GGM一回戦目開始!
◆◆◆
「ふふふ…相変わらず、あの子の周りには…笑顔が生まれるのぅ」
ワシは特別ルームで、グランドゴーレムマスターズ開会式を眺めていた。
眺める先には、ピンクのドレスを身に纏ったエルティナの姿。
花道を歩き…途中で転んで、笑いを誘い。
対戦を決める抽選会では、他チームの娘達に抱き付かれて
会場から、優しい笑いを誘う。
「はい、御爺様。エルは周りを、幸せにする天才です」
「うむ」と、頷くワシを見て…自分の事の様に喜ぶエドワード。
相当入れ込んでいる様じゃのぅ。
…いっそ、エドワードに嫁いでもらうかの?
ううむ、しかしなぁ…そうすると…
少し考え込んでいると、ワシを呼ぶ声が聞こえた。
「国王陛下、今年も存分にお楽しみください。
今年のチームも、皆…強者ぞろいですぞ!」
「うむ! ワシは毎年、これが楽しみでのぅ!
懸命に力を競うゴーレム達に、目頭が熱くなるんじゃよ!」
あぁ…昔を思い出す、幼かった日。
初めて、ホビーゴーレムを貰った日の事は…今も覚えている。
何時も一緒だった、嬉しい時も悲しい時も…
寿命で動かなくなるまで…何時も共にあった。
「国王陛下…」
ゴーレムギルドのギルドマスター、マウゼン・キュライムがワシを心配そうに見つめている。
む…いつの間にか、目に涙が浮かんでいるようだ。
「ふふ、年を取ると涙脆くなるのぅ…大事無い」
「はっ」
そう言うと「御用があればお申し付けください」と言って退室して行った。
ふむ…心配をかけてしまったか?
以前、合った時も痩せていたが…今は更にやせ細っていた。
「ちと、休ませた方が良いやもしれんの…」
ポツリと独り言のように、口から洩れた。
最近は良く…この様に喋ってしまう。
歳かもしれない…
「まぁ…実際、歳じゃしのぅ。
今は、グランドゴーレムマスターズを楽しむ事にしよう…」
そう言って、お気に入りの葡萄酒を飲み干した。
◆◆◆
「お? おかえりエル。如何だった、組み合わせの方は?」
「ただいま。シアのチームとは決勝で当たるな。
と言う訳で、決勝まで行くぞ!」
「んふふ…ドラマチックな展開だねぇ?
決勝で、因縁のライバルと決着…嫌いじゃ無いよぉ?」
チーム『ホーリー』と別れた後…
ライオットとプルルは、ムセル達と試合の準備に勤しんでいた。
尚、対戦フィールドは…試合十分前に分かる。
「さっき僕達が戦うフィールドが分かったよ。
『雪山』が対戦の場になるらしいね」
「雪山か…ローラーダッシュ使えないじゃないですか…やだー!」
「シシオウ…間違っても寝るなよ? 死ぬぞ?」
「ふにゃ?」
ううむ…『モモガーディアンズ』には、不利なフィールドの様だ。
ムセルは足を潰され…ツツオウは、寝る危険性が…いや、何時も通りか?
予選の時も、普通に寝てたし…
イシヅカは如何なんだろう?
「イシヅカも重いから不利なフィールドだね」
「うわぁ…やり辛そうな地形だな?」
しかも、相手チームのゴーレム羽付いてたし…飛びそう。
不利なのは、こっちだけって事じゃねぇか!?
「う~ん…取り敢えず、飛び道具で装備を固めるか?」
「普通は、それが妥当だねぇ」
「シシオウ…道具持てないんだが?」
「にゃうん?」
これで、ツツオウの戦力外が決定した訳だ。
これは…ダナンの呪いに違いない!
「あ…そう言えば、ダナン達が応援に来てたぞ?」
「へぇ、あいつらも来てたんだ? …後で、顔でも見せに行くか」
「ダナン君か…また予選落ちかな?」
そのとーり! ロマンを求めた結果だよ!?
ロマンには…試練が付き纏うのだよ…
そんなやり取りをしてる間に、ムセル達は思い思いの道具を選んでいた。
ハッスルボビーで、色んな物を片っ端から買って来たのだ。
「チーム『モモガーディアンズ』の皆さ~ん、そろそろぉ…時間ですよ~?」
「おう! 戦いの時は来たぞ! ムセル!」
俺の言葉に、親指を上げて応えるムセル。
…うお、積んだなお前!?
ヘビィマシンガン二丁にミサイルポッド二機…腰にガトリングガン二丁!
両腕にソリッドキャノンか!! …移動砲台じゃん。
対して、イシヅカは…
頭にねじり鉢巻き、腰に赤いふんどし! 釣竿に…投げ網!?
おいぃぃぃぃぃ!? 何処の漁師だ、おもぇは!?
「ん~? イシヅカは何か、考えがあるのかな?」
少し、不安ながらもイシヅカを信用して送り出す気のプルル。
うむ…これまでも、無意味な事はしてこなかったからな…
俺も信用して送り出そう!
「如何だ? シシオウ…暖かいだろう?」
「にゃーーん!」
ツツオウは、防寒具を着せて貰っていた。
…絶対に寝るな、ツツオウ。(確信)
「よぉし! いくぞ! くぅるるあぁぁぁぁっ!
『ホーリー』を血祭りにして差し上げろ!!」
「んふふ…気合入ってるねぇ?」
「気合だけは、凄いからな…エルは」
あったぼうよ! これに勝たないと…シアとエスザクに、合わせる顔が無いぜ!
もう…約束しちまったからな!
俺達は、戦いのリングへと向かった。
大歓声が会場に響く。
俺達が、登場したからだ。
我等『モモガーディアンズ』は、花道を勇ましく歩く。
「勝つぞ! ムセル!!」
ヘビィマシガンを掲げ、勇ましくリングに向かうムセル。
俺は、共にリングに立てないが…そのつもりで、応援してるからな!?
リングには既に『ホーリー』のメンバーが待機していた。
漲る闘志と共に…
「ふ…手加減はしませんよ?」
リーダー格のミカエルが、自信満々で宣言した。
「是非も無し! 受けて立つ!」
俺も、堂々と受けて立つと宣言した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」と、大歓声が巻き起こる!
『これは、熱い! クールな外見に見合わず、熱い闘志を剥き出しにするミカエル選手と
可憐な外見に見合わない、豪胆な闘志を見せるエルティナ選手!
果たして…勝つのは、何方のチームか!?』
『フィールドは雪山。
戦い方によっては、逆転劇が頻繁に起こるフィールドです。
これは、目が離せないバトルですよ?』
ムセル達がリングに上がる。
いよいよ…グランドゴーレムマスターズの始まりだ!
『両チーム、準備はよろしいですね?』
審判のお姉さんが、最後の確認を取る。
「問題ありません」
「問題無い、大丈夫だ」
審判のお姉さんは、目を閉じ…
『それでは…ゴーレムファイトォ! レディィィィィ…ゴォォォォッ!!』
と、裂帛の気合を込め…試合の始まりを宣言した!
開始と共に、ムセル達が…バラバラに行動した。
ムセルは真っ直ぐに、相手ゴーレムに向かって移動。
イシヅカは…あれ? 見当たらない。
ツツオウは、雪山の天辺に向かっている。
対して、『ホーリー』のゴーレム達は…空を飛んでいた。
『おぉぉぉぉぉぉっと!? 「ホーリー」のゴーレム達が飛んでいる!?
これは、「モモガーディアンズ」不利だぞぉぉぉぉぉっ!?』
『翼がある時点で、ある程度想像出来ているでしょう。
ムセルにありったけの、遠距離武器を待たせていますね。
一体で、決着を付けるつもりでしょうか? 目が離せませんね』
ガンガン突っ込んで行くムセル。
唯…移動は遅い。武器を積みまくっているせいもあるが…
ローラーダッシュが使えないのが痛い。
相手に攻撃されたら、かわせないかも…
でも、そんな事はお構いなし、と言わんばかりに突き進むムセル。
勇ましいな! ムセル!!
「いったい、如何いうつもりだ? いくらSSSでも、無謀だと思うが…」
「ハッタリかもよ? 少し突いてみる?」
ミカエルは少し考えた後…ゴーレムに指示を出した。
「アーク! 聖光弾発射だ!」
アークと呼ばれたホーリーゴーレムが、手のひらから光弾を発射した!
それは、ムセルに向かっていく!
「ムセル!!」
ムセルは冷静に、ヘビィマシガンを光弾に合わせ…撃った。
弾け飛ぶ光弾! 何事も無かったかの様に、突き進むムセル!!
「…流石は、SSSと言う事か」
「三体で一斉攻撃が、妥当だろう」
「俺もそう思うよ? アレさえ倒せば後はCだけだしね!」
一斉に、ムセルに襲いかかる『ホーリー』のゴーレム達!
果たして…ムセルは、攻撃を防ぐ事が出来るのだろうか…!?
誤字 大歓声が解除に響く。を
大歓声が会場に響く。に訂正。