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神様は、なんか私にも手厳しい!  作者: 守野伊音
第四章 始まりの霧 終わりの鹿
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72伝 終わらないお荷物運搬作業





「うっ、ひぅ、うっく、ひっ、うぇ」

「…………六花」

「ひぅ」

「…………六花」

「うぇ」

「…………六花」


 首根っこに齧り付いたまま泣き続ける私の名前を呼び続けるアラインに、顔面を林檎の芯にされた甲冑がそっと近寄った。




「あの……抱きしめてあげたらいいと、思われるのですが」


 僅かな沈黙の後、私が抱きついている首が少し下がる。アラインは背を少し曲げ、ぐんっと圧倒的な力で私の身体が持ち上げた。私を抱えたまま、アラインが立ち上がったのだ。でも、視界が高くなっても私はアラインの首に縋りついているからあまり意味がない。

 首筋に埋めている私の顔を確認する気配がしたけれど、すぐに前を向いたらしく首の筋が動いた。


「ひぅ」

「泣きやまない」

「抱きしめていないと思われます、聖人様」

「お前、人間だったのか」

「一応。しがない貴族の放蕩息子でしたが、今のわたしを人間と判断するのは如何なものかと……」

「お前が泣かせたんだ。対処法を提示しろ」

「え、ええー……」


 甲冑はがしょんがしょんと位置を移動して、アラインの背後に回った。そして、私の顔の前ににょきっと現れる。


「いないないばあ!」


 顔面を林檎の芯にされ、へこんだ上に穴の空いた腹部から空洞を覗かせた甲冑が、元気よく両手を振り、ばあと現れる。

 結論、泣く。



「ひっ、う!」

「聖人様、余計泣かせましたぎぃあああああああああああ!?」


 甲冑の左腕が握り潰されてぺろんぺろんになった。もう彼は、甲冑怪談改め甲冑怪獣ペロンペロンとかに改名すべきだ。





 甲冑怪獣ペロンペロンは、ぺろんぺろんになった左腕を嘆きつつ、がしょがしょと残った右手を鳴らした。


「あ、あの、わたしは後ろとか向いておりますので、どうぞこう、恋人の特権を行使した泣きやませ方を実行して頂きたく……」

「俺と六花は友人だ」

「え!? …………あ、あの、すみません、繊細な問題でしたか……」

「何がだ?」


 何故、がちょがちょにされた林檎の芯から同情の声を上げられなくてはならないのか。大変遺憾である。

 私がどれだけの体力と気力と根性をかけて、アラインのはじめてのともだちの座に据えてもらったと思っているのか。アラインが友達許可をくれた時の飛び跳ねんばかりの歓喜を教えてやりたい。

 でも、恋人にもなりたいです。凄いなりたいです。アライン好き。


「俺と六花は友人だ」


 繰り返してくれてありがとうアライン。泣く。





 私は悟った。最初から一応自分で頑張るつもりではいたけれど、この二人に任せていては、私はいつまで経っても泣きやめない。

 そう判断した私は、何度も深呼吸して、跳ねあがった動揺と恐怖心を一所懸命均した。

 濡らしたことは後で謝ることにして、アラインの肩に額置いてなんとか感情を均していく。均しながら、さっきから伝えようと思っていた言葉を絞り出す。


「ド、ドロイを、ざがじに、いがないど」

「六花、俺の弟子の名前はトロイだ」

「じっでる」


 いくらなんでも、今更トロイの名前を間違えたりしない。

 泣いたら鼻が詰まるってこと、アラインは知らないのだろうか。そんな馬鹿な。本意でなかったとはいえ、死にかけて泣かしてしまったこともあるのに。それとも、聖人は泣いても鼻が詰まらない? え、そんな馬鹿な。神様は変なところで人間と聖人の差をつけすぎだ。

 ずびっと鼻を啜って、ポケットからちり紙を取り出してかむ。がちょんと甲冑妖怪ペロンペロンがゴミ箱を差し出してくれたから捨てて、ようやく一息つく。



 私が落ち着くのを待っていたのか、また泣かないか様子を窺っていたのかは分からないけれど、アラインは小さく息を吐いて肩の力を抜いた。抜いても私を抱えたままなのはどういうことだろう。しがみついてべそべそ泣いた私が言えた筋合いじゃないけど、これ抱きしめるじゃない。抱えるって言うんだよ、アライン。


「トロイは無事だ」

「なんで、分かるの?」

「トロイに渡した証が健在だからだ」


 アラインが作ってくれた私の髪飾りと同じ存在が、トロイの剣帯にもついている。これは、命の危機に瀕したら反応するのだそうだ。初めて聞いた。


「錫杖は世界の意志だから無理だ」

「そうなんだ……じゃあ、あの、さっき私のところに来てくれたみたいにトロイのところには行けないの?」

「行けない。外部との遮断と同じものがトロイとの間に存在している。お前にはなかったからすぐに追えたが、トロイは分からない。遮断の原因が欠片なら納得がいく」

「そっか……もしかして、最初から子どもを狙ってたのかな。だって、霧が晴れてたのトロイの視線からしか分からなかったし」


 それだったら、最初から仕組まれていたのかもしれない。いま何が起こってるのかよく分からないし、ペロンペロンの存在ももっと分からないけど、すぐにやらなきゃいけないことは分かる。


「じゃあ、すぐにトロイを探さないと。今頃、怖くて泣いてるかもしれないのに、私のせいで余計な時間くっちゃってごめん」


 私が不覚にもペロンペロンに泣かされている間に、随分と時間を消費してしまった。なんてことだろう。トロイだって今頃泣いているかもしれないのに、私がペロンペロン如きに泣かされている間に!


「…………そうか?」

「え?」

「あいつは、早々泣かない」

「……そうかな?」

「少なくとも、闇に脅えて泣いたことはない」

「そうなの? いやでもこの状況って、夜とは全然違うし……」

「出先でも忘れた物を取りに夜の森に出て行って、平然と帰ってきた」

「ついていってあげて?」

「廃墟でも逃げた賊を追う際に置いていったが、平然と捕えていた分を連れて帰ってきた」

「迎えにいってあげて?」

「目の前で賊の首を飛ばしても平然と回収していた」

「私の前では緊急事態以外止めて頂けると幸いです」


 私には到底平然とできないであろう事柄を平然と並べないで頂きたい。そして、それってトロイが強いのか、強くならざるを得なかったのかどっちなのだろう。

 分かるのは、私は絶対べそかいて泣きながら帰ってくることである。


「お前には、やらない」


 青褪めて、緩慢な動きで横に首を振る私を見上げながら、アラインは真面目な顔で言った。アラインはふざけたことないけど。そもそも、ふざけるという認識自体知っているか疑問になるほどだけども。


「お前は」

「待って、なんか嫌な予感してきた」

「一人で立たせると泣く」

「下ろしてくれないのってそれで!? 私の限界軟弱すぎない!?」


 いくら泣き虫でも、そこまでじゃない!

 このお化け屋敷でペロンペロンと二人っきりにされたら泣くかもしれないけど! お化け屋敷内に一人で立たされても泣くかもしれないけど! 

 ……あれ? 私の限界って軟弱? …………日常生活で一人で歩いても泣かないから大丈夫、な、はず。最近泣きすぎて自信がなくなってきたけど、よく考えたらいろいろ普通じゃなかったから、泣いても仕方がないと思うのだ。


「お前」

「嫌な予感再び!」

「一人で寝ても泣くんじゃないか?」

「泣、かないっ!」


 たぶん!

 なんてことを言うのだ。そんな、一人で立ったら泣いて、一人で寝たら泣くよう人は、そもそも普通に生活できないのではないだろうか。水分無くなって干からびてしまう。朝起きたら干からびていましたなんて死因、悲しすぎるし、絶対嫌だ。

 流石にそこまでではない自信がある。

 慌てて否定した私に、アラインは淡々と続けた。


「お前たまに、俺が背中向けている間に泣いてるだろ」

「起きてたの!?」

「最近だと四日前と十日前」

「い、いや、違うんです。家の、夢をですね、見るとですね、ちょっと、ちょっとだよ? ちょっとこう、寂しいというか、恋しくなったっていうか……っていうか、起きてたんなら言ってよ!」

「振り向いたら更に泣くと思った」

「むしろいま恥ずかしくて泣きそうだよ!」


 さっきの認識を訂正しよう。

 私は前後の時と場合と状況によるけど、普通の日常生活においては泣かない。これだ。

 私が自分への認識を改めている間に、アラインが真面目な顔をして口を開いた。


「六花」

「あ、なんか居た堪れない質問がくる予感がする!」

「お前が夜中に背後で泣いていた場合」

「ほらねー!」


 何を聞きたいかは分からないけど、既に、私にとって忘却の彼方に放り投げてほしい話題だということは分かった。


「俺はどうすればいい」

「どうもしないでくださいむしろ気づかないでください忘れてください」

「無理だ」

「あうん……」


 無言を貫かれていたあの日々も切なかったけど、即答もつらいってことをいま知った。

 あのね、アライン。私、さっきまでアラインにしがみついてたら世界で一番安心したけど、今はとにかく下ろしてほしいです。

 私の切実な願いは、こっちも即答で却下された。しかも話題は切り替わらずそのまま続いた。悲しい。


「振り向いていいのか」

「振り向きたいの!?」

「背中を濡らされるよりは。寝返りが打てなくなる」

「成程!」

「お前、前に背中は裏だと言っただろう。どんな物でも基本的に表から使う物じゃないのか」


 まさかの表推奨だった。

 どうしよう。






 夜中にふと目が覚めたとき、一人ぼっちになってしまったような気持ちになるときがある。

 もちろん毎回じゃない。それは決まって、故郷や家族の夢を見たときだ。広い世界に一人ぼっちみたいな気持ちになって、とても不安になってしまう、ことがある。

 深夜独特の空気と、家族と故郷恋しさがうまい具合に高まって、べそべそしてしまうときが、たまに、たまにある。たまに。

 そんなとき、横で寝ているアラインにこっそり引っ付いたりしているのが、まさかばれていたなんて。まあ、よく考えたら後ろでべそべそしながら寝間着濡らしてくる私がいたら、目も覚めるというものだろう。

 一応、名誉のために言わせてもらうけど抱きついてはいない。なんかこう、頭つけてアラインの背中を掴ませてもらってるだけだ。母の故郷で言う……なんだっけ……セ、セク……セキ? セキハラ……セキララ? とかいう犯罪ではない、はずだ。たぶん……希望的観測では……。

 ……駄目かな、セキララ罪に値するかな。どっちにしても、被害者にしっかりばれている上に、自供もしてしまった。八方塞である。

 お縄につく覚悟をしている内に、裁きは下された。


「使うなら表から使え」

「こ、この場合の順序は裏からが作法かな、と……」


 私、そんな作法知らない。

 自分で言っといてなんだけど、思わず真顔になるくらい聞いたこともないそんな作法。







「あのぉ……」


 がちょーりと、ペロンペロンがぺろんぺろんになっていないほうの手を上げた。ずっと静かだったけど、そういえばいたんだ。暗闇からぬっと手を上げられるとぎょっとするけれど、そろりそろりと伺いを立てている様子は怖くない。


「御二方は、幼馴染か何かで?」

「違います、ペロンペロンさん」

「え? それわたしの名前で!? ……まあ、いいですけど、それでは似ておりませんがご兄弟か、血縁とか?」

「違います、ペロンペロンさん」

「それなのに一緒に寝ているのですか!? ただの友達なのに!? ただの友達なのに!?」

「二回も言わないでくださいよ! いろいろ事情があるんですよ!」


 私だってただじゃない友達になりたい! じゃなかった、恋人になりたい!

 でも、アラインにはまだいろいろと早いと思うし、へたすると私にも早いんですよ!



 そして、今の私とアラインは一緒に寝ている。めちゃくちゃ寝ている。朝までぐっすりだ。

 片翼の絆形成中に片翼が死にかけるという異例の事態が起こってしまい、現在私達は片翼の絆が警報を発してしまった状態だと、エーデルさんは言った。

 離れると眠れない。隣の部屋でも駄目。食事も喉を通らない、らしい。

 離れてないので実感は湧かないけど、そんな状態らしいのだ。ここまでくると、片翼という制度……制度っていうのかな……も、厄介な気がする。

 自己を一人で保てないって、凄く怖いことだ。片っ方がいなくなったら、眠れなくなって、食べられなくなって、生命を維持する為に必要な行為からできなくなっていくって、本当に恐ろしいことだと思うのに、どうして片翼なんているのだろう。それも、わざわざ異世界から呼び寄せてまで、必要とするのだ。

 聖人も闇人も、人間よりよっぽど力があって、綺麗で、賢い頭もあるというのに、どうしてそんな、わざわざ弱点にもなる存在を呼び寄せていたのだろうか。もう呼び寄せる力も無くなったという今でも、成人になったら必ず一度は試すと言うほど、頑なに。

 だが今は、そんなことどうでもいいのである。



「そんなことより、ペロンペロンさんは何でお化けなんですか!? それと、トロイはなんで連れていかれちゃったんですか!? トロイを連れていったのはペロンペロンさん枠とは別物なんですか!?」

「ペロンペロン枠って何でありますか!?」

「そんなのどうでもいいんですよ!」

「よくはなくないですか、聖人様!」

「私人間です!」


 ペロンペロンは、空洞に音を響かせて飛び上がった。でもお腹に穴が開いてるわ、あちこちぺろんぺろんになってるわで、がちょーんという凄く間抜けな音だった。私、これに泣かされたんだなと思うと遣る瀬無い。こんなお笑い枠に本気で泣かされた自分に泣けてくる。


「聖人と人間でただの友達なのに一緒に寝てるんですか!? ただの友達なのに!?」

「だから何で二回言うんですか!?」

「だったら、わたしと友達になったらわたしとも一緒に寝てくれるんですか、是非お願いします!」

「え、絶対やです」


 私はお化けと一緒に眠る趣味はないし、甲冑怪獣ペロンペロンと友達になる予定もない。

 そもそも、私とアラインが一緒に寝てるのはちゃんと理由が合ってなのだから、ペロンペロンと一緒に寝る理由は欠片もない。


「六花」

「ん?」

「お前」

「あ、既に嫌な予感がひしひしと」

「これと友人になるのか?」

「ならないよっ!」


 何を真剣な顔で聞いてくるかと思いきや。色んな意味で絶対やだよ! 想像するのもやだよ! 冬は寒そうだし、夏は……冷たいのはちょっといいな。

 一瞬、涼を取れる存在に心を惹かれかけた自分を恥じ、慌ててぶんぶん頭を振る。いくらなんでも年頃の乙女としてそこまで節操なしになりたくない。そして、この甲冑怪獣ペロンペロンと一緒に寝たら、今度はどこからともなく現れたお父さんがペロンペロン箇所を増やす気がしてならないのは気のせいだろうか。




「それに、もしも、もしもだよ? ならないからね? もしもなったらどうするの?」


 何が気になっているのか分からなくて首を傾げる。アラインが興味を持ったこと、疑問に思ったこと、ただ思っただけのこと。何でも口に出してくれるのは嬉しいからできる限り答えたいのに、私の頭が残念なばっかりに、何を聞きたいのかさっぱり分からない!


「友人の友人は、どういう扱いになるんだ」

「何が?」


 どうしよう、追加で質問してもらったのに全く分からない。とりあえず、いい加減下ろしてほしいのでもぞもぞ動いて下りる意思を訴えるけれど、抱え直されただけで終わった。

 今日のアラインはやけに頑なだ。いつもは、不満はありそうでもこれだけ私がしつこければ私の意思を通してくれるのに。


「俺とお前は現在一緒に寝ないと眠れない状態だが、お前が友人と寝る場合俺はその友人をどういう扱いにすればいい。部屋に入れるべきか、それとも俺とお前、両者眠れないこと前提でそれぞれ別の部屋で夜を明かすべきか」

「ペロンペロンと友達になる予定はないし、もし他の誰かとなっても夜には帰ってくるし、ベッド別にして眠れるようになってもちゃんと帰ってくるよ! 私は! どっちかというと、置いてくのはアラインだと思うよ、そういう場合!」


 トロイへの実績がそれを語っている。そうじゃなくても、アラインは今まで出張が多かったそうだから、私はその内置いていかれることもあるだろう。戦い方を知らない足手纏いの自覚はあるのだ。それなのに、置いていく側のアラインが何の心配をしているのだろうか……心配? これ心配かな?


「そういうものなのか?」


 違うこれ、ただの疑問だ!

 ちょっとくらい私のこと気にしてくれたりなんかしないかなとか思ってみたかったけど、これ絶対ただの疑問だ! アラインが私を気にかけてくれてるのは知ってるけど、そういう意味で気にしてくれるわけないって知ってた。最初から知ってた!




「あのー」


 がしょんと、ペロンペロンが挙手をした。


「結局、人間さんはわたしと寝て頂けるんですか?」

「寝ない」

「な、何故聖人様が答えてくださるのか!」

「寝ない」

「何故繰り返されたのか!」


 ペロンペロンの中で、私が誰でも構わず友達になる人だと認識されたことも、友達になったら誰でも構わず一緒に寝る認定されたのは大変遺憾である。

 更に、三度繰り返された私に対する問いに、何故かしっかりきっちりアラインが返答したのは大変疑問だった。けど、未だに腕から下ろしてもらえない遺憾の意のほうが重要だった私は、一所懸命アラインの頬っぺたを押して抗議した。

 私はいい加減、荷物から昇格したいのだ。人力歩行を再開させたい旨を必死に伝える。


「もう泣かないから、おーろーしーてー!」

「……お前、そんなにこれと寝たいのか」

「ひどい誤解だっ!」

「え!? 寝てくださるんですか!?」

「なんでそんな自分の欲望に忠実なんですか!」

「他人の欲望に忠実でもそれはそれで怖いじゃないですか!」

「それもそうですね! でもペロンペロンはちょっと黙っててくれますかっ!」

「お前、そんなに泣きたいのか?」

「ねえ私の説明が悪いの!? それか言い方!? それとも私の頭が悪いのかな!?」


 助けてお父さん! アラインと会話がかみ合わない! それどころか、言葉を交わせば交わすほど泥沼に陥っていく気がする!

 アラインは至極真面目に疑問点を上げているだけだし、私は至極真剣にそれに対して答えているのに、全くかみ合わないし通じ合わないこの不思議。





 結局、同じ問答を何度か繰り返した私が出した結論が


「全部後回しにして、トロイを探しに行こう」


 だったのは、致し方ないことだと思うのだ。



 そうして私は、ペロンペロンを横に従えたアラインに抱えられたまま、お化け屋敷に華麗なる一歩を踏み出したのである。

 これでも私にできる精一杯の努力の結果なので、歩いてないよっていう至極真っ当な突っ込みはいれないでほしい。


 何だこれって、たぶん私が一番思ってる。









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