秘密にしておいてねっ!
リングから、下りて来たムセル達を見つける。
ムセル達も俺達を確認した様で、俺達に向けてガッツポーズを取っている。
すご~く、嬉しそうだった!
「おぉ…すっごい、男前だぞ! ムセル! イシヅカ! ツツオウ! …よく頑張った!」
先ずは三人に対して、平等に褒め…ムセルを抱っこする。
そして…
「よ~し、よしよしよしよしよしよしよし!!」
めっちゃ、褒めまくった。
頭撫でまくりの、頬ずりしまくりである。
ムセルの頭は曲線なので、撫でやすくて良い。
横のアンテナ部分は、気を付けないと駄目だが…
「シシオウ…いきなり寝た時は、如何なるかと思ったぞ?」
「にゃ~ん」
ライオットも、ツツオウを手の平に乗せて、指で頭を撫でて上げていた。
嬉しそうに、目を細めるツツオウ。
頭に生えた草も、嬉しそうにピコピコ揺れていた。
こうして見ると…やっぱり、ツツオウちっさいな!?
これは最早『手乗りにゃんこ』だな…(10cm)
「んふふ…良くやったね、イシヅカ。この調子で、次の試合も頼むよ?」
プルルの言葉に、しっかりと頷くイシヅカ。
…その恰好に、違和感が無くなっている事に気付いた。
その赤褌姿…一時は、如何なるかと思ったが問題無かったぜ!
…と言うか、その銅鑼何処から出したんだ?
そんな疑問を抱いて、イシヅカを見ていると…
ズボッ!
「あえぇぇぇぇぇぇぇっ!? 赤褌に…しまったぁぁぁぁっ!?」
その時、信じられない光景を目のあたりにした。
手に持った銅鑼を、履いている赤褌に突っ込んだのである。
普通そんな事しようものなら、褌から銅鑼がはみ出て情けない格好になるのだが…
イシヅカの赤褌から、銅鑼がはみ出る事は無かった。
「ど…如何言う事だ?」
俺はイシヅカの、赤褌を引っ張って中を覗いたが…何も無かった。
イシヅカが「いやんいやん」と、体をくねらせている。
「エル…イシヅカが、嫌がってるぞ?」
「あ…あぁ、ごめんな? イシヅカ」
俺はイシヅカの赤褌を、きちんと締めてあげた。
…しかし、アレはいったい?
「んふふ…たぶん、フリースペースが使えるんだろうね」
コクコクと、頷くイシヅカ。
あー!? そうか! それなら、はみ出る事が無いよな!
…これは盲点だった!
でも、何故に赤褌にしまったんだ…イシヅカ。
そのまま、フリースペースを出せば良いのに…
これでは『四次元赤褌』ではないか!?(白目)
「凄いなぁ、イシヅカ」
「にゃーん」
ライオットとツツオウが感心している。
プルルもイシヅカの、意外なスキルを発見してご満悦だった。
「でも…ホビーゴーレムって、日常魔法使えるのか?」
俺の疑問にプルルは…
「使え無いねぇ…如何して、使える様になったのかねぇ?」
ツンツンとイシヅカの頭を、指でつつくプルル。
イシヅカは、されるがままだ。
構って貰えて、嬉しいのだろう…
「ん~、案外…エルの祝福で、おかしくなったのかもな?」
ライオットが、とんでもない事を言った。
おもぇ…俺が久々に、聖女らしい事をした結果をおかしいとか…
ゆ~る~さ~ん~ぞ~!
「ライオット…後で屋上な?」
「屋上で何するんだよ?」と聞いて来たので「爆死してもらう」と返してやる。
「申し訳ございませんでした」
ケツプリ土下座で、俺に謝るライオット。
そんなに嫌か…俺のファイアーボール。
…これは使えるな!(暗黒微笑)
腹を抱えて笑うプルル。
いや、本当に良く笑う様になったなプルル。
俺も釣られて笑った。
「お見事でした、『モモガーディアンズ』の皆さん」
「えっと…ミカエルだっけ?」
うろ覚えだったが…あってるかな?
顔と名前が、一致しないぜ…
「はい!」と、超笑顔で返事する。
すっげー良い笑顔! そんなに嬉しいのか…?
「まさか…聖女様に、自分の名を覚えて頂くとは! …感激の極みです!!」
「はぇ?」
あるぇ? 俺「自分が聖女です」とか言ったけか?
…言って無い筈。うん、言って無いよ? 本当だよ!?
よし…ココは俺の、迫真の演技で誤魔化そう。
「お、おおおおお俺が、何時…聖女なんですかねぇ?」
「エル…どもり過ぎだ」
「あれで、バレて無いって思ってたのかい? 食いしん坊?」
「ほら」と、指さした先には…『ホーリー』のゴーレム達が跪いていた。
また君達か…慰めて欲しいのかね?
よしよし、と頭を撫でて上げる。
…また、ほんのりと光っているなぁ。
ん…んん~?
「…まさか、これか!?」
「「それだよ!」」
ばっ! と、ライオットとプルルに振り向く俺。
其処には、苦笑した二人の姿が…
おぅ…しっと! まさかこんな事で、バレてしまうとは思わなんだ!
だが、バレちまったもんは仕方無ぇ!
「ごほん! ミカエルきゅん!」…かんだ。
「は、はい!」
ミカエルは気にして無い様子だった。
良し…このまま、ゴリ押そう。
「私が、聖女だと言う事は…秘密にしておいてねっ!」
人差し指をピンと立てて…慣れない女言葉で、釘を刺して置く。
…俺、きめぇ。そして、恥ずかしい。
「「「はいっ!」」」
びしぃっ! と、姿勢を正し返事をするチーム『ホーリー』の三人。
…効果は抜群だった!
これで俺が、訳有りっぽく見える事だろう。
くくく…俺って策士ね! きもい女言葉を、使った甲斐があったってもんよ!
「ミカエル達のゴーレムも、強かったなぁ…
良い戦いだった! ナイスふぁいとっ!!」
「ありがとうございます! アーク達も喜んでおります」
「良かったな、エイン…聖女様にお褒め頂いたぞ?」
「ジュエルも、頑張ったもんな~?」
喜ぶミカエル達とゴーレム。
うむ! 良きかな良きかな!
俺は話題を、試合の内容に切り替えた。
ライオットとプルルも、会話に入って来る。
しばしの間…互いの健闘を褒め称え合った。
「エルちゃーん!」
振り向くと、リンダ達がこちらに向かって来ていた。
「では、僕達はこれで…聖女様に御武運が有ります様に」
「うん…またな!」
如何やら、気を遣わせてしまった様だ。
立ち去るミカエル達に、手を振って見送る。
「さっきのカッコいい人、相手チームの?」
「あぁ、ミカエルだ。中々、話の分かる良い奴だ」
じ~…と、去って行くミカエルを見つめるリンダ。
「…要注意人物ね」
俺は、ボソッと言ったリンダの言葉を聞いてしまった。
だって、聞こえちゃうんだよ…このお耳は。
高性能過ぎぃ! そして、リンダこえぇぇぇぇっ!?
見ると言うよりは、睨み付けると言った感じの…
デンジャーフェイスなリンダを他所に、ダナン達が声をかけて来た。
「よぉう! やったなっ!! 一回戦突破おめでとう!」
「おうっ! ありがとう!」
「わはは!」と、笑いながら腕を組み合う俺とダナン。
「てぇしたもんだなぁ? ホビーゴーレムってもんは?
こんなに、ちっこいのに…良く出来てるぜ?」
ガンズロックがムセルを持って、ジックリと観察していた。
ガンズロックは、ゴーレムマスターズやってないのかな?
「ガンちゃんは、ホビーゴーレム持って無いのか?」
「あぁ…持ってねぇな。興味はあったが…鍛冶の訓練で忙しくてな」
「そ~なのか~」と、残念がる俺。
ガンズロックがゴーレムマスターズやったら…どえらい物が出来そうだったのになぁ。
…残念!
「エル…おめでとう。試合…見てたよ」
「ありがとな! ヒーちゃん!!」
人目も憚らないで、抱擁し合う俺とヒュリティア。
おぉう、この肌の感触…いいぞ~これ!(恍惚)
さて…まだまだ、抱擁し合いたいが此処では邪魔になるな!
続きは、選手控室にて行うのだ!
どやどやと、皆を引き連れて控室に向かう俺達であった。
野良ビースト達も付いて来たので、とんでもない集団になったのは秘密だ!
誤字 一目憚らないで を
人目も憚らないで に訂正。