜く。

 一つ瞬きをすると、同時に直前まで体を覆っていた違和感が全て綺麗さっぱり消滅した。気のせいだったのだろうかと思いヒメノに視線を向ければ、既にその表情に混じっていた氷柱のような冷たさは消えている。彼女はただ、ニコニコと笑うのみだ。


「それで?どんなだった?」


「……どんな、だった?」


 ヒメノの質問の意味がイマイチ掴めず、首を傾げる。強かった、とはまた違う質問だが、“どんなだった”とはどう言う事だろうか。


「えぇ、と……『真祖龍』は兎に角デカくって」


「ああ、違う違う。外見の話じゃないよ」


 ヒメノは笑って否定する。まるで旧友の友と雑談を交えている見た目相応の少女のように笑って、クロに何ら変哲も無い質問を投げかける。

 これまで幾度も、クロが成した事を知る者達は一度として投げ掛けてくることはなかった問い(それ)を、ただ純粋に彼に突き付ける。






「――どんなヤツだった?って話よ」





 たった、それだけ。

 ただそれだけの、なんて事はない質問。イガラシ・クロは歴史に残るような大悪党と出会って、倒した。だからその当事者(クロ)に、実際会ってみたら『四黒』どんな人物だったのか、気になったから聞いてみた。ただそれだけの話。ただそれだけの話、なのに。


 何故だか、言葉に詰まった。


「……?何もおかしな事は聞いてないと思うけれど。『四黒』だって、意志ある生き物じゃない?言葉も通じない怪物じゃあるまいし」


「……そん、なの」


『真祖龍』と戦った時を思い出す。


 思えばあの時は必死だった。行方不明になったエマを探して封龍剣山に飛び込んで見れば、よく分からない奴に出会って、片腕を捥がれた。だと思えば気が付けばエマの前に居て、この漆黒の腕が失われた腕を補完するかのように生え変わっていたのだ。思えばあの時も、『禁術』が暴走していたのだろう。

 だがエマの体には『真祖龍』との回路(パス)が繋げられていて、それを切るためには、『真祖龍』をその封印から解く以外には無かったのだ。


 だが、『真祖龍』が世に出れば、まず間違いなく世界中が大変なことになる。何億もの人が死んで、何万という街が灰塵に帰した事だろう。


 だから殺した。死力を尽くして、持てる力の全てを使って、運を味方に付けて、それで漸く殺した。


 言葉は交わした。取引もした、騙した、呼び掛けた、何度もその姿を目に焼き付けた。




 ――しかし、ただの一度も『真祖龍』がどのような存在であるのかすら、確かめることはせずに。






『黒妃』と戦った時を思い出す。


 あの怪物との出会いは、ただの成り行きだった。本来遭遇は回避するつもりだったが、アレはその異様なまでの身体機能を見せつけるかのように、生物にあるまじき速度を以って、クロの前に降り立った。

 最初は、不可解な相手だと思った。クロを追い掛けては来たが、いざ追い付いても、クロに危害を加える事はついぞ一度たりとも無かった。むしろ逆で、クロに対し親愛を示すかのような行動も多々あった。


 けれど、あの怪物はエマを殺そうとした。その剣の四肢で、エマの体を貫き、致命傷にまで追いやった。エマの魂をズタズタに引き裂き、今の人形(エマ)が生まれる要因を作った。


 だから殺した。怒りのままに、悲しみのままに、ただ己の感情に身を委ねて、その命を断ち切った。


 名を呼ばれた。歩み寄られ、求められ、共に居て欲しいと懇願された。白の少女と、瓜二つの貌で。




 ――けれど、たったの一度も『黒妃』と意思を交えることすら拒んだまま、その刃を振り下ろした。






 クロは、最後まであの二体が“人類の敵”、“倒すべき災厄である”として対峙し、殺してきた。そこに敵の意思が存在するしないが介在する余地はなく、クロはそんな事に一切目もくれずに殺した。


 それは何も間違っていない、『人類の敵』?『倒すべき災厄』?何も間違ってなどいない、その対応は正しいはずだ。




「……そっか、君は『とりあえず殺した』んだね」



 不意に、ヒメノがポツリと呟いた。


「とり、あえず?」


「そうでしょ?“真祖龍の封印を解いた。けど真祖龍は世界では危ない奴らしい、だからとりあえず殺しておこう”。“黒妃にエマちゃんを殺されかけた、許せない。だからとりあえず報復として殺しておこう”……修正はある?」


「……癪に触る言い方だな。まるでそれが悪い事だったみたいに……」


「考える事を放棄して、感情に流されるまま殺した。前者は恐怖、後者は怒り。その裏側にどんな意図が、経緯があったかは知らないけど、とりあえずその感情を処理する方法として殺す事を選んだ」


「……だから、何だってんだ。事実そうだろうが、『真祖龍』は明らかに人間に復讐するつもりだった……!『黒妃』なんか、ここ数百年間、延々と世界中を巡って被害を撒き散らしてきた!殺さなきゃ殺されるんだよ!間違ってんのか!?」


 ヒメノが紡ぐ理論が一々気に食わなくて、声を荒げながら反論する。彼女が言う言葉は確かに事実だ、確かに自分は当時の感情のまま『真祖龍』や『黒妃』と戦って、そして殺した。

 だがそこに何の間違いがあるだろう。殺さなければ殺される、それも事実だ。『黒妃』は兎も角『真祖龍』は確実にこちらも殺す気だった、『黒妃』だってクロ以外の者に対しては、躊躇なくその刃を振るった。


 あそこで殺していなければ、もっと多くの人々が犠牲になっていた。だから、間違いの筈がない。あの時の選択は、あの時の戦いは、あの時振るった刃は、何も――!



「間違いなのよ、イガラシ・クロ」



 ぴしゃり、と。

 ヒメノはたった一言、クロにそう言い切ってみせた。



「……は?」


「勘違いしないで、別に殺した事が間違いだったとは言わないわよ。そりゃあ戦うでしょう、殺すでしょう、でもそれは思考放棄で辿り着くべき結論じゃない。貴方には、全てを背負う義務がある」



 ……何を、言っているのだ?この女は。



「どういう、事だ」


「……やっぱり、失敗。根幹から無理のある手段だった訳だし、こうなる事は分かってた、けど……」


 クロの問いなど知った事かとでも言わんばかりに、彼女は両手で顔を覆って何事かを呟き始める。人に言うだけ言っておいて無視を決め込むその態度に無性に腹が立って、ギリ、と歯を鳴らす。


 思考放棄で辿り着くべき結論ではない――という。では何を考えればよかったのだ、あれらの意志を受け継いでやれとでも言うつもりか?冗談じゃない。

 全てを背負う義務がある――という。では何を背負えというのだ。殺した罪か?もはや生命の域を超え、ただ人類にとっての虐殺装置でしかないあれらを殺す事に、罪があると?冗談じゃない。


 わからない、わからない、わからない、わからない、わからない。



「……ほら。やっぱり貴方は、根幹から理解していないのよ。『四黒』の……“私達”の正体を。私達の意志を。――いや、それとも、理解を拒んでるのか。あれだけ露骨にヒントを拾っても分からない辺り、そっちがアタリかな」


「……わたし、たち?」


 疑問に呑まれそうになるクロを見かねたように、ヒメノがそう言い放つ。その翡翠の瞳には、もはや侮蔑の色しか宿ってはいなかった。








「――真実を知りなさい、イガラシ・クロ。そしてよく考えることね。自分が一体、何を殺して“しまった”のかを」








 ふわりと、エメラルド色の光が、クロの視界を塗りつぶしていく。

 輝きの中心。その穴の奥へと、光が明滅する度に意識がずぶり、ずぶりと沈んでいく。脳が解けて、穴の空いた容器を水に沈めたみたいに。




 流れ込んでくる。


 流れ込んで、満たし(傷つけ)てくる。


 記憶が(いたい)意志が(いたい)痛みが(やめろ)苦悩が(たのむ)嘆きが(いやだ)絶望が(お願いだ)諦めが(どうか)――。






 ――そうして、イガラシ・クロは。








 真実を、観た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ