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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
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イシヅカ

「アーク! いけるな!?」


ミカエルがアークに指示を出す!


「エイン! 攻撃用意…!」


メルトだったけ?

が、エインに攻撃の準備をさせる。


「ジュエル~? アーク達に合わせて~」


サンフォが怠そうに、ジュエルに指示を出す。

コイツだけ、妙に熱が無いなぁ?


三人に指示を受けた『ホーリー』のゴーレム達。

空を旋回しながら、タイミングを伺っている。


くそぅ…まさか雪山などというリングが来ようとは…

このエルティナの目を持ってしても、見抜けなんだ…!


すまない! ムセル…不甲斐無い俺を許せ!

でもムセルは、文句一つ言わず…自分の出来る事をしようとしていた。

すなわち…囮である。


その時、ムセルが雪に足を取られた。

積みまくった武器の重量が、仇となったか!?


『あぁぁぁぁぁぁと!? ムセル! 雪に足を取られたかぁっ!?』


ゴーレムファイターの暑苦しい実況。

観戦してる分には、良いのだが…戦っている時は鬱陶しい。(失礼)


「今だ! アーク! 聖光弾連射!!」


「続け! エイン!!」


「ジュエル~適当にばら撒いて~」


様々な色の綺麗な聖光弾が、ムセルに向かって放たれた。


わぁお、綺麗!

…じゃ無くて!! 危ないぃぃぃっ! ムセル避け…れないかっ!?


今、ムセルは雪に足を取られ移動が儘ならない!

…絶体絶命だ!!


『ここで、チーム『ホーリー』ラッシュをかけて来たぁぁぁぁぁっ!?

 ムセルは動けない! 絶体絶命だぞぉぉぉぉっ!!?』


「ムセルぅ!!」


思わず…ムセルの名を叫ぶ。…だが、ムセルは冷静だった。

自分の致命傷になる弾のみを、ヘビィマシガンで撃ち落としている。

それ以外は所々、被弾しているが…問題無さそうだった。


『ムセルは冷静ですね…致命傷になる弾以外は

 被弾覚悟でダメージを最小限に抑えましたよ?

 これは、やりにくい相手ですね?』


ザッキー・タケヤマの的確な解説。

彼の解説は、戦いのヒントになるかもしれない…良く聞いておこう。


「流石は…それでこそ、全力で戦えると言う物! アーク!」


アークが、腰に差してあった剣を抜いた。

エインとジュエルも、同じく剣を抜く。


「良し…アーク! 今こそ…」


ミカエルがアークに、指示を出そうとした時…!


「にゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


ツツオウの、特大の鳴き声が響いた!


…何事だ!?


雪山の天辺に辿り着いた、黄色い防寒具を着こんだツツオウは…

ドヤ顔でアーク達を見据え、丸くなって…寝た。


「………」


『………』


「ツツオウぇ」


前代未聞の出来事だろう。

グランドゴーレムマスターズ本戦で、まさかの睡眠!!

誰がこの様な行動を予測出来ようか!?


「シシオウ!?」


「ライオット…ツツオウは、良くやったよ…?」


「防寒具…暖かかったんだな?」


会場が、し~ん…となる。


ツツオウ…お前が寝るだけで、会場が静まり返ったぞ!?

ある意味、凄い奴だ!!


『ツ…ツツオウ! 寝てしまいましたぁぁぁぁぁぁっ!?

 この行動は果たして…!!?』


『分かりませんね…相手チームの動揺を誘っているのか?

 或は、本当に眠たかったのか…?』


…眠かっただけですね! ツツオウは本当にフリーダムだな!(呆れ)


ゴーレムファイターとザッキー・タケヤマが驚いている。


相当の、珍行動みたいだぞ!?

燦々と降り注ぐ、お日様の光を浴びて気持ち良さげに寝るツツオウ。

…こりゃ、だみだぁ!!


…だが! これで十分、時間は稼げた!

ムセルは雪から抜け出している!


「…!? しまった! アーク! 突撃だ!!」


『おぉぉぉぉぉっと!? チーム『ホーリー』のゴーレム達が、一斉にムセルに襲いかかる!

 ムセル! これを凌げるかっ!!?』


ムセルは身に着けている武器を、一斉に発射した!

最早、移動武器庫と化したムセルから、凄まじい量の弾が発射される!


『こ…これは、凄まじい! とても一体のゴーレムから放たれる量の弾じゃ無いぞっ!?』


『成程「モモガーディアンズ」はムセルを囮として、先行させていますね…

 未だ姿を現さない、イシヅカが不気味ですね』


おびただしい弾が、アーク達に襲いかかる!


…しかし!


当たった弾は、何か障壁の様な物で弾かれた!

なんじゃありゃぁぁぁぁぁっ!?


「分かっていた…とは言え、改めて凄いですね」


「うむ…流石は聖女の祝福」


「はは…これって反則に近いよね?」


…無傷だった。

あれ程の弾を、ほぼ…全て直撃したにも関わらず!!

これは、酷い! 聖女の祝福したの誰よ!? 出て来い!!


…あ、俺だ!


『な…なんとぉぉぉぉ!? あれ程の攻撃を受けて無傷のアーク達!

 いったい、如何なっているんだぁぁぁぁぁっ!?』


「弾が着弾する時に、障壁の様な物が見えましたが…

 それにしても、異常な防御力です! これは、ピンチですよ…ムセルは!?』


ひぃぃぃぃっ!? 俺のせいでムセルが絶体絶命だ!?

こうなれば…!!


「今行くぞ! ムセル!!」


「こらこら!? 何処に行く!」


ライオットに止められた。


「何処って…ムセルを助けに行くに、決まってるだろう!!」


「落ち着け…これはゴーレムマスターズだ。

 お前が割って入ったら、逆にムセルに嫌われるぞ?」


はぅん! そうだった!

うごごご…黙って見てろって言うのか!?

あぁ…いったい如何すれば!?


「んふふ…何時もの、食いしん坊らしくないねぇ?

 ゴーレムマスターの、やる事は何時でも一つ…自分のゴーレムを、信じてやる事さ」


「…!?」


そうだった! ムセルを信じてやらんで如何する!!

俺は、バシンと…実際には「ぺちっ」と、情けない音だが…

自分に気合をくれてやる。


「ムセル! 俺はお前を信じているぞ!!」


その言葉に…ありったけの思いを込めた!


ムセルが一丁の、ヘビィマシガン以外をパージする。

そして…ムセルの身体から、桃色のオーラが薄っすらと滲み出ていた。

こ…これは!?


やがて、そのオーラは足へと集まり…


『チーム『ホーリー』! 一斉に、ムセルに襲いかかった!

 ムセル…万事休すかぁぁぁぁっ!?』


ゴゥンッ!! と、音がし…ムセルは雪上を、ローラーダッシュしていた!

足元に桃色のオーラが集まっている。


『な…なんとぉぉぉぉぉっ!? 何の装備も無く、雪上をローラーダッシュしたぁっ!?』


「こ…これは!? スキルにこの様な仕様はありません!

 ムセルのこの力は…いったい!?』


…! この力は!? …桃先生の力だ!


今、ムセルの足元には桃力が充満している。

それが、雪上で不可能だったローラーダッシュを可能にしている!

流石、桃先生だぁ…


雪煙を、巻き起こしながら爆走するムセル!

手に持ったヘビィマシガンで、アーク達に攻撃を加える!

慌てふためくアーク達!


「落ち着け!? アーク!! たかが動きが少し早くなっただけだ!

 お前達には『聖女の加護』がある! 負ける筈が無いんだ!!」


その言葉に、たちまちに落ち着くアーク達。

再び、ムセルを攻撃しようとした時…


ジャーン! ジャーン!


けたたましい銅鑼の音!

鳴らしてるのは…げぇ!? イシヅカ!!


何処から出したのか? 手に持った銅鑼を鳴らし、登場したイシヅカ!

出現場所は、飛んでいるアーク達より上の位置。


『この謎の怪音を、放っていたのは…何とイシヅカだったぁっ!

 この行動は、いったい…!?』


『ここで、姿を現しましたね!? 「モモガーディアンズ」勝負を賭けてきましたよ!?』


イシヅカは、此処が正念場と判断したか!?

ならば、間違い無いだろう!

何時も…皆を導いて来たのはイシヅカだ!


「…何だ!? ランクCが出て来た所で…!?」


問題無い…と、言った風のミカエル。

だが! その油断は命取りだ!


イシヅカは手に持った投げ網を、アーク達に投げた!

それは、見事にアーク達…三体を絡め取り、行動不能にした!


「な…!? アーク! 直ぐに剣で…!」


再び、銅鑼を鳴らすイシヅカ!

力強く! 何度も! …何度も!!


「にゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


その音に、応える声…!

ツツオウだ! …起きたのか?


何時の間にか…ツツオウの傍には、仕掛けが施されていた!!

恐らく…イシヅカが設置した物だろうが、隙を作ったのはツツオウ!

そして、囮になったムセル! …何と言う、チームワーク!!


ツツオウは一本の杭を、引っこ抜いた!


少し雪が、下に流れて行く…

やがて…それは、大きな生物の様に大きくなって行った!

…『雪崩』である!!


『あぁ~っと!? ツツオウ! 雪崩を引き起こしたぁぁぁぁぁっ!!』


『こ…これは!? いや、これはイシヅカが弄した策でしょう。

 このチームで気を付けるのは…ムセルでは無く、イシヅカと言う事でしょうね!』


ザッキー・タケヤマに一筋の汗が流れる。

其処までのゴーレムなのかイシヅカ!?


「ア…アーク!?」


アーク達は動けず、雪崩に巻き込まれリングアウトした!

だが…ムセルは!?


「あ…!?」


ムセルは宙を飛んでいた!

正確には…釣られていた。…イシヅカの釣竿で!


完全勝利である! モモガーディアンズの!!


『ウィナァァァァァァァァッ!! モモガーディアンズッ!!』


審判のお姉さんが、モモガーディアンズの勝利を告げる!

…勝ったのだ! ムセル、イシヅカ、ツツオウが!!


『これは、劇的な勝利だぁぁぁぁぁぁっ!!

 地形の圧倒的不利を、知恵と勇気で補ったチームワーク!

 ゴーレムマスターズに、新たな新星が誕生したぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』


『特にイシヅカの作戦が、最大の武器の様ですね。

 能力的にはパッとしませんが…成程、能力が全てでは無い。

 改めて、奥の深さを思い知らされた試合でした』


やったぞ! 一回戦突破だ!!

俺は、全力で戦ったムセル達の元に駆けだした…!


いっぱい…いっぱい! 褒めてあげるんだ!!

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まさかてっぺんで寝ることによって油断を誘いながら杭を隠して作戦を最後まで隠し通すなんて無駄にIQがたけぇこの猫
[気になる点] 誤変換:なんて くそぅ…まさか雪山何てリングが来ようとは… 無変換:着込む 雪山の天辺に辿り着いた、黄色い防寒具を着こんだツツオウは…
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