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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
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ホビーゴーレムは家族だ!

皆、戦いの行方を…固唾を飲んで見守る。


…と、ドタバタ劇が終わった様だった。


「にゃ~ん…」


「ふにゅ~…」


「………」


ツツオウ、てっちゃ、わららが…纏めて、わららの体にこんがらがっていた。


ツツオウは頭だけ出ていた。

わららは動けなくて、悲しそうな顔だった。

てっちゃは…うん、あれだ。

SMの、あの縛られ方みたいになっていた。おぉ…エロぃエロぃ!


「テ…テスタロッサ!?」


「わ…わらら!? 直ぐに解けるんだ!」


頑張って絡まりを解こうと、もがく…わらら。

…駄目みたいですね!


そして、ムセルとイシヅカが動いた!

ローラーダッシュで距離を一気に詰めるムセル! …え?


俺達は驚いた。

ムセルの上に…イシヅカが乗っていたのだ!

何をするつもりだ!? と言うか良く運べるなムセル!?


スピードに乗った、ムセルとイシヅカ。

く…? 何だ!? 頭に何かのイメージが…


1千万、パンチパーマに角、髭のおっさん…う、頭が…


ダイブルトンに、迫って来た時…イシヅカが飛んだ。

ムセルは、急ブレーキをかけて止まった。


が…勢いが止まらず転がっている。

あぶね!? リングギリギリで止まったよ!?

良かった、良かった…


「うおっ!? イシヅカが飛んだ!?」


会場で、試合を見ていた全員が驚いた。

その、ありえない光景に…ストーンゴーレムが飛ぶ。


自分の重量のせいで、飛び跳ねる事が出来ないのが…ストーンゴーレムなのだそうだ。

だが…イシヅカは飛んだ。

ダイブルトン目がけて…ミサイルの様に!


ガスッ!! と言う音と共に、ダイブルトンを巻き込みながらリングアウトする両者。

イシヅカは…これを狙っていたのか!?


そして、その場に動けるのはムセルのみ!


ムセルは団子状態になった、わらら達を転がし…リング外に落とした。


「きゃん!」


「………」


てっちゃと、わららの敗北が決まった。


「にゃふん!」


そして、ちゃっかり落ちる前に、団子から抜け出しているツツオウ。

あぁ…ねこって、頭さえ抜ければ…スルッて抜けれたっけか?

ちゃっかりしているなぁ?


「勝者! チーム『モモガーディアンズ』!」


わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

にゃ~ん! わんわん! め~! ぶひっ! ちゅちゅ! も~!


様々な、歓声が飛び交う!

良くやった! ムセル! イシヅカ ツツオウ!

皆、お前達を祝福してくれているぞ!


…も~? あー!? いつの間にか、リカードさん所の『牛のジュリアンちゃん』が来ている!

終わったら、リリーちゃんと一緒に送って行かなくては…やれやれだぜ。


「んふふ…ご苦労様。秘密兵器を予選で出しちゃった…て顔だねぇ?」


良し良しと…イシヅカの頭を、撫でてあげるプルル。

イシヅカは嬉しそうだ。


「シシオウ良くやった! 大金星だな!」


「にゃふ~ん!」


大威張りのツツオウ。

実際、大活躍なので当然だが…内容がアレなので、何とも言えない。

ランクとはいったい? うごごご…


当然、俺もムセルを褒めてあげる。


「良くやった、大した者だぞ! ムセル!」


腕を天に上げて「どんなもんだ!」と言った気がした。

ふふ…言う様になったな!


「あ~あ、負けちまったなぁ?」


しょぼんとしている、てっちゃ達。

あれ程のランク差が有っても、『SSSSS』が『C』に敗れるのだ。

運が良かったような気もするが、運も実力の内って言うし…

勝負事は恐ろしい物だ。ぶるぶる。


「まぁ…しょうがねぇさ、運が無かったって事で、な?」


わららを、労わるゴードン。


「………」


無言で、ダイブルトンの肩に手を置くブルトン。

ダイブルトンも、黙って頷いた。

この親子は本当に、寡黙だな…


「へへっ! やったな、おめぇ等!?」


マフティが、笑顔で俺達を祝福してくれた。

同様に、ゴードンとブルトンも同じく祝福してくれる。


「ありがとう! 必ず優勝するぞ!」


「「おー!」」とライオットとプルルが手を上げる。

ふひひ! まさか、本戦に出場出来るとは!

だが、これでエスザクと戦える可能性が出てきた訳だ!


「さて…マフティ、ゴードン。ちょっと良いかな?」


プルルが二人を、呼び寄せる。

何だろう? プルルが二人に関わるなんて…


「何だ、珍しいな? お前が、俺達に話しかけるなんて…」


「そうそう、普段は周りを避けてる感じだしな…食いしん坊と関わって変わったか?」


本当に珍しい事なのか、驚いた顔をする二人。


ふむ…プルルって、そう言う子だったのか…

唯の大人しい、ゴーレム大好きっ娘だと思ってた。


「んふふ…否定はしないよ」


「へぇ…そうか」


優しい顔をするマフティ、ふむ…気には、してたみたいだ。


普段、悪ぶっているけど…恐らくクラスの中で一番、優しいのはコイツだ。

本人はバレて無い、と思ってる様だが…もろバレですから! 残念!


まぁ…兎に角、気遣いが半端無い。

何で、悪ぶっているのか分からんが…色々、あるんだろうな。

で、なければ…マフティを慕って、付いて来る奴は居ないだろう。


「うん、それで話なんだけど…二人のゴーレムの事だ」


顔を見合わせるマフティとゴードン。


「テスタロッサとわららが、如何したって?」


「うん、その子達のランクの事だよ」


確か…馬鹿みたいにSが並んで居たよな。

能力も高かったけど…ツツオウに、良い様にやられてたな…(呆れ)


「基本、最高ランクは『SSS』なんだ。

 極々稀に…それを超えるゴーレムが誕生する、その子達のようにね」


てっちゃとわらら、共に『SSS』越えのゴーレムだ。

正直、能力見た時は吃驚したぜ!


「能力も高いし、特殊スキルもあるけど…実は、使いこなせない事が殆どだ。

 何故なら…ゴーレム自身が能力に、振り回されてしまうからだよ」


…おっふ、耳が痛い。

俺の事じゃないですか、やだー!?


「てことは…テスタロッサとわららは、実力を発揮出来ないと?」


「そう言う事、故に『SSS』が最高クラスって訳さ」


つまりは…ダイブルトンが、一番強かったと。良く倒せたな?

ムセルとイシヅカの突撃が無ければ、負けていた可能性が高いと言う訳だ。


「んふふ…此処からが本番さ! 『SSS』以上のゴーレムは珍しい!

 特に、テスタロッサは近年、稀に見る最高峰のゴーレムだ!」


「そ…そうか?」と、自分の事の様に喜ぶマフティ。

ゴードンは、逆に警戒した表情になる。


「くうぃ~ひっひっひ!! 最高の研究対象さ!

 じきにゴーレムギルドから招集状が届くよ!

『SSS』以上の宿命さ!

 色んな実験が待って居るよ~!? あんな事や、そんな事も平気でヤル奴等さ!!」


うわぁ…プルルの顔が、ヤバい事になってる。

そんな顔! 修正してやる!


「ちょいやっ!」


「きゃん!?」


安心と信頼の、斜め45度チョップだ。

これで直んねぇ奴は…いねぇぜ!


「はひゅ…ん、んん…すまない、興奮し過ぎたようだ」


「それって、テスタロッサと離ればなれ…に、なるって事か!?」


キュッと、てっちゃを抱きしめてプルルを睨むマフティ。

俺もマフティと同じ立場だったら、同じ事をしたかもしれない。

子と離ればなれ…に、なるなんて嫌だしな!


「んふふ…焦らない。

 二つの道があるよ、一つは研究を受けながら生活する道。

 もう一つは…ゴーレムマスターズを捨てるか…だ」


うわ…極端だな!?

俺は、どっちも嫌だな…

そこで、もう一つの方法…ゴーレムギルド爆破を提案するぜ!


「それならば…ゴーレムギルドを、ばく…はもも!?」


ライオットに口を、手で塞がれた。


「話が、ややこしくなるから黙ってような?」


先読みするとは、ちょこざいな!

でも、一理あるな! うん、黙ってます!


「なんだ、そんな事か! なら、ゴーレムマスターズを止めるぜ!」


「俺もだ、わららは…家族だしな?」


即、決断する二人。

良い決断だぁ…ゴーレムは家族! はっきりわかんだね!


「うん! そう言うと思ったよ!

 じゃ、ハッスルボビーにある、登録機で登録を抹消しておいで?」


「おう!」と言って、駆け出す二人。

まったく、迷いが無かった。


「んふふ…やっぱり、そっちの道を選んだねぇ」


「…登録抹消だけで良いのか?」


と、聞いて来たブルトン。…彼の表情は険しい。


「ああ、大丈夫だよ。登録中はゴーレムギルドに従わないとイケないけど…

 抹消すればホビーゴーレムは唯の、玩具として扱われる。

 ゴーレムマスターズには、出れなくなるけどね…」


「…経験があるのか?」


その質問に、プルルは無言の笑みで返した。


「…そうか、すまん」


バツが悪そうに、謝るブルトン。


…子供がする会話じゃないと思った。

そして、無性に寂びれたバーで…バーボンが飲みたくなった。

早く、大人になりたいぜ…ちくせう。


「登録消して来たぞっ!」


二人が戻って来た。

いや、そんなに急いで帰って来なくても…

二人とも、肩で息をしていた。…どんだけ急いでたんだよ?


「うん! これで、ゴーレムギルドは…ちょっかい出せなくなったよ!

 後は、盗難に気を付けてね? 玩具扱いだから…冒険者ギルドも探してくれないよ?」


「分かった」と返事をする二人。

これで、ずっと一緒に居られる訳だ。良かったな!


マフティと、ゴードンの笑顔に…俺達も釣られて笑顔になった。

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[気になる点] 誤字:の 運が良かったような気もするが、運も実力に内って言うし…
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