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オオカミ使いの赤ずきん  作者: 白金 陽介
第一部 動き出す童話
17/46

#17

予約投稿です

 陽歌たちが肉を焼いていると目を回していたユーリカが目を覚まし、

三人と一匹はファッツラビットの肉を食べ終えるとクルソアルに向けて出発した。


「おそらくあの羊の使い魔の情報だと二人はクルソアルにいると思う」

「そうですわね。無事だといいのですけど……」

「あの二人なら大丈夫よ! 有馬は強いもの!」

「あくまで有馬さんだけが強いのですわね……」


 陽歌たちは歩き続ける。村からクルソアルまでは丁度アリードと村までの距離程度のため、

休憩をはさむことなく歩く。ほどなくして陽歌たち一行はクルソアルについた。


「クルソアルはアリードとはまた違った賑わいですわね」

「そうだね。確かクルソアルは毎日お祭り騒ぎなバザーがやってるって話」

「私、クルソアルは明るくて好きでよく来てたわ!」


 街の中は毎日バザーのおかげで様々な人種などがいるのか、

フェンリルも怖がられることもなく一緒に街に入ることができた。

しばらく歩いてマッチ売りの少女(テラ)の家に向かって、

着いた時にはアリスがいなくなっていた。バザーの売り物の何かに興味をそそられたのだろう。


「アリスさんがいなくなってますけど……」

「まぁアリスは元々好奇心が服を着て魔剣を振り回してるような子だからね」

「ずいぶんと物騒な表現じゃないか陽歌」


 曲がり角から一人の少女が現れる。少女にしてはたくましい声だ。


「お、久しぶりだねテラ。相変わらず大道芸で稼いでるの?」


 真っ赤な髪の毛を三つ編みを二束後ろの下げている少女。

彼女こそが『マッチ売りの少女テラ』である。


「アタシは火を出すくらいしか取り柄がないからね。それで食っていくしかないさ」

「火が使えるならせめてファッツラビットの肉くらい焼いて食べようよ」

「はっはっは。アリスから聞いたのか」

「生肉は当たるとやばいんだから。はい、これ。アリード産のコーヒー豆」


 陽歌はテラにコーヒー豆を渡す。


「おぉコーヒーなんて久しぶりだ! サンキュー!」

「だろうと思ったよ。ところで聞きたいことがあるんだけど」

「ん? なんだ?」

「この街に霧切と有馬がいるって聞いたんだけどテラは何か知ってる?」

「あぁ、知ってるとも。なんたってアタシの家に居候してるんだからな」


 テラに案内されてバザーから少し離れた大きな建物――マンションというらしい建物の一室。

そこがテラの暮らしている家だという。


「流石物流や技術の交流の重要拠点のクルソアルだね。マンションなんて始めてみたよ」

「この街は人が暮らすにはちょっと狭いからな。こういうのがお誂え向き(おあつらえむき)なんだ」

「横がダメなら縦にって考え方ね! やっぱりクルソアルは面白いわ!」

「ひゃあああアリスさん!? いつの間に!?」


 アリス含む三人は驚く。ユーリカの叫び声に、だが。

フェンリルは何やら魚介の焼き物をアリスにもらったのか、モグモグ食べている。


「アリスは神出鬼没(しんしゅつきぼつ)だから。慣れてユッキー」

「フェンリルはすぐ気づいたわよ?」

「それはフェンリルさんの嗅覚がいいからですわっ!」

「おいお前らー。アタシ以外の入居者もいるんだからあんま騒ぐなよ」


 テラが鍵を開けて扉を開く。そこには――――










半裸の男性が半裸の少年を抱きかかえる姿があった。

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