ブラックスターズ対イレギュラー
◆◆◆
「んふふ…食いしん坊達も律儀と言うか、何と言うか…」
次に戦う…かもしれないチームの戦いを見ない手は無い。
転ばぬ先の杖、イシヅカを叩いて進む…ん?
ちょっと、違うかな? まあ…良いかねぇ。
「リングは…へぇ! 無重力空間かい!? これは、一波乱ありそうだねぇ!」
戦いの舞台は、無重力空間。
リング内なら縦横無尽に移動出来る、特殊フィールドだよ。
その分、とても難しいセッティングをゴーレム達に施さないと戦いにすら…ならない。
無重力なので、移動に徒歩が使えないからだよ。
一応、ふわふわと大きな隕石が、浮いてはいるけどね…
「おや? お嬢ちゃんだけかい?」
確か…ガイナさんだったかな? …が、僕に話しかけて来た。
大会参加選手は、リング近くの特別席で試合を見る事が許されている。
これで、次の対戦相手の対策を練るって訳さ。
「うん、食いしん坊達は『約束』を守って控室で待ってるよ。
僕は勝ちたいから…見に来てるけどね?」
「あっははは! いや、はや…そんな事されたら、勝たないと申し訳が立たないよ!?」
バシバシと、ガイナさんの背を叩く長身の女性。
確かオルテナさん…だった筈。
「ま…やるだけ、やろうか? なんせ、相手チームは『イレギュラー』だ。
前大会の雪辱を果たさないとね!」
前大会の準決勝で、圧倒的な力に完敗した彼女らチーム。
そのトラウマ的なチームに、また戦いを挑む…
これが、ベテランの意地っていう所かねぇ?
…僕じゃ無理、心が折れると思うよ。
「一応…僕も、お姉さん達を応援してるよ?」
何か、驚く様な事を言ったかな?
ブラックスターズの表情は、一瞬固まって…次の瞬間。
「あっははははははははははっ!!」
と、大爆笑した。
「次に、戦うかもしれない相手を、応援するとか…あの、お嬢ちゃんと言い」
「本当に…お人好しが揃ってるね!」
「こりゃ…本当に負けられないよ!?」
僕に向かって、最高の笑顔を向けて…
「「「次に会う時は…リングの上で!!」」」
そう言い残して、試合に向かった。
「そうか、食いしん坊が残る。と、言う訳だねぇ…」
竹を割った様な性格の三人組。気持ちの良い人達だよ…
そして…反対側に居る、チーム『イレギュラー』。
今大会でも、最強チームの一角に数えられている難敵だ。
特に「ナイン」はあのエスザクを、上回る実力を持っている…と噂されてるからねぇ。
「…前回でも、圧倒的な力だったけど。
今回は、色々と対策をされているだろうから…如何なるかねぇ?」
強者には付き物の『対策』を、如何克服するか…それもゴーレムマスターの腕の見せ所。
ベテランと言われている『ブラックスターズ』は、特に『対策』が上手い。
故に、大会の常連となっているのだが…優勝は七回中、僅か一回のみ。
けどそれは…チーム『アークジオ』を決勝で破っての優勝。
「運が無いのかねぇ? でも、エスザクを下しての優勝だからねぇ…
今回も、相手が悪い…さて如何なる事やら?」
そろそろ、試合が始める。
それぞれのチーム選手が、自分のゴーレム達をリングに向かわせる。
『さて…今回のフィールドは無重力空間だ! この、フィールドは難しいぞぉ!?
なんせ上下左右関係無し! あらゆる方向から攻撃が飛んで来る!
さぁ! どう戦う!? 両チーム!!』
『無重力空間ですが…移動も制限がかかる、難フィールドです。
マスターの腕の見せ所でもあります。
各ゴーレムの、セッティングに注目したいですね?』
無重力空間に浮く、六体のゴーレム達。
見た目は…殆ど変わって無いゴーレムばかり。
コーターが、狙撃銃を持ってる以外は…外見上、変更無しかねぇ?
『それでは…ゴーレムファイトォ! レディィィィィ…ゴォォォォッ!!』
相変わらず、元気なお姉さんだよ…元気の塊の様な人だねぇ。
兎に角、試合は始まった! さて…大事な初手だよ! 如何動くか…?
『さあ! 試合が始まりました! 各チーム如何動くか…!?
おっとぉ!? 各チームバラバラに分かれたぁ!? これは珍しいぞぉっ!?』
『本当に珍しいですね、特に「ブラックスターズ」は三位一体の連携攻撃…
「シューティングストリーム」を、攻撃の起点にしています…
今回はそれを、敢えて使用しないのでしょうか? …目が離せませんね』
『ブラックスターズ』の代名詞ともいえる「シューティングストリーム」を使わないだって!?
薄暗い無重力空間で、バラバラに分かれて行った『ブラックスターズ』のゴーレム達。
いったい、如何言う作戦なのかねぇ?
「よぉし! 作戦通りに行くんだよ! リック!!」
「落ち着いて行きな! ドゥ!」
「アンタなら出来るさ…ムゥ!」
それぞれ、浮いている隕石の陰に入って…出て来ない? …消えた!?
『ああ~っと!? 「ブラックスターズ」のゴーレム達が消えたぁぁぁぁぁっ!?
これは、如何言う事でしょうか!? まさかのリングアウトかっ!?』
『そんな訳無いでしょう? 何かの手を使って…姿を隠しているのでしょう。
いったいどうやってるのでしょうか?』
流石に、これには『イレギュラー』の選手達も慌てるよねぇ?
僕も…これは予想外だった。
「な、何よそれ!? コーター! 探して!
貴方のレーダーなら、見つけれるでしょう!?」
カスミさん…で、あってるかな?
から指示を受けたコーターが、辺りを探し始めるが…
ボンッ! と爆発音がした!
コーターの後ろに、何時の間にかリックが…あれ? ドゥかな?
いやいや…ムゥかもしれない。 …あぁ、もう! 姿が一緒だと分からないねぇ!?
「コ…コーター! 回避!!」
けれども、回避した先には…もう一体のブラックスターズのゴーレムが待ち構えていた。
手に持った大筒で、コーターを撃破した!
「コーター!!」
「先ずは一体! その調子だよ!」
間髪入れずに再び、隕石に向かい…姿を消す黒きゴーレム達。
これは、もしかしたら…
『開始早々、コーターがKOされてしまったぁぁぁぁぁっ!!
これは苦しい展開になったぞ! チーム「イレギュラー」!!』
『連携に隙がありませんね…まさか、これ程の策を持って来るとは。
姿を消す方法を見抜かないと、一方的に攻撃されますよ!?』
其処に、リング中央に陣取ったファンタデュが、虹色の魔法弾を出鱈目に放って来た。
「俺は面倒が嫌いなんだ…消えろっ!」
相変わらず、滅茶苦茶な娘だよ!?
フィールドを埋め尽す程の、おびただしい魔法弾。
確かに、これなら姿を隠して様と関係ないけど…味方にも当たるよ!?
そんな事…お構いなし! って、言った感じに打ちまくるファンタデュ。
けど、遂にその中の一発がブラックスターズのゴーレムに当たった。
如何やら何か布の様な物、を纏っていた様だけど…?
「ち…カムフラージュマントが破けたか! リック! 次の作戦だ!」
市販品じゃ、無さそうだねぇ…自作のオプションパーツか。
効果は…光魔法カムフラージュかねぇ? とんでもない魔法道具作ったねぇ?
『おおっとぉ!? 遂に「ブラックスターズ」捉えられたかっ!?
ファンタデュの一撃がリックにヒットしたぁっ!!』
『成程…一見、無謀な攻撃に見えますが、悪手ではありませんね。
ナインの回避能力を、考慮した上での攻撃でしょう。
これで、ナインも攻撃に加わる事が可能です。
しかし…流石は、魔法道具製作のスペシャリスト達ですね?』
姿を隠せなくなったリックに、ナインが迫る。
「その力…大き過ぎる。 …修正が必要だ」
ナインが、手に持った大型の銃を放つ。
カァオッ! カァオッ!
恐ろしい速度の光線が、リックを襲った!
「あ…あれは!? カナザワッ!? なんて物を使ってるの!?」
僕は、思わず口に出してしまった。
その気持ちは、会場の皆も一緒だったようだ。
『な…何とっ!! ナインの持っている銃はカナザワだぁぁぁぁぁっ!』
『まさか、あの銃を使えるゴーレムが居るとは…
当り所が悪ければ、一撃KOもありますよ!?』
…カナザワ。
最強の銃として存在しているが…誰も扱えない事で有名だった。
理由は…使用に耐えられる、魔力を持つゴーレムが存在しない事。
しかし、今…目の前に、使用者が存在していた。
「ビビんじゃないよ!? リック! 当たらなければ…どって事無いんだからねっ!?」
紙一重で回避するリック。
凄い! あの大柄な体で、スイスイと無重力空間を飛んでいる。
そうか、腰と足元に推進装置を付けてるんだねっ!
これは参考になるよ!
お返しとばかりに大筒で、反撃するリック。
「無駄だ…」
ナインの持つ、光る剣…「レーザーブレード」に切り裂かれる弾丸。
…強すぎる! 何なんだろうねぇ、あのゴーレムは!?
あれでSSとかって、何かの冗談だよねぇ?
暫く、一騎打ちが展開されていたが…終始押され気味のリック。
ダメージも、どんどん蓄積されていっている。
これは、時間の問題だねぇ…
『あぁぁぁぁぁっと!? ファンタデュ! KOだぁぁぁぁぁっ!!』
え!? 何時の間に!!
…そうか! リックが粘って居たのって…囮をしていたんだ!!
「ファンタデュがKOされる…これは面倒な事になった…ぐすん」
…あの娘、負ける度にボロが出るねぇ。
役作りしなくても、もう良いんじゃないのかい?
えぐえぐと、泣きじゃくるスティ。
『これは、予想外の展開ですね! ブラックスターズ、優勢ですよ!』
唯…問題はナインだろうねぇ?
一体で、全滅させるだけの力があるんだから。
「よもや此処までとは、ナイン…リミッター解除。 敵対勢力を…殲滅しろ」
ナインの目が、赤く輝く。 こ…これって!?
「リ…リミッター解除!? SSが能力三倍って…!!」
ナインが、一瞬で変形した! …飛行形態! あんな能力まで!?
「正念場だよ! リック! ドゥ! ムゥ! …去年の借りを、返してやりな!!」
残った二体のゴーレムも、カムフラージュマントを投げ捨てる。
「さぁ! 見せてやんな! 『シューティングストリーム』だ!!」
此処で使うんだねぇ?
でも、ナインは…ナインは、恐ろしい速度で飛んで来た。
「は…早い! 早過ぎる!?」
リックに体当たりするナイン。
ダメージが、溜まっていたリックは吹っ飛ばされた。
「怯むな! ドゥ! 攻撃!!」
ナッシュさんが、ドゥに激を入れる。
立ち直ったドゥは、背中に付けてあった剣を抜きナインに切りかかった。
ゴウンッ!!
と、言う爆音がした後には、そこにナインは居なかった。
何と言う加速力!? あんなのに、攻撃を当てる事が出来るのかねぇ!?
「ムゥ! リックを回収! 急いで!!」
吹っ飛ばされたリックを、回収しようと動くムゥにナインの攻撃が降り注ぐ!
余りの速さで、残像が残って見える。
「ば…化け物め! ドゥ! 援護! 何でも良いから、撃ちまくって!」
だが、撃った場所には…既にナインは居ない。
駄目だよ、勝てるイメージが全く見えてこない…これ程とはねぇ?
ブラックスターズも健闘したけど…これまでかな?
『圧倒的戦闘能力を見せつけるナイン!!
既に「ブラックスターズ」のゴーレム達のダメージは、深刻な所まで来ているぞっ!?』
『こんな力を隠していたとは…やはり今大会最強と、言われるだけは有りますね?
リミッター解除に、変形…カナザワ。兎に角隙がありません』
再び、人型形態に戻るナイン。
飛行形態では、カナザワが撃てないのかねぇ?
「引導を渡してやれ…ナイン」
ナインがリックに標準を付ける。そして…発射。
放たれた光線は、リックに吸い込まれる様に当たり…
リックはバラバラに、爆発四散した。
「リィィィィィィィィィック!!」
ガイナさんの絶叫。無理も無いねぇ…
僕も同じ立場なら…
「このチャンスを…逃がすんじゃないよっ!!」
…え!?
何時の間にか、ナインを背後から羽交い絞めにしていたのは…リック!?
直ぐ傍にはカムフラージュマントが…
じゃぁ…あの爆発したのって?
『ああ~っと!? いつの間にかナインが羽交い絞めにされているぅぅぅぅっ!?
しかも…しているのは、破壊された筈のリックだぁぁぁぁぁぁっ!?』
『これは…そうか! 携帯ダミードールです! 設置後、カムフラージュマントで
姿を消し、気付かれない様に、背後に回ったと言う訳です!』
良く見ると…爆発した物は、風船で作られた人形だった。
収納に優れているが、囮を使う人は…滅多に居ないので忘れていたよ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」と、どよめきが会場に巻き起こる。
これ程、トリッキーな事がホビーゴーレム達に出来るなんて…
僕は、胸が高まるのを抑える事が出来なかった。
「切り札は最後まで、取って置く物さ…ダミードール! 身代わり人形さねっ!!」
「設置後、投げ捨てたカムフラージュマントで姿を隠す…単純だろう?」
「何だと…ナイン、振り払え」
ナインは、もがくが…ガッチリと、抑え込まれているので振り払えないでいる。
ドゥとムゥが、一斉攻撃に出る。
流石のナインもコレには耐えられないだろう。
『これは決まったかぁぁぁぁぁぁっ!? …いや! ナイン健在です!
何と言う耐久力! ナインは不死身なのかぁぁぁぁぁっ!?』
『ダメージは受けてますね…リミッター解除で、耐久力が桁外れになっているのでしょう。
両チーム、ここが勝負所ですよ?』
双方のゴーレム達も、既に限界が近いねぇ。
ナインも、今の攻撃で相当のダメージを負った。
ブラックスターズも、蓄積ダメージが相当な物になってる筈…
これが最後の攻撃になる…ねぇ。
口には出さない、それ程までに試合の緊迫感は…最高に高まっていたから。
そして…遂に最後の攻撃が始まる。
「シューティングストリームッ!!!」
「ナイン! お前の力を…俺に見せろっ!!」
まったく、感情が無かったレイヴィの顔に…熱い物が宿っている。
なんだ、彼もやっぱり…役作りしてたんだねぇ?
んふふ…そっちの方があってるよ?
レイヴィの、内に秘めた熱い感情を受け止めたナインが…最後の力を振り絞る。
ブラックスターズのゴーレム達も…同じく最後の力を振り絞っている。
「お前達…約束を果たすんだろうっ!?」
「行ってきな! 胸張って…あの子達に会うんだっ!」
「お前達なら…出来るさっ!!」
カァオッ! カァオッ! カァオッ!
ナインが、カナザワを撃ちまくる。
まだ…それだけの魔力が!?
その内の一発がドゥに当たり…肩のアーマーが砕け散る。
だけど…ドゥは怯まなかった。
「魅せてやんな!! これが…シューティングストリームだっ!!」
取り囲む様にナインの周りを高速で動くリック達。
そして…
「ファイアァァァァァァァァッ!!!」
怒涛の射撃攻撃が始まった。
手に持った大筒で、ナインを集中攻撃するリック達。
それをブレードで切り裂いたり、避けたりして応戦するナイン。
けど…遂に、ナインもかわせず被弾し始める。
流石に無理があるねぇ。
「ナイン! 頑張れ! まだ…終わってないぞ!!」
レイヴィの絶叫に近い励まし。
ナインの目の光は…未だ消えていなかった。
再び、カナザワを発射するナイン。
それは、リックの足に当たり…足の推進装置が破壊される。
「根性見せなぁっ! たかが…片方やられただけだよっ!!
リック! アンタは…まだ飛べるよっ!!」
ガイナさんの声に、再び飛び続けるリック。
「フィニッシュだ! 突っ込みなぁっ!!」
『縦一列になってナインに突っ込むリック、ドゥ、ムゥ!
迎え撃つ…満身創痍のナイン! ブレードを構え微動だにしない!
果たしてナイン! 最後の攻撃を防げるかぁぁぁぁぁぁっ!?』
ナインに襲いかかる、ブラックスターズのゴーレム達。
「ナイン…!!」
レイヴィには…分かってしまった様だねぇ? 最早、ナインに動ける力が無い事に…
それでも、闘志を失わず…主の為に、敵に立ち向かうナイン。
彼を、突き動かすのは…いったい何なのだろうねぇ?
背中の剣を抜き、すれ違いざま…連続でナインに切りつけるブラックスターズ。
その名の通り…黒い星が流れて行った後に、敵が立っている事は無かった。
『決まったぁぁぁぁぁぁぁっ!! 「シューティングストリーム」ッ!!!
未だ健在!! さぁ! ナイン、立ち上がれるかっ!!?』
無重力空間に…力無く浮くナイン。
手放してしまった、カナザワに力無く手が伸びる…が、そこで動きが止まった。
リミッター解除で、限界を超えた代償が、やって来たんだね…
「…ナイン!!」
最後の最後まで…諦めなかった、ナインの姿に涙を流すレイヴィ。
『ウィナァァァァァァァァッ! ブラックスターズ!!』
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」と、大歓声が巻き起こる。
…僕達の時より、歓声が大きい。
食いしん坊が聞いたら、プンプンと怒るだろうねぇ?
『これは、予想を覆す大どんでん返しだぁぁぁぁぁぁ!?
前大会優勝チームが、まさかの初戦敗退!
そして「ブラックスターズ」準決勝進出だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ゴーレムファイターさんが身を乗り出して…司会席から落っこちた。
興奮し過ぎだよ…
『これは近年稀に見る、好勝負でしたね。
結果を見ればブラックスターズ対ナインと言う構図でしたが…
其処までに持ち込んだ、ブラックスターズの策が光った内容でしたね』
そう、そこに至るまでの見事な作戦。
やっぱり…力だけじゃ試合には勝てないんだね。この試合を見れて良かった。
んふふ…バッチリ録画してるから、後でまた見ようかな?
お互いのチームが健闘を称えあっている。
ふぅ…ちょっと興奮し過ぎたかな? 僕も皆の所に帰ろう…
◆◆◆
「…と言う訳さ」
「おいぃぃぃぃぃぃ…大会後に、録画見せてください!
何でもしますから! お願いします! せんせんしゃる!!」
何だ!? そのワクが、ムネムネする戦いはっ!?
超見たかった! でも約束で行けない! きびちいっ!!(痙攣)
「うおぉぉぉ…俺も行けばよかった」
「にゃーん」
ライオット!? う…裏切り者っ! そんな事したら…尻尾ギュッ! の刑に処すぞ!?
「兎に角…素晴らしい試合を見れて良かったよ! くうぃ~ひっひっひ!!」
「むきぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
俺は我慢ならず、プルルに飛びついた。みょいん!
控室に笑いが、こだまする。
そうか…ガイナお姉さん達は約束を守ったか!
ならば俺達も、それに報いる様に全力で戦わないとな!
「ムセル! 次の試合は強敵が相手だぞ!!
でも…勝つのは俺達だ! お前達の力を見せてやれ!!」
ムセルは、任せろ! と、言わんばかりに手を天に突き上げた。
気力が充実している証拠だな!
…次の試合が、待ち遠しくなっている俺であった。