俺は自分がカッコいいと思っている奴よりカッコ良くなるんだと言っている奴の方がまだマシだと思う。
「さてと、ここがゲームショップ『フレーズ:ウィズダム 本郷店』だよ。マイフェイバリットショップなんだよ」
看板に『君の青春時代に終わりなし!!!』とでかでか書かれているのが特徴のゲームショップに弘と来たが、すごく胡散臭い気がする。
「店長、受け取りに来たぜよ」
「あら、ヒロちゃん。こんなきれいな子連れてきて、デート?」
「いや、こいつ男だしよ!」
「あら、そうなの? きれいな顔しているから間違っちゃった。ごめんなさい?」
いきなりキャラが濃いのはどうかと思う。スキンヘッドにマッシブな体格、低く野太い声を兼ね備えた人物がレジカウンターにいた。
「すみません、一つ失礼な質問していいですか?」
「まず失礼だと思ったら、普通は聞かないものだけど……面白いボウヤね!」
「よく隣の『クラスで一番漫才師に向いてそうな奴』がそれを言われるんですがね」
「それ、俺のことかよ!?」
「まあ、別に一つくらいならいいわよ」
「俺の事無視しないでよ!!!」
「店長さんの性別は?」
「生まれてからずっと心も体も戸籍も女だわ。夫も子供もいるわよ」
「マジでよ? ずっとオネェさんだと……」
「あぁ?」
「なんでもないよ!!」
弘を睨むその眼光は、今まで出会ったあらゆる生物より鋭利なものだった。
「さて、本題に戻りましょうか。ヒロちゃんがうちを受け取り窓口にしてくれて助かるわ。これでLスト・フレンドショップになれたから」
Lストとはライフワーク・ストライク・オンラインの公式サイトでの略称だ。
Lストフレンドショップは、Lスト本体やグッズ購入・課金料金の支払い、公式的な地元大会の主催や、中古本体の売買ができるお店の中で、Lストの管理・運営をしている鮮添玩具社の直営店以外のことを指す。
基本的に初回購入者が受け取り店舗に指定したゲームショップが希望することでなれるらしいと弘が言っていた。
ここで注目なのがネット料金や銀行振り込みではなく店舗で直接課金しなければならないという特徴がある。これは小学生などが大量の課金をしないようにという配慮ということだ。
「私の娘も始めるの。もし会ったらよろしくね」
この人の娘……似てたら不憫だな。