表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
86/800

グランドゴーレムマスターズ

朝飯を食べ終えた俺達は、大会の受付にやって来た。

受付の周りには、数人のホビーゴーレムを従えた者が居る。

既に、何組かのチームは受付を終わらせている様だった。


俺は、予選で貰った金ぴかのカードを片手に

受付を行っている、お姉さんの元に駆け寄る。


「えんとりぃぃぃぃっ!」


びしいっ! と、受付のお姉さんにカードを突き付ける。


「はい、元気ですね? 確かに承りました」


にこやかに、本戦参加を登録してくれるお姉さんステキ。

流石…プロだぜ。


「エル、走ると転ぶぞ?」


「んふふ…気持ちは、分かるけどね?」


ライオットとプルルも、遅れて登録完了。

これで、チーム『モモガーディアンズ』は本戦に出場可能になった。


本戦は…八チームによるトーナメント制だ。

三回勝てば、優勝である。


何よりも、シアとエスザクに当たるまで、勝ち続けなくては…

本戦で戦おうって、約束だからな!


「さて、これで参加出来るね…所で、その装備で大丈夫かい?」


プルルがムセルを見て言った。


「大丈夫だ、問題無い!」…と、言いたい所だが。

何か…気になる事がプルルには、あるのだろうか?


「むむむ、何か気になる事があるのか?」


「うん…本戦からは、リングに地形が追加されるからねぇ

 ムセルのローラーダッシュを生かすには…素のままじゃ、キツイんじゃないかな?」


ふむ、桃の聖域で練習してはいたが…

何か…補助装備でも在るのかな?


「一番、良い装備で頼む」


「んふふ…任せておくれよ」


俺達はハッスルボビーに向かい、一通りのオプションパーツを購入して来た。

ふふ…金欠になったぜ!(白目)

だが、金に糸目を付けぬ! ドバーと、ムセル達に注ぎ込んでくれたわ!


時間いっぱいまで、ハッスルボビーでオプションパーツを吟味した俺達であった…


◆◆◆


会場の入り口で、出番を待つ我ら『モモガーディアンズ』!

観客席は既に、満員御礼。すっげーお客の数だぁ!


『これより、第五十五回…グランドゴーレムマスターズを…開催しますっ!!』


アナウンサーが、大会の開始を宣言する。

遂にグランドゴーレムマスターズが、始まるのだ!


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」と大いに沸く、観客達。

「わお~ん!」「にゃ~ん!」「ちゅちゅ!」「ちゅ~!」「も~!」「め~!」「…はっ!」


…ふふ! 我が、野良ビースト達の応援は何時も勇壮であるな!

多くの観客の声に交じって聞こえる、動物達の声。

若干、違うのも交じっている様だが…誤差だな! 誤差!!


『実況は私、ゴーレム一筋二十年。三代目ゴーレムファイターが、務めさせていただきます!

 解説にホビーゴーレム第一人者、ザッキー・タケヤマさんにお越しいただきました!!』


『よろしく…今年も曲者ぞろいの、楽しめそうな大会になりそうですね?』


恐ろしく大きな歓声。相当有名な人達なのかな?


ゴーレムファイターと名乗った男の人は…何と言うか、熱血野郎って感じの人だ。

自分が戦う訳でないのに、カッコいい皮鎧を付けている。肩アーマーがイカス!

短く刈り込んだ茶髪に鉢巻を巻いた、体育会系の熱いお兄さんだ。


これは、実況が熱くなりそうだぁ…(確信)


対照的に、ザッキー・タケヤマと名乗った優男は、非常に冷静沈着な雰囲気だ。

七三分けにした、艶のある黒髪に端正な顔立ち。白いスーツでビシッ! と、きめている。

ゴーレムファイターと対照的な、知的なクールお兄さんだ。


「あの二人って、有名なのか?」


「んふふ…そうだよ! 現役の頃は互いにライバルで、数々の激戦を繰り広げた

 永遠のライバルにして…最高のパートナーだよ!

 僕の家に、その時の映像があるから見せてあげるよ?」


「マジで!?」と、興奮する俺。


しかし…ライバルで、時には手を取り合うパートナーか。

彼等は、最高の友人を見つける事が出来たんだなぁ…

何時か俺にも…そんな相手が見つかるのかな?


そんな事を考えていると、係の人がやって来て…


「そろそろ~入場ですよ~」と、少し気の抜けた説明をした。

呑気なお姉さんだぁ…ふわふわ系のおっとりしてる人だ。

水色の巻き毛に、優しげな笑顔が気持ちを落ち着かせてくれた。


「呼ばれた~チームの方から~入場してくださいね~?」


「はい!」と皆、元気良く答える。


『それではっ! 選手っ! 入場ぉぉぉぉぉっ!!』と、熱いアナウンスが聞こえた。

そんなに、序盤から飛ばして大丈夫なのか…?


『先ずは、チーム「ブラックスターズ」! やはり今年も、勝ち上がってきましたっ!

 リーダーのガイナ選手を筆頭に、ナッシュ選手、オルテナ選手の面々が姿を現しました!!』


『使用ゴーレムは、ランクAで統一された…同じ姿のアイアンゴーレム。

 「リック」「ドゥ」「ムゥ」達ですね、三位一体の攻撃に定評があります』


花道を堂々と歩く、三人の人間のお姉さん達。ピッチリとした黒いスーツがエロイ!

そして…腕に大切そうに抱えられた、同じ形のゴーレム達。

いずれも黒色で統一された、ズングリムックリとした大きめの人型ゴーレムだ。


「やっぱり今年も来たねぇ…あの三つ子姉妹。

 強敵だよぉ…なるべくなら、当たりたくないねぇ」


プルルが鋭い視線を送る。

相当、強いのだろう…如何か当たりませんように!


『続けて、チーム「あにまるず」! 全てのゴーレムが動物型で統一されたチームです!

 前回は一回戦で、惜しくも姿を消しましたが…今回はその雪辱なるか!?

 ゲレー選手、モッス選手、ブブオ選手が姿を現しましたっ!!』


『使用ゴーレムは、ランクSのストーンゴーレム「ゾルゥ」象型の大型ゴーレム。

 それに続くのはランクBのウッドゴーレム「ヒッツ」「ホップ」トラ型のゴーレムですね。

 彼らの連携には、目を見張る物がありました。

 今年は更に、練度を高めている事でしょう…注目したいですね』


花道を歩く三人、何れも野生の匂いがする…おっさん達だった。

というか…野獣だな! 髭も伸び放題、髪もぼっさぼさ!

対照的に、もの凄く綺麗なゴーレム達。

とてつもなく…愛情を注がれてるのが分かってしまう。


「前回は惜しくも判定で敗れたけど…強敵だね。

 特にゾルゥの、体当たりは危険だね」


確かに…あの大きさの象さんに、体当たりされたら…ぶっ飛ぶ前にバラバラになりそうだ。

60cmはありそうな、大きなゴーレムに戦慄を覚える。

…が、目が可愛い。見た目も、そのまま象さんなので…子供達に人気である。


『そして…来たぞ!! 前回、優勝チーム「イレギュラー」! 

 今年も魅せるか!? その恐るべき力をっ!?

 スティ選手、カスミ選手、レイヴィ選手が姿を現したぁっ!!』


『使用ゴーレムは、ランクAの大型アーマードゴーレム「ファンタデュ」

 同じくランクAのアーマードゴーレム「コーター」

 そして…ランクSSのアーマードゴーレム「ナイン」…強力なチームですね。

 現役の時に、戦いたかったチームです』


「スティちゃんって、優勝チームのメンバーだったのか…」


「まぁねぇ…ファンタデュと、ツツオウの相性が最悪だった…ってだけで

 普通は手も足も出ない物なのさ」


先頭を、ふんぞり返りながら歩くスティちゃん。

それに続く、猫耳の可愛らしい獣人の女の子。…多分カスミって人だな。

で、最後にレイヴィって人なんだろうけど…


一言でいうと、何か怖い。

ピリピリした物が、こっちにまで伝わる…少し長い黒髪の少年。

前髪で目が隠れているけど、鋭い眼光が時折覗く。

うん…見た目はカッコいい、むしろイケメン。

でも、近付き難いオーラの様な物を放っている。こえー。


「前回は、シアが出場して無かったけど…

 それでも圧倒的な強さで優勝したのがあのチームだよ。

 チーム全体が高レベルの強さを誇る…難敵だね」


「あの赤いゴーレム、何かオッカネェ…」


俺はレイヴィが持つ、赤い身体に白い翼を持ったゴーレムに恐怖を感じた。

何処かで…見たような…? イレギュラー…ナイン…大き過ぎる…うっ、頭が…(とんらん)


『続きましては…チーム「ホーリー」! ミリタナス神聖国で勝ち上がって来たチームだ!

 前回出場の「パニッシャーズ」を破った実力は本物との噂だ!

 ミカエル選手、メルト選手、サンフォ選手が姿を現したぞっ!!』


『使用ゴーレムは、ランクSのホーリーゴーレム「アーク」「エイン」「ジュエル」

 いずれも高ランクのゴーレムで揃えていますね。

 当然、能力スキル共に高い能力を持っているでしょう…要注意チームですね』


へぇ…他の国でも、ゴーレムマスターズをやっているんだ?


「今年も『パニッシャーズ』だと思ったのに、とんだ伏兵が来たねぇ…

 ホーリーゴーレムなんて、初めて見るよ」


プルルが珍しそうに見つめるのは、ミカエルって人が持っている

「アーク」って言うゴーレムだった。


金髪巻き毛に青い瞳の、俺達と同い年くらいの少年が持つのは

出来の良い彫刻と見間違えそうな程、見事な天使の型のゴーレムだった。


…素材は何なんだろうか? 分からん。

それが三体、それぞれの選手の手に抱えている。


『続いてドロバンス帝国から勝ち上がって来た、チーム「エンペラーズ」!

 ゴーレムの本場から、殴り込みをかけて来たぞ!!

 シュトルー選手、ウント選手、ドラクー選手が姿を現したぁっ!!』


『使用ゴーレムは…これは凄い、ランクSSのヘビーゴーレムが三体。

 巨大な車型の「ガンダー」「ガンダーⅡ」「ガンダーⅢ」ですね。

 圧倒的火力で、押し切る戦法の様ですが、果たして…』


うおぉ…軍服着て登場とか気合入りまくりだな? おぃ。

グレーの軍服を着た三人の少年達。

一糸乱れぬその歩き方に、思わず見とれる。

そして…手に抱えているのは、如何見ても戦車です。本当にありがとうございました。


と言うか、おもえ等は戦争しに来たのか!?

そんな…太くて逞しい筒で、ぶっ放されたら逝っちゃうよ!?(痙攣)


「うわぁ…これは、極端なゴーレムだねぇ?

 防御なんて『これっぽっちも考えて無い』って発想だね。

 問題は、如何やって近づくか…が、勝利の鍵だよ」


…近づいたら、死ぬと思います! はい! 死にたくないです!


『チーム「ゼンバネンス帝国」! 初出場ながら、圧倒的な強さで出場を決めたチームです!

 その力は未知数! どの様な活躍を見せてくれるか!?

 ギュンター選手、ハーティ選手、マール選手が姿を現したぞぉっ!!』


黒いローブをまとった、三人が静かに花道を歩いている。

…皆、演出凝ってるなぁ? 俺達も何かした方が良いのかな?


『使用ゴーレムは、ランクCのウッドゴーレム「みどりちゃん」「ごりお」「とらきち」

 …いずれも、普通のゴーレムに見えますね?

 いったい如何やって、勝ち上がって来たのか…? 気になりますね』


「全部ランクCか…相当、指示が上手なのか…?」


「あるいは、ズルしてるかだけど…そっちの線は薄いねぇ」


ゴーレムマスターズは、実力が全てなので反則と言う物が殆ど無い。

唯一、持ち主が直接試合に手を出す事…のみが反則として扱われる。

それ以外は、スキルとして適用されるのだ。


三人の後ろに付いて来る、三体のゴーレム達。

黒い恐竜型のゴーレムが、みどりちゃんだろう。…黒いのに何故、みどりちゃんなんだ?

ごりおがゴリラのゴーレム、とらきちがトラのゴーレム…見たまんまだな!


『さぁ皆さん! お待ちかねぇ! チーム「アークジオ」の登場だぁっ!!

 前回は残念ながら出場が出来なかったが、今回は無事に出場が決まっている!

 その強さは、ゴーレムマスターズをやって居る者なら、知っているでしょう!

 シア選手、ハマー選手、パフティー選手が姿を現したぁぁぁぁぁっ!!』


『使用ゴーレムは、ランクSのアーマードゴーレム「エスザク」

 そしてランクSSの「キュレイ」「ギ・オン」強力なゴーレム達ですが…

 もっとも注意するのはSランクの「エスザク」でしょうね。

 能力だけでは無く、経験による技術が飛び抜けています』


出たな!? シア! エスザク!!

お前達に、リベンジする為に…俺達は此処まで来たぞ!!


他のメンバーは初めて見るな。

スキンヘッドの黒人がハマーで…

紫の髪をお団子にして纏めている、チャイナドレスのエロイお姉さんがパフティーか…

それぞれ、黒くて曲線が美しい人型ゴーレムと

ちょっとふっくらとした、黄色い人型のゴーレムを誇らしげに抱えている。


「他のメンバーも強そうだな?」


「んふふ…こっちも負けて無いさ」


おお…頼もしいな! 頼りにしてるぞ!?


『最後は、チーム『モモガーディアンズ』! このチームも初出場です!

 ゴーレムマスターズをやって、僅か一週間程度と言う超新造チームが

 まさかのグランドゴーレムマスターズ本戦に出場だ!! 

 このチーム…油断ならないぞぉ!?

 エルティナ選手、プルル選手、ライオット選手が姿を現したぁ!!』


『使用ゴーレムは…おぉ!? ランクSSS! アーマードゴーレム「ムセル」!

 まさかSSSランクが、参加するとは! …これは注目のゴーレムですね?

 そして、ランクCのストーンゴーレム「イシヅカ」

 このゴーレムは普通のゴーレムに見えますが…どの様な活躍を見せるのか?

 最後は、ランクCアースゴーレム「ツツオウ」ですね。

 情報によると、格上のゴーレムを何度も撃破したとか…

 種類もサイズもバラバラなゴーレム達が、どの様な活躍を見せるか…楽しみですね』


今…俺達は、堂々と花道を進んでいた。

此処まで来るまでに戦い、打ち破って行った者達の…思いと共に。

目指すは優勝! 打倒シア、エスザク!


俺達は胸を張り、シア達の待つ中央リングに向かって行った…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ